剣崎沖の真鯛釣りは通常モードのマダイ釣りになってきたようです。

乗っ込み・アフター乗っ込みと盛り上がった今年の剣崎沖ですが、最近では船中釣果0~5枚ぐらいと通常モードの難しくも楽しい真鯛釣りに推移しているようです。
 
この時期は通常サイズの真鯛君を釣るのもムズイんだけど、それでも一義丸では【剛樹杯】マダイダービーを開催中なので、大物を狙わないわけには行きませんよね~。
 
でもですねえ、食いが渋いとついつい仕掛けを細く弱くしてヒットチャンスを増やそうなんて小細工して、やっと訪れた千載一遇のビッグヒットでぶった切られるというのが、この時期の超ありがちパターンなんです。
 
ワンチャンスをモノにできるか否かというこの時期ならではの特徴・諸注意を、過去のブログで予習しておこうという魂胆です。
某年6月、水温20℃、YSD30~40m海域にて。

開始1時間後、誰かさんに大物ヒット。やり取りアシストで4kgアップ大鯛ゲット(=4kgの引きはインプット完了)。

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▲潮に乗って強力に引っ張る4.2kgの大鯛ゲット。


2時間経過後、自分にも強いヒット到来!! ドラグが鳴り、10m出てストップ。糸を巻いて来ると底から10m上ぐらいで動かなくなり膠着。しばらく後、ガリゴリという手応えの後にプッツン・・・根ズレでハリス3.5号ブレイク(涙)。推定5kgアップかな。

ハリス4号&大型真鯛針の強力仕掛けに変更して再投入

 

しばらく後、ズキューンと超絶ヒット到来。あっという間に20m以上糸が出て止まった瞬間にフワッ。すっぽ抜けのポロリバラシ。推定6~7kgアップ・・・。

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▲憤怒と後悔と痛恨と喪失感がごちゃ混ぜになって、こんな顔になっちゃった(涙)。


年に1度あるかないかの強烈な引きだっただけに残念感MAXで、ポキッと何かが折れる音が聞こえた・・・。

泣きながら同じパターンで再投入

1時間後に再びヒットし、合わせると3mぐらい糸が出てストップ。さっきまでの大物とは比較にならないけど、なかなか上がってこない強い引き。

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▲切れないようにポロリしないように細心の注意を払って、3.5kg真鯛ゲットしたけど・・・。


人生初の一日2回の大鯛バラシ・・・。推定2尾で10kgアップのバラシは痛すぎて、久々にド凹みしました(涙)。

 

かような顛末で衝撃的な引きに超久々に遭遇して、色々思い出したんですよね。

お魚ちゃんからケモノへの変貌。

真鯛は、成長に伴って存在感がかなり変わってきます。

順を追って見てみると、

 

700g~2kg未満くらいまでは、カワイイお魚ちゃん。

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▲1kg前後のこのサイズが剣崎沖のアベレージで、最も良く釣れます。キュンキュンと小気味よい引きが心地よいです。

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▲食べても釣っても最高に楽しめるサイズです。

 

2kgを越えてくると、”これぞ真鯛”という美麗なフォルムに磨きが掛かり高級魚の風格が出てきます。

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▲「ばれるなよ~」と、ドキドキしながら上げて来て、こんな2kgアップの輝く美鯛が釣れてきたら、思わず笑顔になっちゃうよね(笑)。

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▲この2kg前後サイズが最も高価。冬場は、店頭に並ぶ頃にはこれ1尾で1万円超、非常に価値ある一枚です。

 

3kgを超えると引きの強さがグーンとアップ。

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▲このサイズになるとスリル満点。竿の弾力とドラグを駆使しないと3号ハリスは簡単に切れちゃいます。

 

数釣りできるのは、このぐらいのサイズまでかな。

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▲1~3kgがいっぱい釣れると楽しい。でもね・・・。

いよいよ大鯛ゾーンへ。

真鯛も4kgを越えてくると急に立派になり、威風堂々たる王者の風格が出てきます。このあたりからが大鯛といわれるサイズで、ヒットさせるのもゲットするのもグッと難しくなってきます。

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▲4kgアップの不敵な面構え。唇が厚く、犬のような歯がぎっしり。

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▲数十釣行に1回程度のヒット率だけど、ごくまれに1日複数枚の大鯛がヒットして来ることも。そうすると、こんなにやけ顔になっちゃいます(笑)。

そして5kgを超すヘビー級の世界・・・。

大鯛も5kgクラスになると魚というよりも動物感が増してきます。ここまでは剣崎沖でも結構頻繁に出没するけど、それ以上のサイズは滅多にお目にかかれません。

※お相撲さんが優勝祝賀会でぶら下げている大鯛は6kg前後かな。なかなか見つからなくて、タニマチ諸氏が苦労するのだとか。

 

6kgを超えるサイズになると、圧倒的な巨体や衝撃的な強きなどが別次元となり、魚というより”ケモノ”的な生き物になってきます。

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▲6kg級は年に一度出会えるかどうかの貴重品。やり取りや仕掛けにちょっとでもスキがあると瞬殺されます。

 

この”ケモノ”クラスの大物になると、幸運を味方に付けないと釣り上げられない・・・。

 

せっかくヒットしてもゲットできるのは何割位なんだろう? 3割程度かな?

 

大物バラシには、普通のハリス切れ以外にも敗因がいっぱいあります。

 

・針を飲まれてハリスを噛み切られる・歯に擦れて切れる。

・針が潰される。

・針が折られる。

・針のチモトやヨリモドシ部分など、結び目がすっぽ抜ける。

・ハリスが根にこすれて切れる。

・クッションが切れる。

・ビシが根掛かりしてハリスが切れる。

・オマツリした人が無理に巻き上げようとして切れる。

自分が体験したり同船者のバラシを目撃した事例はこんな所でしょうか。

 

さらにもっと上のサイズ、

8kg超級になると・・・。

滅多に出会えないトロフィー級の8kgとなると、もはや魚とは思えないような”野生動物的なものすごさ”で畏怖を感じさせるような存在感。

※ウソでも大げさでもない、船上で8kg超級の大鯛を目撃すればわかってもらえるはず・・・。

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▲トランク大将50Lいっぱいに横たわる8kg超級の超大鯛。

 

ジャイアントな鯛、略してGTですね(笑)。

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▲10kg級になると50Lクーラーからシッポがはみ出す・・・。こうなるともうケモノ・動物です。

 

近海の“赤いGT”の、その引きのすさまじさと言ったら筆舌に尽くしがたく、何の前触れもなく竿が限界まで曲げられ、道糸がビシャーと数十m疾走していきます。

→第一次バラシ危機。

 

このすさまじいひとのしで、半分以上の大鯛はハリスをぶった切って行きます。いわゆる「瞬殺」。

<回避策>

・ドラグ設定を適切に。

・最初の強い引きに耐え得る仕掛け及び結節を使う。

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▲頭の上から尻尾の先まで速筋(白筋=白身)覆われた巨体が発する瞬発力はすさまじく、一息で数十m糸を出します。

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▲巨大な尻尾で猛烈に引っ張るので、ドラグを効かさないと3~4号はひとたまりもない、10号ハリスでもぶった切られそう。

 

この衝撃的な引きが来たら釣り人はただ竿を持って耐えるだけ。頭が真っ白・パニクって、スプールを親指で押さえたりドラグを締めて糸の出を止めようとして切られるパターンが定番(笑)。

→第二次バラシ危機。

 

大鯛が疾走を始めると勢いが付いて走りが加速し、この疾走中にビシの抵抗等でハリスが切れたり針が伸びたりします。

<回避策>   

・竿の弾力とドラグで適正な負荷を与え続け、加速を最低限に抑制する(むずい)。

・誘導テンビンの活用。

 

運良くファーストランに耐えることができたら、ゲットできる確率はグッとアップします。でも止まった瞬間に危険が待っている・・・。

→第三次バラシ危機。

 

大鯛が止まった瞬間に針がはずれるパターンが結構あります。上手くフッキングしていないからか、ポロッと針がはずれるポロリバラシ・・・痛恨の極みです(笑)。

針が歯に引っかかっていただけなのか、食いしばっていた口を開いたと同時に針を吐き出したのか・・・。

<回避策>   

・手持ちの場合、当たった瞬間に強く合わせる。アワセが間に合わず走り出しちゃったら、はずれないよう・切れないように祈る。

ファーストラン、その後・・・。 

走りが止まったら、水深より数十mも余計に出た道糸を回収していくんですが、何度も何度も強烈な引きが襲ってきます。その都度、竿のタメとドラグを駆使して耐えつつ、とにかく針の位置が海底より上に来るように迅速な巻き上げが肝心。

 

例えば水深40m・タナ20mでヒットして、止まったのでリール水深を確認すると50mまで出てたなんてことがあります。これはビシが海底の根に引っかかったり、ハリスが海底の岩にこすれたり等、非常に危険な位置です。

 

ビシや針の位置が水深より深い場合、常に根ズレの危険があります。根っこに引っかかったり、岩礁や魚礁にハリスがこすれて切られたりを何度も経験してきました。

※一つテンヤでは大物がヒットすると水深プラス数十m糸が出るなどは日常茶飯事だけど、ビシ等の余計な物がないので根ズレはしにくいようです。

※細ハリスにワラサがヒットするとすぐこのような状況になりますが、ワラサの場合根ズレバラシはほとんどありません。チモトが唇にこすれてすり切れるか普通にハリスの強度限界で切れます。

→第四次バラシ危機。

水深より上に針位置が来るまで巻き上げてくると、”引かないけど巻けない”状況に突入することが時々発生します。特にヨシンデの浅場で6kgアップの超大鯛が来ると、この「根掛かりした?」と思うような膠着状況が頻発するように感じます。

かなりテンションを掛けても全く動かず、かといって引っ張るわけでもないので、まるで根掛かりそのものなんですが、竿をめいっぱい曲げて待っていると、ある時突然抵抗が弱まり、少しずつ浮上してくるようになります。

ここまで来れば獲れる確率がグッとアップ。あとは慌てぜ焦らず、時々襲ってくる強烈な引き込みはしっかりと糸を出すことで対処します。

ビシをつかんだら無理にハリスを引っ張らず・たるませず、タモに誘導してミッションコンプリートです!!

針の位置が海底より上になったら、7割方勝負は勝ち。ゆっくり慎重に巻き上げてくれば大捕物は完了、超大鯛=赤いGTとのご対面です。

大鯛君の引きを忘れてたな~。

ここ数ヶ月、ゲットしてきた鯛はせいぜい3kgぐらいまでで、ごくまれにゲットできた大鯛は深場だからか引きがおしとやかだった・・・。

 

だから“衝撃的な引き”を忘れてた。

 

3~3.5号ハリスで数m程度しかドラグが出ない鯛を相手にしていると、「しょせんかわいいお魚ちゃんだし」的なおごりと慣れが忍び込んでくるもんです。

 

そんな心の隙を狙ったように突然やってきたモンスターに手も足も出ずに完敗完膚無きまでやっつけられて、「これが大鯛だった」と思い出した次第です。

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▲ヨシンデ・イサキ漁場直近の超浅場、タカブロ、エンゴ等々・・・、剣崎沖の真鯛ポイントには、どうしようもない超大鯛、赤いGTが潜んでいます。

オラオラ~!!ではダメ。

ワラサや大物の泳がせ釣りやマグロ釣りなどでは、ヒットしたら「オラオラ~負けねーぞ」と、パワー勝負するじゃないですか。

 

だけど真鯛の場合、大物になればなるほど「やったるぜ、どりゃー」系のパワーファイトは一切通用しない、というか、そういうオリャ~的ないきった気持ちがよぎった瞬間にバレる・・・気がする。

 

青物釣り的オラオラモードは、細ハリスを使う真鯛釣りでは禁物だと言うことも、先の敗北で思い出したのでした。

 

忸怩(じくじ)たる思いと共に、眠っていた感性が目覚めた気分(笑)。

 


忘れていた超大鯛狙いの心構えを、整理すべく書いてたら長くなった。

 

チビちゃんをいっぱい釣るのも楽しいけど、そういえば自分は大物一発狙いがメインだった。それを忘れちゃどーしよーもねーやね(自嘲)。

 

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▲こういう楽しそうな情景をみると、ついつい数釣り狙いになりがちなんだけど、超大物への備えを忘れちゃ、本末転倒だぜ。

 

次回は、昨日やっつけられた奴にリベンジすべく、それ相応の仕掛け&心構えの準備をしておこう。数釣り的に不利になっても、超大物が来た時ゲットできる確率の上がる仕掛けをチョイスする、と心に誓ったのでした。でも、あっという間にへたれて細ハリスの数釣りモードに一喜一憂している自分の姿が目に浮かぶ(笑)。

 

さて次回はいかに・・・。