第2回「控除しても結局課税される?」 | 福山市の公認会計士・税理士 岡田章宏があなたの会社の悩み、ご一緒に解決します!

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広島県福山市を中心に活動する税理士・公認会計士の岡田章宏です。節税対策から金融機関のための経営計画策定・事業承継・相続対策まで、会社経営にまつわる問題をお客様と二人三脚で解決します。府中市・尾道市・神石高原町・庄原市・三次市等もエリアです。

※本稿は"Lamp"第2号(2014年8月発行)掲載のコラムです。


 中村君江さん(仮名)が二人の息子と、半年前に他界した夫の中村太郎さん(仮名)の遺産分割について話し合っていた時のことです。長男の和男さん(仮名)が言いました。

「自宅と土地は母さんが相続した方がいいと思うよ」

「え、どうして?」

「自宅と土地が殆どじゃないか。それに配偶者が継げば税金が安くなるらしいよ」

「配偶者の税額軽減制度」いわゆる「配偶者控除」といい、簡単に言えば、一定の要件の下に、配偶者の法定相続分(君江さんの場合は1/2)か1億6000万円のどちらか多い金額までは、配偶者に相続税はかかりません。

 しかし、この制度には大きな落とし穴があります。なぜなら、その後配偶者が死亡した場合、配偶者控除を適用した財産を子ども達が相続(これを二次相続と言います)することとなり、この度の相続(一次相続)と二次相続のトータルで払う税金が、結局は高くなるケースもあります。

 その理由の一つは税金計算の仕組みにあります。相続税は、相続財産を相続人がそれぞれの法定相続分(この場合、君江さんは1/2、長男と次男は各々1/2×1/2=1/4)で取得したと仮定して税金の総額を計算しますが、適用される税率は財産の額に応じて大きくなるため、二次相続時に多額の相続財産が残されていればいるほど相続税も重くなり、結果的に、同じ財産に二度税金がかかるケースもあるという事です。

 もう一つの理由は、法定相続人の頭数の違いです。相続税の計算に先立ち、相続財産から法定相続人の人数に応じた非課税枠(基礎控除)を控除しますが、当然ながら二次相続では最初よりも一名少なくなる分、より課税されやすくなります。

 しかしメリットが全くないわけではありません。配偶者の生活に必要な預金や価値の下落が見込まれる土地建物(取り壊しを予定している建物など)を相続して配偶者控除を適用すれば、二次相続における税負担を抑えることが出来ます。あるいは、納税資金の余裕がない時などは敢えて配偶者控除を活用し、二次相続までに何らかの対策をとるという手法もあります。

 一番大切なことは、目先の税金だけに捉われるのではなく、より長期的な視点に立った人生設計を組み立てる事だと言えるでしょう。



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