「鯛長~、切られた」

「またやられた~、ここ最近で4発目」

「今日だけで2回もぶった切られた~」

ここ最近、一義丸マダイ常連軍団からの悲鳴??が続々入電してきます(笑)。

そんなに切られるなら5号でやればいいのに!(笑)。

同じ失敗を繰り返すのは意味ないので、切られたら次は切られない対策をしないと、浅っこみの超大鯛は永遠に獲れないです。

 

根の荒い浅場での大物との駆け引きは、仕掛け強度とドラグ設定がカギ。

切られにくくするには、強い仕掛けが必要なのはもちろんですが、仕掛け強度に見合ったギリギリのドラグ設定が何より重要というのはご存じの通り。ドラグはゆるくてもきつくてもダメなんですが、そんな絶妙なドラグ設定をするには初期性能に近い”良いドラグ状態”を長くキープさせる必要があります。

 

ということで今回は、どんな使い方やメンテをすれば、ドラグを良い状態に保てるのかについて掘り下げてみますよ~。

 

ドラグとは・・・。

ドラグ〔drag〕を辞書で引いてみると、

引っぱる、引き出す、引かれるもの。退屈な人(俗語)という意味だそうです。

 

これが釣り用語になると、

・摩擦抵抗で糸の出を抑制するリールの機能。

という意味に変化するわけです。

※ドラグとブレーキはほぼ同じような意味ですね。だったらブレーキと言えばわかりやすいのに・・・。

 

ドラグの正しい使い方。

コマセ真鯛釣りでは、

仕掛け投入→コマセ撒き→タナを取ったらドラグをゆるめ→手返しするときは締め直し→巻き上げ。

このルーティンを一日中繰り返すわけです、当たりもしないのに(笑)。

 

時々、ドラグを少しゆるめただけで、手返しも魚とのやりとりもそのままという実に横着な人を見かけます(笑)。ドラグがゆるいままだから、せっかくの高性能電動リールなのに糸が滑って手返しが遅い・・・。

 

こういうリールの使い方には致命的な欠点があるんです。

 

何だと思います?

 

ドラグ性能が低下・劣化するんです。

 

ドラグと同じように摩擦抵抗を使って制動をかけるディスクブレーキを例に取ると・・・。

▲ディスクローターをパッドではさみつけてブレーキをかける構造ですが、ずーっとブレーキをかけ続けると摩擦熱でローターやパッドが変形・変質・摩耗し、ブレーキ性能が著しく低下します。長い下り坂で急にブレーキが効かなくなって怖い思いをしたことあるでしょ、あれです。

 

ドラグも一緒で、ドラグを滑らせ続けると劣化するんです。

ドラグの場合、滑らせ続けると摩擦熱によってカーボンクロスワッシャーに塗られたドラググリスの粘度が低下し、ドラグの効きが悪くなります。

 

さらにひどくなるとカーボンワッシャが摩耗・変形し、ドラググリスも劣化してドラグ性能が低下するというわけです。

https://ameblo.jp/okachanman2003/entry-12468368226.html?frm=theme

▲ジージがブリ?との格闘でドラグを滑らせ続けて、リールを壊した顛末。

▲高熱でドラグワッシャーのグリスは蒸発、カーボンは真っ黒に炭化、リールボディも熱で変形して工賃15000円也・・・。

 

ここまでひどくなくても、やっぱりドラグを滑らせれば滑らせるだけ劣化が進んでいくのは間違いないところです。

 

劣化が進んだドラグというのは、

・強くドラグを締めないと効きにくい。

・丁度良い効き具合の範囲が狭く、すぐに強く締まったりゆるゆるになったりで、設定がムズイ。

・ドラグの効きが強かったり弱かったりムラがある。

・購入直後はヌメーっと粘るように糸が出ていたのに、次第に粘りが低下し、すーっとあっさり糸が出るようになる。

こういう状態のドラグでは大鯛とのやり取りはおぼつかず、魚に翻弄されてバラシがちに・・・。

 

リールドラグの構造。

リールのドラグ構造を目にしたことはあるでしょうか?

▲こんな風にステンレスのワッシャーとカーボンクロスワッシャーが交互に組み合わされ、ネジ(スタードラグ)を締めて行くことで摩擦抵抗を強めていき、糸の出方をコントロールする構造です。

 

ドラグ性能に定評があるシマノ電動リールのカーボンクロスワッシャーは、「抜群の滑り出し性能を有するだけでなく、熱によるドラグ力の変化が非常に小さく、耐久性がもっとも高いのが特徴のドラグ」だそうです。(byシマノ)。

 

「フォースマスター1000/2000」のドラグ部分を見てみると、

https://www.shimanofishingservice.jp/index.php

▲シマノのHPから展開図を参照可。

▲こんな感じです。48(×4)~51がドラグ部分となります。

 

メーカーの解説を見ると「3組のカーボンクロスワッシャー」と書かれてるけど、展開図だと4組構造・・・間違ってるのかな?http://fishing.shimano.co.jp/product/reel/4620 

※ちなみにビーストマスター2000もドラグ周りは全く同じでした。FM/BM共に最大ドラグ力15kgなので当然?

 

ではここで質問。

ドラグ力が高くなると、ドラグワッシャー組の数は増える?減る?

 

まずは最大ドラグ力11.5kgフォースマスター800を見てみましょう。・・・間違ってるのかな?

▲カーボンクロスワッシャー(37)が2組しかありませんね。

 

一方で最大ドラグ力が25kgもあるビーストマスター9000は、

▲カーボンクロスワッシャー(48)が6組もあります。

※ちなみに最大ドラグ力30kg(9000より5kgも強いんですね~意外)のBM6000も6組でした。もうすぐ発売される新6000も楽しみですね。sゴーさん予約したそうです・・・。

 

ということで

ドラグ力が強くなるとワッシャー組数も増える

が正解でした。

 

ドラグメンテ。

ドラグのあれこれを書いてきたけど実物を見せなきゃ片手落ちなので、実用中リールの劣化ドラグもお見せしときます。

 

でも、ただ見せるためだけに分解するのもあれなので、ついでにドラグワッシャー交換を含めたメンテもすることに。

▲愛用中のFM800。ドラグのスムーズさが秀逸で、3~4号の細ハリスを使った大鯛とのやり取りにはベストの一台かな。

 

このリールを使い込んできたところドラグが今一に・・・。

かなり使い込んできたのでドラグも使い心地が悪くなってきています。具体的な症状は、「かなりドラグを締め込んでいかないと効かず、そこからワンクリックでもゆるめるとすーっと糸が出てしまう」ような状態。

▲こんな風に糸を持ってリールをぶら下げてドラグを調節し、ズルーッと同じ速度で下がっていくのが良い状態。2kg位の重さにして試してみても同じように”ズルーッ”ならOKですが、このリールはズルーッというよりスーッと落ちちゃうのでダメ。

まずは釣具店でドラグワッシャーを注文。

▲3枚で約1800円。釣具店でシマノ純正パーツを注文できるとは知らなかった。1週間ほどで届きました。OHに出してドラグメンテしてもらうと数週間~1ヶ月以上なので、ずいぶんと時短できます。

▲ドラグとギアのグリスアップをするための各種オイル類も用意して、ハンドル側をオープンします。

▲ペンチとドライバでハンドルを取ったら、順番どおりにワッシャー類を並べて保存。

▲ボディのネジ4カ所をはずして開きます。バネ二つを紛失しないようにはずしたら、オイル等で古くなったグリスを洗浄・除去。汚れ具合はそこそこかな。

 

ハンドル部分の根元にあるドラグパーツを順番通りにはずしていきます。

▲ドラグ部分は真っ黒に汚れ、グリスの粘度もかなり低下。

▲劣化したカーボンクロスワッシャー(左)を新品(右)と並べてみると、厚さが半分ぐらいまで摩耗してます。

▲左=古、右=新品。カーボンのクロス模様が古い方はなくなっています。そのために摩擦抵抗が低下してドラグが効きにくくなっていたようです。

▲新品ワッシャーにドラグ専用のグリスを塗ります。「薄く塗る」と記されてるけど、厚めに塗っといた。

 

塗り終わったら順番を間違えないように組み直し。

▲ドラグ部分は専用グリス、その他のギア部分はバイク用の高性能・高粘度ギアグリスを厚塗り。回転がちょっと重くなったけど、ギア保護的観点から、これはこれで良し(シマノの専用グリス使用推奨)。

 

バネを付けてフタをはめ、ハンドルを付けて元通りにしたらドラグの効きをチェックします。微妙に組み間違って2~3回開け閉めして完成が普通かな。

▲ドラグに問題がなければしっかりネジを締め、全体にべったり付いたグリスを脱脂スプレーで清掃。

▲最後に通電・巻き上げを確認して完成。

 

ワッシャーを交換したら、ちょっと締めただけですぐにドラグが効くようになり、ズルーッ、ネバーっと糸が出ていきます。これなら強烈な引きも粘りつつ糸を出してハリス切れを防いでくれるはず。

実釣中のドラグ注意点。

お見せしたように、使っていくうちにカーボンクロスワッシャーは摩耗しドラググリスは粘度を失っていきます。なるべくドラグを滑らせないようにすることでドラグ性能の低下は遅らせることができるわけです。

実際の釣行では、

・手返し時はきっちりドラグを締め、ズルズル滑らせることなく巻き上げる。

※ただし、ガチガチに締めすぎるとオマツリや手前マツリ等でハリスや針等が竿のトップガイドに強く巻き込まれ破損の原因に繋がります。なので、強く引っ張れば糸が出るぐらいのドラグ締め具合で手返しするのが良さそうです。

 

・大鯛やワラサ等、引きが強い大物が来た際は、糸がビュービュー出されているのに電動をオンにし続けるのはダメ。魚の引きに合わせて電動のON/OFFをこまめに切り替え、無駄にドラグを滑らせないようにする。魚が静まるまで手巻きで対応すれば一番良いかな。

 

・探見丸と接続することでリール温度をチェックすることが可能。

探見丸とリールを無線接続すると、時刻の右に青丸が表示されます。イメージ 2

▲この「青丸マーク」部分は、電動リールの温度が正常な時は青、温度が上がると黄→赤に変化します。さらに、アラーム設定の「電動ブレーカー警告♫」をONにすると温度上昇をアラームで教えてくれるという便利な機能もあります。

 

モーターやドラグを酷使してリールが熱くなったら、表示と音に要注意です!!

 

使用後のドラグメンテ。

釣行後はリールを水洗いしてメンテナンスすると思いますが、その際にいくつか注意点があるようです。

 

・ドラグを締めて水洗いする。

→ドラグ部分に塩混じりの水分が入るとグリスが劣化するので、ドラグをきつく締めて水洗いするのが良いそうです。

さらに、

・水洗いは常温。温水はダメ。

→温かい水はリール内のオイル・グリスを洗い流してしまうのでダメ。

・洗浄後の保管はドラグ全開のユルユル状態で。

→ドラグをきつく締めた状態を長く続けると、ドラググリスが押し出されたり、カーボンクロスワッシャーの表面が潰れる等の不具合が生じるので、保管時はドラグをゆるゆるにしておく。

・ドラググリスは経年劣化で性能が低下するので、定期的なグリスアップ等のメンテが不可欠。

 

以上。

ということで、来るべき大鯛ヒット時のドラグメンテは完璧なので、後はヒットさせる運とテク、切られない仕掛け選択を万全にして謎のヨシンデ浅っこみモンスターにチャレンジしたい!!

 

マダイダービーも残り約3週間、記録更新サイズの登場が待ち遠しいですね。

 

バイバイ。