今回は竿作りのお話です。

国内の素材を厳選し、熟練の職人が設計から制作までを担当。最新マシンを駆使して最高品質のブランクスを製造する”アーバンブランクス”(以下、UBと表記)。

 

 

▲HPはこちら。

 

UB製ブランクを使った竿を作り、その精巧さに触れてみたいと思っていたんです。

 

改めて確認してみたところ、1本からブランクを注文可能とのことなので早速オーダーしてみました。

 

  注文内容は以下のような感じ。

 

・チューブラー素材も豊富そうだけど、今回はソリッド(無垢素材)で。

材質(グラスとかカーボンとか特殊素材とか)については、お任せします。

・全長220~230㎝。

・元~ガイド3つぐらいまでは腰強めで中間~穂先は柔軟な6:4ぐらいの調子。S~Hで言うと、元はM、中間から先はSぐらいが理想的。

・その他、細部は一切合切プロにおまかせ。

→結果的に完全オリジナルのブランクを作って頂きました。名付けてオカジ-SP!(笑)。

 

 “国産素材使用のオーダーメイド”って、おいくら万円? 

 

ちなみにマダイ用のブランクスをロッド素材の取扱店で買うと、有り物でもカーボンで3万円弱、各種グラス素材で8000~3万弱ぐらい。なのでオーダーメイドだと5万円以上もありえるかなあ・・・と思っていたわけです。

 

ところが、モノによってはかなり安くできるみたいな感触・・・素材店で買うより安い場合もありそう。

※材質や長さによって大きく異なるそうです。

実際に、後日届いた見積もりは想定を余裕で下回る内容でした。

 

1本目は0からの設計・製作になるので、その分の製作費が加算されますが、2本目以降はブランク単体の料金になるので、有り物のマダイ用カーボンブランクを買うより安い・・・。

熟練の職人が国産素材を使って作り上げた自分だけのブランクが、この価格で良いの?

 

と、個人的には感じました。お得感が凄いなあと。

 

ブランクを0からオーダーして作るというのはかなり敷居が高く感じるけど、おおよその希望を伝えるだけで経験豊富なスタッフが理想的なブランクスを予算に合わせて作ってくれます

 

1本だけだと割高になっちゃうけど、友人知人も巻き込んで何本か作るなら、アーバンブランクスさんを利用しない手は無い!

 

後述するけど半端ない品質なので絶対にお得デス!(個人的感想です笑)。

 

納品、そしてロッド製作スタート。 

 

数週間後にブランクが完成したと連絡が入り、早速取りに行ってきました。

※納期についてはUBに問い合わせを。

 

早速できあがったUB製ブランクスを手に取って曲げてみると、中間から先は柔軟だけど腰がしっかり・・・注文通りの仕上がりにニンマリ。

▲「商品なので強く曲げませんけど、この程度の負荷はなんでもありません」。

 

強烈な負荷をがっちり受け止める圧倒的な堅牢感。かといって強さ一辺倒ではなく、軽量でしなやかに曲がりこんでいく・・・。この時点で別物感が凄い(笑)。

 

竿を立てたり寝かしたりして色んなベンディングカーブを試すうちに、

 

カーボンでもグラスでもない、経験したことのない曲げ心地・・・。

 

かなり独特のブランクで何やら秘密がありそう。

 

――このブランクは、どんな素材なんですか?

カーボンとグラスとその他素材を複雑に組み込んだ完全オリジナルブランクです」。

 

――おお、それは凄い。元部の張りがかなりあるのに真ん中から先はしなやかですね。

「カーボンとグラスの特性を活かすために各部位で素材の割合を変えています。詳しくは言えないですが、グラスのしなやかさとカーボンの軽さ・感度を両取りしたような感じですね」。

 

――今回はソリッドにしましたが、チューブラー素材もかなり充実しているようですね。どのように選べば良いですか?

軽さ重視ならチューブラーになります。径が太くなりますが、強度的にはソリッドと遜色ありません。軽さより強度と耐久性を重視する場合はソリッドという選択になります」。

 

――竿作りをする際、総巻き仕上げと塗装仕上げの2種類があると思うんですが、どっちが良いんですか?

「昔はブランクの強度をアップさせる的な意味合いで総巻きをしていましたが、今はブランク自体の強度が上がったので、マダイ竿に関しては、特に総巻きする必要はありません。

 

総巻きすると、

より柔軟に曲がる

・巻き方によっては感度が低下

・若干、重くなる。

 

総巻きの良い点としては、

ブランクを衝撃やキズから守ってくれるため、竿の耐久性がアップする。

・スレッド(糸)カラーで、カラフルな竿が作れる。

 

塗りの場合は、

・ブランクの曲がりが、ブランク単体とロッド完成後で、ほぼ同じなのでイメージ通りの曲がりに。

シャープ

軽い

という感じです。好みで選んで頂けばいいんですが、今回のブランクの場合は強度十分ですし、特性を活かすなら塗りだけの方がいいかもしれません」。

 

――なるほど~。とっても勉強になります。

その他にも色々教えて貰いましたが割愛・・・。

 

ということで今回は特性を活かすべく塗りで作ってみることに。

 

▲ラップ塗装の下地塗り状態。ガイド下だけスレッド巻きしたけど必要なかったかな。

▲ラップ塗装風の赤。

▲いつものカラー。ちょっと違う塗装にすれば良かったかな・・・。

▲バットも同時作成。

▲竿全体の自重は325g。350mlの缶ジュースより軽い! 実際に使ってみるとさらに軽く感じるのが不思議。

 

フィックス前に使い心地をテスト。 

 

バットをはずせるバットジョイント状態で船に持ち込み実釣チェック(この状態だと長さ調節や作り直しが簡単)。

 

1回目のテストでは全長240㎝と、ちょっと長めにして使ってみることに。

※バット部分のパイプにブランクを突っ込む長さで、全長は210~250ぐらいまで変更可能

 

▲待ち受け時。中間から元にかけてのパワーがかなり強く、80号ビシをぶら下げてもこれしか曲がらない。竿先が不思議と跳ねない・・・。

▲ヒット! 腰が強いのでコマセ撒きやアワセが楽だけれども、硬い部分がちょっと長いかな・・・。

▲1㎏アップマダイヒット中。元部がもう少し曲がっても良いかな・・・。

▲イナダヒット! オマツリ回避のためにドラグを締めて強引に巻き上げますが、余裕過ぎる曲がり。4~5号ハリスぐらいの強い仕掛けで強いやり取りをするのにマッチしているっぽい。

▲チビ鯛だとこれしか曲がらない(笑)。

▲ビッグなワラサヒット。かなり強引なやり取りをしても、こんなに元が残る。

 

堅牢さが凄いというのが第一印象。

 

 操舵室から見守っていたユッキー船長に聞いてみると、

 

手元寄りの硬い部分がもう少し短いと、よりバランスが良くなりそうだね」とのこと。確かに!

 

帰宅後、ブランクをバットに15㎝ほど突っ込み全長225㎝に修正

 

  ついでに色も変えてみることに。

 

▲マジョーラ塗料を入手。親指ぐらいのビンで送料込み4000円弱・・・高級塗料ですねえ。施工は簡単で、専用薄め液を混ぜてガンで吹き付け、乾燥後にクリア塗料を塗るだけ。

 

▲角度によって色が変わるのがマジョーラの特徴。

▲日の当たり方でこんな色に見えたり、

▲オレンジっぽくなったり。まあ面白い色だから良いかな。

 

  全長225㎝にしたら見違えるほどの使いやすさに。

 

ブランクをちょっとだけバットのパイプに突っ込んだだけにも関わらず、竿が別物に生まれ変わった

▲軽量感がぐっとアップし、手持ちが楽すぎるしっかりとバットにパワーが残るので、コマセを強く撒いたり、竿の上下動での誘いが楽。

▲船が持ち上がるとグーっと曲がるので、置き竿でもビシが安定しやすそう。でも手持ちでやりたくなる(笑)。

▲ヒット! ガツーンと合わせると、元の方まで曲がり込んでいくのが快感。

▲元部分が硬めかと思ったけど、全長220~230㎝ぐらいにすると実に丁度良い曲がりに。

 

当初の予定通りの全長220~230㎝にすれば丁度良くなってたんです。

 

▲またキタ! 合わせたときの手元に伝わるガツン感と、強い引きをしっかり曲げて受け止める柔軟さのバランスが秀逸すぎる・・・。

 

  カーボンだと、

 

・先端が硬いので丸く綺麗な曲がりにならない。

・待ち受け時にビシが跳ねない柔軟さにすると、大物が来た時のリフト力が不足気味に。

・とにかく感度ビンビン。1㎏のタイが倍に感じるほど魚の挙動が手元に伝わって面白いんだけど、デカいのがくると恐怖におののきながらのやり取りになりがち(笑)。

 

とはいっても、非常に細く軽量にできるし、シャープな使い心地なので、素材としては魅力いっぱいです。

 

  グラスムクだと、

 

・アタリもやり取りも鈍くなりがち。グラスの種類にもよるけどダル・・・。

・柔らかくすると曲がり過ぎてボヨンボヨン。感度も低下して面白さが削がれる。

・普通のグラスムク素材だと重くて手持ちには不向き。

 

一方、

 

  UBブランクは、特殊な使い心地がクセになる!

 

今回作った竿なんですが、はっきり言って過去最高の使い心地

何がそんなに良いのかというと、

 

・カーボンほどビンビンじゃないけど必要充分な感度

グラス無垢の鈍重さはなく、シャープで軽い

・300gアップと竿自体の重量は普通だけど、実釣ではなぜか軽く、抜け感が半端ない

・永遠に手持ちで誘いたくなるような独特かつ抜群の使い心地。

・シャープな操作感にも関わらず、柔軟に曲がって引きを受け止めてくれるから、やり取り時の安心感が抜群

 

 

素材を複合させると、

 

感度と軽量感、柔軟な曲がりとリフトパワー

 

という背反する要素を全て含有することができるんですねえ。

素材の進化をまざまざと見せつけられ、感服いたしました!

 

すぐさま追加注文。

▲今回と同じブランク=タイプ1(T1)を一本追加注文し、さらに、ワンランク柔軟なブランク(T2)も注文。納品後、早速ベース塗装中。

 

▲辰年にちなんだ青龍竿カラーは、某K氏用。

▲より柔軟なT2は、全長240㎝以上の長めにして、置き竿主体や時化用にする予定。実釣チェックが待ち遠しい。

 

 

今回は、ブランクによって竿の使い心地がこれほど向上するんだと再発見する機会となりました。

 

竿作りに興味がありましたら、アーバンブランクスさんに問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

バイバイ