明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

2017年はどんな年になるのでしょうか。年明け早々、心配なニュースが飛び込んできました。トランプ次期大統領がトヨタ自動車のメキシコ新工場建設について「ありえない! 米国内に工場を建設しろ、さもなければ高い関税をかける」というツイッターを投稿したのです。

トランプ氏はすでに米国の自動車大手のGMやフォードのメキシコ工場についても同じような激しい言葉を使って批判しており、フォードはそれに屈したようにメキシコ工場の新設を撤回すると発表したばかりです。

しかしトランプ氏のトヨタ批判には事実誤認が含まれています。トヨタのメキシコ新工場はカナダで生産しているカローラを移管するものであって、米国内の生産や雇用は減らさないのです。しかしトランプ氏はそれを知ってか知らずしてか、トヨタを批判しているわけです。それに、トランプ氏のツィッターではトヨタのメキシコ新工場の建設地について別の州の名前を間違って書いており、かなり乱暴なトヨタ批判です。

トランプ氏のこうした事実誤認に基づく日本企業批判は実は初めてではありません。選挙期間中に「日本は輸出に有利になるように円安に誘導し、コマツは米国にダンピング輸出している。だからメキシコとの国境に壁を建設する工事の際はキャタピラーの建設機械を使う」と、コマツ批判を繰り返していました。

 しかしこれもとんでもない事実誤認です。コマツは30年も前から米国内の5つの工場で建設機械を現地生産しており、米国内で販売されている同社の建設機械のほとんどは米国製なのです。同社は日本企業の中でもいち早く米国現地生産を開始した企業であり、1万人近い雇用も生んでいます。ひょっとするとトランプ氏はその事実を知らなかったのではないかとさえ思ってしまいます。さすがに選挙戦の途中からコマツ批判をしなくなりましたが、トランプ氏にはそうした乱暴さに危うさを感じます。

 トランプ氏のトヨタ批判に対し、同社はメキシコ新工場の建設は変更しないとしつつ、米国内で100億㌦の新規投資をして工場の生産性を高め雇用を増やす方針を発表しました。さすが大人の対応ですが、トヨタだけではなく、米国やメキシコに進出している日本企業はこの乱暴な新大統領にこれから振り回されることになりそうです。

 今回の問題については、マイナビニュースの連載「経済ニュースの“ここがツボ”」の第78回(http://news.mynavi.jp/column/economytsubo/078/)で詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

 また会社四季報オンラインの連載「マクロデータはこう読むと面白い」の最新号(201716日付、https://shikiho.jp/tk/news/articles/0/152550)では、昨年12月の米国取材をもとにした原稿を掲載しています。マイナビニュースと会社四季報オンラインの二つの連載記事をよろしくお願いします。