トランプ大統領の爆走が止まりません。日本を標的にした発言も相次いでおり、戸惑いと警戒感が広がっています。

そんな中で最近は「トランプ大統領」をテーマに講演する機会が多いのですが、先日はまさにその当事者ともいえる自動車関連業界の会合で講演しました。約200人の参加者はトランプ大統領の影響を大きく受ける立場の方たちばかりですから、その痛切な思いがこちらにも伝わってくるような雰囲気でした。講演終了後には多くの方から次々に質問をいただき、私も時間の経つのを忘れて皆さんと情報交換させていただきました。

その際の講演をはじめ、最近の講演でいつも強調しているのですが、トランプ大統領の発言には事実に反することや誇張が多いことに要注意です。これについて、「マイナビニュース」と「会社四季報オンライン」の連載記事でも詳しく書きました。

 

・『マイナビニュース』連載「経済ニュースの“ここがツボ”」

トランプ大統領の日本批判は事実誤認

 http://news.mynavi.jp/column/economytsubo/079/

 

・『会社四季報オンライン』連載「マクロデータはこう読むと面白い」

経済データから暴くトランプ大統領の数々の「ウソ」

https://shikiho.jp/tk/news/articles/0/156555

 

トランプ大統領の言動は、いまだに1980年代の貿易摩擦の頃の感覚のように見えます。当時も米国は事実でないことや誤解に基づく要求をいくつか出してきました。しかし日本は対応が後手に回り譲歩を迫られるといった場面が多くあったことを思い出します。今回はそうした日米貿易摩擦の再来になってはいけません。トランプ大統領の事実に反する発言には、政府や当事者の業界・企業がデータと事実を示してしっかり反論し、様々なルートで粘り強く説明していくことが必要です。私たちも、事実とそうでないことを峻別して右往左往しないようにしたいものです。