明日は釣行!!その前に予習がてら、やり取りについてちょっと・・・。

先日、良型真鯛がヒットしたとき、一義丸タチ君がその勇姿(笑)を撮影してくれました。
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5kg級大鯛ヒットで悪戦苦闘中です。3号という自分的には細いハリスで、やけに元気な大鯛だったので、やり取りが大変でした、ふ~、びびったぜ(笑)。

そんなことより、注目していただきたいのは手元なんです!!
 
竿、変な持ち方してるでしょ(笑)。それにはワケがあるんです。ということで今回のお題は、
【やり取り時の姿勢について】です。

皆さんは、マダイヒット後のやり取り姿勢を意識したことはあるでしょうか? 
 
自分は写真を撮るのが趣味なので、船上のいろんな人のやり取りを目にしてきました。強すぎたり弱すぎたり、スムーズだったり強引だったり、いろんな人がいます。

理想的なフォーム(姿勢)とは?

コマセ真鯛釣りでは、鯛がヒットしたら竿尻を腹に当て、竿を大きく曲げてファイトするスタイル(以下、「腹当てスタイル」)が一般的とされてきました。
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▲これがその典型姿勢。しっかり竿尻を腹に当て、竿の弾性を最大限に活用しています。竿が弧を描く光景は、見てるだけでワクワクしますねえ(笑)。
 
2.73m前後の55ムーチングマダイロッドでは、斜め上45°に竿をキープして、竿の弾性でマダイの突っ込みを吸収するというのが、理想的なフォームとされてきました。

※このスタイルでは、魚に強く引っ張られて竿を海面近くまで下げるのは、「のされる」と表現し、忌み嫌われてきました。「のされる」イコール「負け」を意味してたんですね。

典型スタイル=理想的なフォームが変化?

ところが最近、このスタイルが変わってきたようなんです。少なくとも自分が乗船する船の手練れたちは、竿を立てた「腹当てスタイル」でのやり取りをしません。
 
竿尻を脇に挟んだまま、あるいは竿尻を肘に当てたまま、竿をあまり立てずに巻き上げる「脇挟み、肘当てスタイル」が主流になりつつあるのです。
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▲典型的な「脇挟み」スタイル。竿を水平よりちょっと上ぐらいにキープし、ドラグを効かせつつ電動タダ巻きで上げてきます。これだとロッドキーパーに掛けたままと変わらないよね(笑)。
 
実はこのスタイル、常にドラグテンションが一定なので鯛の口切れ等の「ポロリバラシ」をしにくく、結構効果的なやり方なんです。
※ただし、大鯛が掛かったときはなかなか上がってこず、回収に時間が掛かるのが難点かな。
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▲こちらも「脇挟み」スタイルだけど、「竿の弾力を活かす角度」を意識しつつ、ポンピングも多用して迅速に巻き上げてます。
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▲この方も「脇挟み」スタイル・・・というか、脇腹あたりに竿尻を当てつつ竿を立てる「腹当て」スタイルと「脇挟み」スタイルコンポジット・・・表現はカッコいいね(笑)。
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▲この方は「肘当てスタイル」ですね。ヒット中とは思えない自然体のやり取りです(笑)。
※この竿もそうですが、某有名釣具店のロッドビルディングパーツを使った竿は、リールシートから竿尻までが非常に短いため、必然的にこのようなスタイルになるようです。軽くて扱いやすい竿なんだけど、あと15センチぐらい竿尻が長い方が自分的には使いやすいなあ・・・。
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▲この方も「肘当てスタイル」です。理想的な角度で竿をキープしてるので、見ていて気持ち良いですね(笑)。赤と黒のコントラストもきれいです。
 
皆さん、剣崎一義丸のトッププレイヤーです(勝手に写真撮って勝手に載せてます笑)。そんな彼らが選んだやり取りが、揃って「あまり竿を立てないスタイル」になったのはなぜなのでしょうか?

短竿主流で、スタイルも変化?

これら「脇挟み~肘当て」スタイルの利点は、急激な引き込みが来た際、瞬時に竿を下に向けスムーズに糸を出すことができる点にあります。
※長竿時代は「のされる」と表現され、悪い姿勢の典型だった「竿下げ」姿勢が、短竿では普通に行われています。大げさにいうと「パラダイムチェンジ」ですね(笑)。

短竿使用時に、竿下げ姿勢が不可欠なワケとは?

 3m以上の長竿は、大きく曲がり込む「タメ」があるため、「腹当てスタイル」で引きを吸収することができます。
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長竿使用時の、理想的なポジショニングです。引きを吸収しきれないときは、この姿勢のままドラグを効かせて糸を出します。出さないと切れます(笑)。
 
しかし、タメが効きにくい短竿では、竿の曲がりだけでは大鯛の急激な引きに対処できないため、竿の角度を大きく変える事でハリス切れを防いでいるというワケです。
 
上記画像の「手練れ」たちは、2.1~2.7mの短竿を使ったやり取りで痛恨のバラシを何度も経験し、必然的にこのようなスタイルが身についたのだと思います。さぞかし
たくさんの大鯛を逃して来たことでしょう(笑)。一部、今だに大物バラシ率が高い人たちがいるけどね・・・。

上で、「竿の角度を変えることで、ハリス切れを防ぐ」と、さりげなく書きましたが、それはなぜなのかわかりますか? 

ベテラン諸氏は当然ご存じだとは思いますけどね(笑)。

それは、

「竿の角度によって、糸の滑り出す強度が変わるから」

なんです。

この、

竿を立てたときと下に向けたときで、ドラグ強度が大きく変わる

ということを具体的に意識している人は、どれだけいるのかと問いたいわけです!!
 
そんなことを意識してどうなるかって?


「強度の差」を意識することで、やり取りがスムーズになるんですよ!!

竿の角度によるドラグ強度の変化。

竿を立てたとき、道糸がガイドをこする摩擦抵抗で糸の出が悪くなり、逆に竿を下に向けたときは摩擦抵抗が小さいため、リールから糸を引っ張り出したドラグ設定通りの強度で糸が出ます。

で、強度に差があるというのは、ちょっとやり込んだ人なら当然ご存じでしょう。

でも、その差がどれぐらいか調べた人はあまりいないと思うんです・・・。

自分は調べましたよ(笑)。

2.7mのマダイ竿に糸を通し、竿を曲げない状態(ガイドによる摩擦抵抗小)と、竿をめいっぱい曲げた状態(摩擦抵抗大)で、糸が出る強度にどれぐらい差があるか測ってみました。
 
どれぐらい強度に差が出ると思います? 
1割?

3割?

5割?
 
正解は・・・。
 
 
ズバリ・・・。
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「ド~ン! 3割です」。
 
リールから糸を出すときに1.5kgにドラグ設定すると、竿を下げている状態では1.5kgのままですが、竿を曲げると2kg近くまで糸が出ません

細ハリス使用時に、この差は結構大きいです。

ちなみに、

ハリス3号を使った コマセ真鯛釣りの場合、ドラグ設定は「波の揺れで糸が出ない程度」という極めてアバウトな設定が長年推奨されてきました。これを計測してみると、だいたい1kgぐらいです。
 
置き竿時にこの設定だとゆるすぎて向こうアワセが効かず、合わせようと竿を手に持ったときにはポロっとはずれちゃってるバラシが増えるというのが実情です。
※昔のように大きなコマセカゴを使っていたときは、その水圧抵抗で勝手にアワセが効いてましたが、今のM~FLサイズのコマセカゴでは水圧による抵抗が少ないため、フッキングが甘くなります。
「竿が突っ込んで→糸が出て→そのまますっぽ抜け」という場面を、何度見てきたことか・・・。
 
なので、コマセカゴが小さくなった昨今のドラグ設定は、3号ハリスで1.21.5kgぐらいが良いと思います。

「3割の強弱」を意識したやり取り。

「竿の角度によって糸の出はじめる強度が3割前後変化する」という話に戻ります。

皆さん同じように待ち受け時は、ドラグ設定を1~1.5kgにしていると思います。

で、大物がヒットしたとき、いきなり竿を立てるとドラグ設定より3割増し(=2kg前後)まで糸が出なくなるので、切られやすくなります。

だから、糸がガンガン出るときは竿を寝かせてドラグ設定通りの強度で糸が出るようにします。止まったら竿を立てることで糸が出にくくしてプレッシャーを掛け、また走ったら竿を寝かせて糸が出やすくする・・・。

これが短竿使用時にバラしにくいやり取りじゃないかと思うわけです。
竿をあまり上下させない長竿使用時とは、かなり違いますね。

短竿の上半身全体を使ったやり取りの方が、スリルがあって楽しいかな。長竿の方がバラしにくいかもしれないけどね。

竿の角度=3割の強弱を意識したやり取りができれば、やり取り時間が短縮でき、大鯛ゲット率もアップするはずです。
 
ここで、やり取り姿勢の話に戻ります・・・。

第三のスタイル?

前述した「腹当てスタイル」と「脇挟み・肘当てスタイル」ですが、「腹当てスタイル」は大きな竿の上下動が取りにくいので、「竿の角度によるドラグ強度の差」を意識する必要はありません。
※そういう意味では「腹当てスタイル」は結構大ざっぱなやり取りになりがち・・・。4号以上の太めハリス使用時や、ワラサ等のパワーファイトに適した姿勢といえます。

自分も、先の手練れ常連に習ったわけじゃないですが、「腹当てスタイル」はあまりしません。特に細ハリス使用時は、ドラグ設定通りの糸の出が期待できる「竿下向き姿勢を瞬時に取れる体勢にしてます。
 
で、その竿を下げやすいスタイルですが、「脇挟み・肘当てスタイル」じゃないんです。
 
最初のやり取り時の画像をもう一度ご覧いただくと(自分のファイトシーンなんてほとんど画像に残ってないので多用しちゃうぜ笑)。
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▲手元を見ると、「腹当て」でも「脇挟み」でもないスタイルでしょ。
 
竿尻を左手で握り、右手をリール横に置いてます。
これが第三のスタイルなんですよ(笑)。

利点がいっぱいな「第三のスタイル」。

この「右手前グリップ・左手竿尻スタイル」は、瞬時に竿先を下に向けられる「脇挟み・肘当て」スタイルの利点と、竿を高く立てて竿の弾性を最大限に効かせる「腹当て」スタイルの利点の、両方を活かせる究極の形なんです(笑)。
 
そのほかにも利点がいっぱいです。列記してみると・・・、
●手持ち時の疲労軽減に最適。

長竿での手持ちの場合、脇挟みスタイルだと結構疲れますよね?
そんな時、この「右手前グリップもしくはリール横、左手竿尻」スタイルだと、腕の疲れが半減するので楽チンです。
●竿跳ねを抑える。

揺れる船上で、竿が跳ねないように操作する際も、右手が支点になるこのスタイルは、スムーズに竿を上下させることができるので、船の上下動による竿の跳ねを抑えることが可能です。
●アタリが明敏化。

さらに、右手の支点部分は、竿先の小さな当たりを敏感にキャッチすることができるので、当たりが明敏化します。すかさず合わせられるので、魚に先手を取らせないやり取りができます。
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10年以上前からこのスタイルです(笑)。
 
手持ちだけど楽したい・・・そんな怠慢発想から生まれた楽釣フォームなんですよ(笑)。

楽チンスタイルの欠点・・・。

この、腕が疲れない「第三のスタイル」ですが、実は重大な欠陥が2あります。
一つは・・・、
●リールが巻けない!!

この姿勢だと、手巻きでリールが巻けません。では、どうやってやり取りするのか?巻き上げレバーもしくはちょい巻きスイッチオンリーでやり取りするのです!!

自分、やり取りにハンドル握ったことありませんから(キッパリ)
 
手巻きでやり取りを楽しみたいという人には、不向きなスタイルですね(笑)。

<手巻きしなくても良いという人は先にお進みください(笑)。>

 
それよりもっと重大な欠陥があるんですよ!!
 
それは・・・、
 
●糸の出をコントロールできない!!!

左手がリールを握る(パーミング)位置にないので、親指ドラグで糸の出を抑えることができないのです。
※ゆるゆるドラグでの待ち受け時に、竿を振り上げるだけではドラグが滑ってアワセが効きません。だから、糸の出を止められないのは致命的欠陥なんです。
  
左手がリールを握る位置にある時は、親指で道糸の出を止めつつ竿をあおって合わせられますが、左手で竿尻を持つ姿勢の時はそれができない・・・。
 
楽な姿勢は保ちたいけど、アワセが効かないのは困る」と、悩みましたねえ。


で、出した答えが、「右手人差し指のドラグ化計画」です(笑)。

右手人差し指で糸の出をコントロール。

先のやり取り画像を拡大してみると、
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▲右手人差し指が、道糸を下から押し上げています。この動作によってラインを止めることができるのです。
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▲手持ちでの待ち受け時や、ポンピングするために竿を下げたときは、指で道糸を強めに押さえて、糸の出を抑制します。
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魚が強く引っ張ったときは人差し指を道糸から離して糸が出やすくし、さらに竿を下げます。ポンピングで竿を立てているときも、この状態にしてドラグが効き過ぎないようにします。
 
10年前の画像を拡大してみると、
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▲右手は前グリップを握りつつ、親指と人差し指で道糸を挟んで糸の出をコントロールしてます。当時から指ドラグの重要性を意識していたんですね、偉いぞオレ(笑)。
 

<ちなみに1>置き竿時にヒットした際は・・・、

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前グリップを道糸ごとつかむことでラインを止め、竿を強くあおって針掛かりさせます。十分な重量が伝わったら、すかさずラインを放し、糸が出やすいようにしないとハリス切れするのでご注意を。

<ちなみに2>手巻きハンドルで巻き上げできない問題は、

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▲親指で巻き上げスイッチを操作しつつ、人差し指で道糸を押さえてドラグ強度を調節してます。

これなら、ハンドルを握らなくても大丈夫です(笑)。

ということでまとめてみると・・・。

●右手前グリップ・左手竿尻の利点。

<待ち受け時>
のけぞったりうつむいたりすることなく、直上から海面まで幅の広い誘いを楽にこなせる。
・竿を手で持っていても疲れにくい。
・竿の上下動がスムーズなので、船の揺れを吸収しやすい
アタリが明確に手元に伝わる。


<ヒット後>
・強烈な引きの時、竿を海面まで楽に下げられる
・魚の走りをストップさせるために、竿をめいっぱい立てることが楽にできる

・腹当てスタイルよりはるかに広いレンジでポンピングができるため、巻き上げが早くなる。
・脇当てスタイルより腕が疲れず、やり取りが楽

弱点は?

・リールをパーミングしないので、親指ドラグが使えない
人差し指でレベルワインドから出てくる道糸を抑えることで、糸の出をコントロールすることで対処。


・突然の大物ヒット時は、道糸をおさえた人差し指が切れる
→ちょっと血が出ても、大鯛が捕れれば痛くないでしょ?(笑)。


・手巻きができない(笑)。
→魚がヒットしたら、手巻きで巻きたいという人にはマッチせず、残念。

各スタイルの併用で、ゲット率アップを。

やり取り時のスタイルは、各人お得意のやり方があると思いますが、そのスタイルに上記で紹介した「第三のスタイル」を加えていただくと、さらにスムーズなやり取りができるのではないでしょうか。
 
自分も、大物がヒットしてやり取りが長引いた際は、第三のスタイルと、脇挟みスタイル、腹当てスタイルを交互に変更し、腕の一部だけが疲れるのを防いでいます。疲弊するとやり取りがテキトーになるし、次の大物が来たとき対処できなくなっちゃいますからね。

ということで今回は、

・指ドラグの活用。
・竿の角度によってドラグ強度が変わる。
・第三のスタイル。
この3点がお伝えしたかったことなんです。
 
でもねえ・・・。

このように能書きをたれ、大から小まで散々マダイと遊んでもらってきても、どうにも対処不能な大物が突然ヒットして来て、手も足も出なかったりするのがマダイ釣りの面白いところなんですよねえ・・・。
 
果たして今回のブログは、大物ゲットの一助になるのか・・・。
なれば幸いですけどね(笑)。
 
バイバイ