マダイロッドを作ってみたagain!! 

 

 

国産の素材を使い熟練の職人が設計・製作する“アーバンブランクス”(UB)でオリジナルブランク2種類(T1=硬、T2=軟)を発注し、それを元にマダイ竿を作ったら最高だった…という話は以前のブログで紹介済み。

 

 

 

長さと調子を微妙に変えて10本近くを製作し、数百匹のマダイ&外道各種を釣り上げてきた結果、T1(硬い方)で作った220~235cmが最も使いやすいと判明。

 

何をもって”使いやすい”とするかは、手持ち派と置き竿派で違うと思うけど、

 

反応がある限り極力手持ちで当たりを探り、ヒット後の合わせはがっちり。

 

という釣り方をする自分的には、一日釣りをして疲労感が残らず、バラしにくいというのが「使いやすい竿」の条件。

 

  良い竿の条件とは…。

 

手持ち誘いを多用しつつ場合によっては置き竿で狙うという釣り方の場合、竿に求められる要素を重要な順番に並べてみると、以下のような感じになるかな。

 

手持ち時の持ち重り感が少ない。

・持ち重りする竿では疲労が蓄積し、手持ちにするのが嫌になる…特に当たりが遠い日は(笑)。疲労感は釣りが雑になる要因なので良いこと無いですね。

 

210~230cmの短竿を使うのは、手持ちでも疲れないようにするため。竿の自重が同じでも、270cmと210cmの竿では持ち重り感は雲泥の差

 

“持ち重り感”は、竿の自重を軽くするだけでは解消されず、全体の重量バランスが重要。竿が短いと曲がりの頂点が手前に来るので持ち重り感が少なくなる。

 

コマセを撒いて→巻き上げて、という”手返し動作”がしやすい。

短い方が操作性が良いのでコマセを振ったり、びしを掴む動作が楽。運搬も楽。

 

ある程度の感度。

・感度が良すぎると、良型とのやり取り時に不安が増すのでビンビン感度は不要だけど、冬の低活性マダイの居食い系ヒットの違和感を感じ取れるのはもちろん、小さいアジやトラギスの当たりや、フグが針を飲み込んでガジガジしているのを感じ取れる穂先の敏感さ程度は必要不可欠。

 

マダイヒット時、しっかり合わせやすい。

・大型マダイヒット時、硬い唇にしっかり針を貫通させやすいバットパワーが必要。だけれども強すぎ・硬すぎる竿は跳ねて仕掛けが安定しにくかったり、マダイの強い引きで切られやすい。

※先~中間までは柔軟に曲がり、中間~元はコシ (竿の強度)がしっかり残る調子が理想。

 

良型~大型ヒット時、竿のタメで浮かせやすい。

・元~中間部のコシでため、中間~穂先の柔軟さで鋭い引きを柔らかくいなすのが、竿の重要な役目。

 

※竿を立てたときの曲がりのクッション性と、魚を浮かす反発力・復元力のバランスが絶妙にマッチした竿が理想的。

 

 

短竿と長竿の長所短所。  

 

コマセマダイで使われる竿は主に、210~240cmのショートタイプと、270前後のロングタイプがあるのは御存知の通り。それぞれの長短を書き出してみると、

 

 

ロングロッド(250~300)

 

◯時化の海でも仕掛けが安定しやすい

◯良型ヒット時、大きく曲がって引きをいなしてくれるので、やり取りの安心感が高い。

☓重くて疲れるので手持ちでの誘いが疲れる。

☓手返し等の操作性が若干劣る。運搬時、長い竿先を傷めないように気を使う。

 

ショートロッド(200~230)

 

◯持ち重り感が少ないので、手持ちで一日アグレッシブに誘ったり止めたりしても疲れにくい。

◯操作性が良い。

◯よりダイレクトな引きを体感できる。

☓クッション性が長竿に比べて少ないので、やり取りは全身を使ってクッション性を持たせる必要あり。

☓シケ時は仕掛けを安定させるのが大変。

 

ちなみに、

 

 

【ショートロッドの方が曲がりしろが少なくバレやすい】

 

と考えがちだけど、実はマダイの挙動=走る・止まる・疲れて浮きだす等=がわかりやすいので、慣れれば短い方が安心安全なやり取りができる、というのが短竿を長年使ってきた実感。諸説あり(笑)。

 

  そんな竿の話をしてる際、  

 

「じゃあ、一本作ってくださいよ。コルクグリップで全長210ぐらいでカラーは黒基調で」と、コイちゃん。「某高級ロッドみたいな精度を求めないなら」という了承の元、作ってみることに。

 

UBに早速オリジナルブランクのT1を発注し、数週後に受け取って製作開始。

 

ブランク以外は藤沢釣具で調達。


▲竿作りのすべてが揃うユニークな釣具店。ブランクにぴったりフィットするグリップ用パイプの切り出しやガイド等、必要なパーツを全て見繕ってくれるのでとっても便利で助かります。


▲右のマイロッドを参考に、パーツをチョイス。

 

 

作業スタート。 

 

UB製オリジナルブランクは、強度と調子が完全にマッチしてるので、強く削ったり総巻きしたりは不要。余計なことをすると調子が狂うので、ブランクは表面を軽く研磨する”足付け”以外は、いじらない。

 

▲グラスとカーボンその他の特殊素材を複雑に組み合わせたオリジナルブランクの断面。強靭なバットと柔軟な穂持ち~穂先という背反する要素が融合されていて、実に使いやすい。

 

そのまま表面を軽く研磨して足付け後、

▲ラップ塗装風の下地塗り。

 

▲ウレタンクリアに紫のステイン(透過系)塗料を添加して、下地の銀が軽く透けるようなカラーに。

 

※厚塗りできるエポキシクリアなら3~4回ぐらい塗り・研磨を繰り返せば完成するけど、今回は薄い被膜にしたいので2液ウレタンクリア塗料を使用し、薄く吹き付けては削ってを10回以上。薄いけどクラックが出にくい塗装面が理想だけどどうかな。

 

 

ガイドを取り付けたら、ベンディングカーブのチェック。 

 

▲80号オモリをぶら下げたときはこんな感じで張りが残り、曲がりしろたっぷり。

 

▲強い負荷を掛けてもバットパワーが残るので、10キロ大鯛でも大丈夫! 糸を通して強く曲げ、ブランクに干渉しないかもチェック済み。

 

 

▲ブランク塗料の乾燥を待つ間に、グリップ部分も作成。コルクグリップの成形中。

 

 

▲超強力接着剤でバットパーツを固定。


▲余計なところについた塗料をエタノールで徹底的に除去したらテープで固定し、ズレ防止。

▲速乾タイプの接着剤なら数時間、更に強力な遅乾タイプなら24時間後に完全固着。どちらもこれ以上ない接着強度なので、接着後は失敗しても元には戻せない…。

 

グリップとブランクをドッキングして完成。ガイドが斜めにならないように繋ぐときが一番緊張する(笑)。

 

 

  一義丸マダイ船で実釣テスト 

▲コイちゃんと同船日に納品。

 

釣れるといいけどと願っていると絶好調、ヒット多発。

▲複合ブランクが柔軟に曲がりつつ、しっかりリフトして鯛を浮かせます。


▲体に似合わず優しいやり取りなので(笑)、中間から元はまだまだ余裕。でっかいのが来たときに真価が発揮されるかな。

 

▲オシコンとバッチリマッチ。コルクグリップもいいもんですねえ。

 

 

▲トップ釣果で無事に入魂完了。無料メンテ付きなので、乗っ込み本番で曲げまくってもいいよ(笑)。

 

 

ということで、マダイの新竿製作は成功~。

 

コイちゃんキノさんアカ◯ちゃんの竿はこんな感じで作りましたよ、というご報告がてら(笑)。

 

 

備考  

 

 

全長225cm

自重約350g

 

先径1.9

元径8(塗装前)

黒+黒金(ガイド)

 

制作期間約2ヶ月(ブランクの完成時間次第)

制作費…円

 

そして、

▲20~80号ハリスまで対応可能なキハダ~泳がせロッドも製作中。

 

プロに力いっぱい曲げてもらっても余裕。

釣行記がないときにでもアップします…。

 

またよろしくお願いしま~す。

 

バイバイ