宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<中国、50都市で5Gスマホを売り出したのだが、まさかの酷評 | Hideoutのブログ

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 四月に古稀を迎える爺ののブログです。

 日本を取り戻したい……そんな事をエントリーしたい。

 覚醒したら、こんな見方になるのかなと言うものに。

    5Gは酸化ガリウムがシリコンウエハースに取って代わられ、薄型の半導体チップが乗り、省電力、薄型のスマホが定着するまでは効果が出ないのではと僕は考えている。まぁ支那の技術段階では実用に暫く掛かるかな?基地局なども全て酸化ガリウム上にチップが乗った段階で論じるべきだろう。と僕は思っている。薄型でスマホを作らないとバッテリーが持たないだろう。リチウム電池の発熱の対策も。


    5G吹っ飛ばして、6Gが登場なんてことになりそうな予感。


    SONYからKYOCERAへ替えたが、失敗だったかなあと思いつつ、書いている。


宮崎正広メルマ

http://melma.com/backnumber_45206_6875760/

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」

令和元年(2019)11月4日(月曜日)

         通巻第6261号

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「背伸びしすぎ」「買うんじゃなかった」「時期尚早だ」

  中国、50都市で5Gスマホを売り出したのだが、まさかの酷評

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 「チャイナ・ユニコム」(中国連通)、「チャイナテレコム」(中国電信)、「チャイナ・モバイル」(中国移動)のジャイアンツ三社が、11月1日から「5G」スマホの販売とサービルを五十都市で実験的に開始した。


 高い期待があつまって、いまかいまかと売り出しを待ちわびる人が目立った。ところが、 高速データ処理が謳われたにもかかわらず、「価格が高いのに、遅い」とユーザーの声があがった。「パケッジが高すぎる」との不満の声が集中した。


 「4Gと5Gの差を旅行に喩えるなら、バスでのろのろ行くか、フェラーリで飛ばすかの違いだ」と言われた。しかし現時点でのスピードは4Gと差違がめだつほどでもなく、北京だけでも10000のアンテナ基地を整備したというのに、データ処理の時間は、期待はずれ。河南省、山東省、浙江省でも同様な評価だという。


 ゴールドマンサックスの見積もりでは、中国は2025年までに5Gの開発と普及に1500億ドルを投資する。したがって中国の巨大市場でベストセラーとなれば、膨大な開発研究費はすぐにもカバーできると予測され、米中の5G戦争は圧倒的に中国がリードと西側のメディアも報じていたが、あれは過大評価だったのか。


 小美(シャオミ)は九月に5Gを3999元(邦貨換算で6万円)で売り出した。華為技術(ファーウェイ)は、まもなく16999元(255000円)で5G(MATE X)を売り出す(購買力平価から言って、中国人の平均できサラリーマンががこの価格帯の新製品を買えるのかナ)。

 幸先よきスタートの筈だった。想定外の不評、この先に待つのは?

      □△○み△□△○や△△○ざ◎△□○き□△□ 

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  ☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆ 

  書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 

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韓国人が屈辱を晴らすには「阿Q」のような精神的勝利を求めるか

 劣等感と屈辱の裏返しを、日本を禽獣と喩え罵詈雑言をはいて自己満足するか


  ♪

石平『朝鮮通信使の真実』(ワック)

@@@@@@@@@@@@@@@


 毎回、新分野に挑戦しながらも、日本人の思考範囲になかった視点から、斬新な解釈を提示する著者、いまや「石歴史学」を構築しつつある。

 最近作は朝鮮通信使の、目が醒めるような解釈である。

 副題が「江戸から現代まで続く侮日・反日の原点」となっていて、この副題は本書の内容の一部に過ぎない。要するに結論は「あの国とはかかわるな」である。

 さはさりながら、戦後の歴史教科書が教えるところの朝鮮通信使とは、豊臣秀吉がなした「侵略」に対して江戸幕府の懺悔、謝罪のために朝鮮通信使を厚遇したことになっている。そんな解釈をするのも、日本人特有の自虐史観のなせる業だ。

 秀吉の朝鮮半島進出が「侵略」であったわけだから、日本は謝罪し、賠償金を払っても当然という錯誤した歴史解釈を日本の左翼と韓国の「学者」が共有している。倒錯した史観、というより戦後「創作」された出鱈目である。


 ここで評者(宮?)は繰り返す意図はなかったけれども、秀吉の朝鮮進出は切支丹伴天連の日本侵略を予防する自衛の戦争だった。米国の戦略用語でいう「プリエンプティブ・ストライク」(予防的先制攻撃)だった。

イエズス会は今日の定義で云えば「IS軍」であり、宣教師は仮の姿であって、侵略の可能性を探るために派遣されてきた先鋭偵察隊という側面がある(評者の『明智光秀 五百年の孤独』<徳間書店>を参照)。

 そのキリスト軍団が日本侵略の拠点化としてシナを植民地化しようとするなら、その前に先制攻撃をかけることは軍事学、地政学の常識だろう。


 さて朝鮮通信使の謎を解く鍵は、第一に徳川幕府の政治的意図、第二は朝鮮側の自主的な意思、そして背後にちらつく中国の思惑と、その評価ということになろうか。

 第一回の朝鮮通信使派遣は、1607年、つまり家康が天下を取って征夷大将軍となってから、僅か四年後だった。しかも使節は日本に謝罪を求めるのではなく、朝貢が目的だった。江戸幕府に臣下の礼をとりにきたのだ。

 記録を何度読み返しても、朝鮮が大型使節団の派遣に踏み切り、「四拝半」という臣下の礼をとっての朝貢だったことは明らかである。

これを戦後、歴史教育は教えず、左翼学者は意図的に無視した。かれらは都合の悪いところは常に隠すか無視するのだ。

 要するに朝鮮が江戸幕府のご機嫌をとる必要性があった。合計十二回もやってきたが、なかには屈辱的(使節側からみれば)に日光東照宮への参拝を要請され、従った。

もっとも注目するべきは朝鮮側が通信使を十二回派遣したが、「日本側は朝鮮に使節団を派遣したことは一度もない」という動かない事実である。

日本にやってきたのは当時の朝鮮の知識人達だったから、その屈辱の鬱憤を晴らすために、日本の印象を悪くする報告を書き上げた。


ところが、彼らが日本で目撃したのはモノに溢れ、庶民の生活が豊かであり、礼儀正しく、清潔で、そして文明が高いという衝撃だった。ますますかれらの屈辱的劣等意識は沈殿していく。居場所がない。

 そのうえ、朝貢にくる使節団を江戸幕府は冷遇せず、高飛車にも出ず、日本は「おもてなし」に徹した。

 「当時の江戸幕府と幕府の命令を受けて通信使の接待にあたって沿道の諸大名は、むしろ財力と誠意の限りを尽くしてかれらを最高級の賓客としてもてなした」のである。お人好しニッポンの面目躍如だろう。

 にもかかわらず、負い目を逆転して自分たちのほうを高みに置くために、通信使らは、日本の知識人の詩歌が稚拙であり、教養が足りないとか、字が汚いとか、林羅山は教養が劣るとか、そう報告することによって精神的な高低を自らが採点し、自分らを高みに置かなければ屈辱を晴らせないという強迫観念に取り憑かれざるを得なかったのだ。 

 目から鱗が続いて落ちた。

             ◇◎◇◎◇

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  ☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆⌒☆ 

  読者の声 どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS  

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  ♪

(読者の声1)以下は「読売新聞」(11月1日)の記事です。

「【瀋陽=東慶一郎】モンゴルの警察当局は10月末までに、サイバー犯罪に関わった疑いで中国人約800人を拘束したと発表した。モンゴルメディアによると、違法なオンラインカジノやハッキング、マネーロンダリング(資金洗浄)などに関与していた可能性がある。大半は30日間の観光ビザで入国し、首都ウランバートル市内の複数のホテルに滞在していた。当局は約2か月間の内偵捜査の末、10月29日に強制捜査に踏み切った。関係先から約1000台のパソコンと携帯電話のSIMカード約1万枚を押収した。数人の中心メンバー以外は中国に強制送還される見通し」(引用止め)。

いま、日本でもかなりの中国人犯罪者がいるはず。一斉に千人ほど逮捕してほしいものですね。

(ムサシ)


  ♪

(読者の声2)諸々の書籍の紹介(川口マーン惠美『移民難民』(グッドブック)・老村・著。夛田狷介・訳『騒土』(中国書店)。宇山卓栄『韓国暴政史』(扶桑社新書)は、その紹介の文自体が大変重要かつ貴重なものであり、コピーして保存版としました。

司馬遼太郎の半島尊重の史観は、朝鮮の役で日本に来た陶工の子孫の人との私的な交流による感情が大いに影響しているのか、或いは順番が逆か、いずれにしても関係があるのではないかと思います。

実現は困難でしょうが、宮崎さんと左翼・反日の歴史家あるいはメディアの代表の公開討論が実現したら面白いでしょうね。

  (関野通夫)


  ♪

(読者の声3)「つくる会・神奈川県支部」では、来る11月24日(日)に山田宏参議院議員(元東京都杉並区長)・中田宏元横浜市長をお招きして、W講演会を開催致します。

ご存知の通り、お二方ともかつて首長時代に「つくる会」教科書の採択に尽力して頂いた方です。来年夏の中学校教科書採択を控え、「教科書改革!ヨコハマの炎を広げよう」をテーマに、存分に語って頂きます。

事前予約は不要です。皆様方の奮ってのご参加を、スタッフ一同心よりお待ち申し上げております。

             記

日時: 11月24日(日)18時00開演、20時30分終了

場所: かながわ県民センター・2階ホール

    http://www.pref.kanagawa.jp/docs/u3x/cnt/f5681/access.html

講師: 山田宏氏 参議院議員。元東京都杉並区長。

    中田宏氏 シンクタンク「日本の構造研究所」代表。元横浜市長。

◎山田宏氏&中田宏氏 W講演会「教科書改革!ヨコハマの炎を広げよう」

     ~誇りある日本の真実の歴史を子供達に伝えたい…戦後教育に真っ向から

     立ち向かった元首長、二人の〈ヒロシ〉が熱く語ります!

参加費:1000円

主 催:新しい歴史教科書をつくる会・神奈川県支部

後 援:日本会議神奈川・教育を良くする神奈川県民の会

    日本世論の会神奈川県支部・日本大好き市民の会

    日本文化を学ぶ会

     (新しい歴史教科書をつくる会・神奈川県支部)


   ♪

(読者の声4)貴誌11月2日付け書評欄を読んで、思い出すのは韓国南部を旅行したときのことでした。

 1.韓国の前方後円墳は貧弱でちいさなものばかりで、これを見る限り日本か ら、韓国の方に前方後円墳の文化が流れていったと感じた。

 2.韓国南部の王族の博物館で当時の王則の名は漢字2文字で、日本の風習のままだった。これも日本が主で、連中が従であったことを思わせる。

 3.韓国には石器時代の遺跡が見当たらない。

 これらを同行の韓国人大学教授に尋ねましたが、1,2は分からない、3は「日本人が総て消し去った」と言う、とんでもないことを言っておりました。

   (Cebuにて、KI生)


(宮崎正弘のコメント)釜山のかなり西側のほうですね。前方後円墳があるのは。ですから、あのあたりに任那日本府があったのですが、まだ見つからない。

釜山から東海岸のほうへ行くと秀吉のときに進出拠点となった「倭城」が三つ、四つ残っていますね。時間が出来たら行ってみたいものです。


  ♪

(読者の声5)貴誌前号、書評の宇山卓栄『韓国暴政史 文在寅現象を生み出す社会と民族』に関連して古代史における半島南部は「倭」の勢力圏だったことが指摘されています。任那日本府については1960年代の教科書の歴史地図には半島南部に赤く記されていました。

 その任那日本府について書かれた本の一つに、大平裕「知っていますか、任那日本府 韓国がけっして教えない歴史」があります。

大平氏は大平正芳元総理の次男で大平正芳記念財団の代表という異色の経歴。氏は半島南部に存在する前方後円墳の数々を実際に見聞し、都合が悪くなると古墳を削ったり埋めたりして日本の影響がなかったことにし歴史を改竄する韓国を批判し歴史的にも古代から裏切りの常習者だった半島民族を描いています。


 北朝鮮と韓国を「一つの民族」と喩え、統一朝鮮と叫ぶのは間違いというのは顔立ちを見てもわかります。

南北朝鮮のスポーツ選手の顔立ちがまったく違うのはサッカー選手の集合写真を見ると一目瞭然。ちなみに韓国のネットテレビを見ていると北朝鮮の話題がよく出てきます。金正恩が視察に赴く先々、メモ帳片手に真面目な顔で頷く側近たち。そんな中に石破茂そっくりさんがいて笑ってしまいました。石破氏の出自は知りませんが、半島北部のDNAが流れているのは間違いないのでは。

 半島のDNAといえばウナギイヌこと愛知県の大村知事には父親は密航者で母親は在日という噂があるようですが、大村氏の発言や行動を見ると噂を裏付けるものばかり。

 パチンコ大手のマルハン会長は日本の敗戦後まもなく実兄の手引で密入国しながら在留資格を得て日本に帰化しています。

在日一世の話では大村の収容所に入れられても日本の国会議員が身元引受人になり日本に定住できたという話がよくでてきます。

中国から日本への蛇頭や北アフリカや中東から西欧を目指す難民を手引する業者がいるように密航・難民ビジネスは利潤も大きいのでしょう。

 中国大陸と朝鮮半島が政情不安となり日本に難民が押し寄せる事態が迫っているかもしれないというのに野党は微々たる金額の政治資金規正法違反での大臣辞任をもとに国

会での審議拒否。沖縄の選挙など戸別訪問から饗応まで違反だらけなのにまったく問題にならない二重基準。野党とは気楽な稼業ときたもんだ、とサボリーマンを揶揄する声が聞こえてきます。

安倍政権の最大支援者は野党だというジョークもあながち間違いないのでは?

(PB生、千葉)。


  ♪

(読者の声6)大学入試への英語民間検定試験導入という空騒ぎはひとまずお休みとなった。「大学入試改革はやればやるほど悪くなる」と、昔、小室直樹氏が言っていた。「昔(明治から昭和初期まで)の日本人の英語は立派だったが、今はまったくだめダメ」とは昔のアメリカ駐日大使ライシャワー氏の言。

確かに昔は、森鴎外、夏目漱石、福沢諭吉からジョン万次郎、西周、新渡戸稲造、金子堅太郎等々、あらゆる分野に外国語の達人がいた。彼らが作った翻訳語のお陰で今の日本人は外国語の学習なしに世界中から知識を得ることができる。

この特権は素直に享受してよいのではないか。学校から英語の授業がなくなれば、多くの子供たちにとって、学校生活はより楽しいものになる。勿論、選択科目として残すのは問題ない。


 今時、どうして大学入試科目に英語があるのか。大学の授業で英語を使うのは英文科など限られた学科だけで、その他の学科では大学院まで日本語だけで十分。学位論文も、英文科を含めて、ほとんどの学生が日本語で書く。

 日本人の9割は、英語なしに一生を送っているのが現実だ。文部科学省が想定する「グローバル化時代の英語力」なら、3万円で買える74言語対応のポケット通訳機で十分に間に合う。ちなみに来年施行の新学習指導要領案では、高校卒業までに学ぶ英単語数は4,000 から5,000語。アメリカの子供が小学校に入る頃の語彙8,000!)1万語に遠く及ばない。

 むしろ喫緊の課題は、外国語の達人を目指す1割の若者に対する英才教育だ(英語以外の言語を含む)。国策として、高校生の1割を、それぞれの言語圏に10年くらい留学させるのが最も効率的だろう。

これは明治政府が行ったことで、効果のほどは実証済みだ。


 昔、某国立大学が入試の得点と入学後の成績との関連を調査したことがある。

いずれの学科でも、入試で国語の成績がよい学生が入学後も成績を伸ばしていたという。恐らく今もその傾向は変わらないと思う。

日本語の作文だけで入学者を選抜する勇気ある大学が現れれば、英語が苦手な、隠れた逸材を多数見出すことになるだろう。参考になるのはフランスのバカロレア(大学入学資格検定試験)。今年の哲学論文課題は次の通り(所要時間4時間、筆記用具は万年筆またはボールペン):

 人文系: 時間から逃れることは可能か? 芸術作品を解釈することは何になるのか?

 経済社会系: 道徳は最良の政策なのか? 労働は人々を分断するのか?

 理系: 文化の多元性は、人類の一体性を妨げるのか? 義務を認識することは、自由を捨て去ることなのか?

 採点? 自分の大学の入学者くらい自分で選びなさい!

   (昔の外国語教師、福島)

          □○△○□△○△□  

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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 

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樋泉克夫のコラム

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【知道中国 1980回】                 

――「臺灣の事、思ひ來れば、感慨無量・・・」――田川(17)

田川大吉郎『臺灣訪問の記』(白揚社 大正14年)


  △

 やはり最高の教育を施すことで「臺灣の文明を促進し、臺灣人をして、今世紀の文明を解し、世界の大勢に順應せしむる基礎を築かしむるを得ば、日本が此島を支那より得て、世界に起誓したる當初の趣意、精神も、以て徹底せらるに近かるべし」。


だから教育で台湾人の日本化を図ろうなどと言うは、「日本人自身、日本人の値打ちを廉く、卑しく見積りたるものなり」。「臺灣人をして、日本人に懷き、日本國に悦服せしむるの百年の大策は、蓋し日本人が度量を宏開して、世界的高等?育の普及、發達を圖る在るのみ也」。やはり諌めるべきは短兵急な成果主義ということだろう。


田川が最後に挙げる「本論の骨子」を整理すると、

(1)「臺灣人を見ること、戰敗國の奴隷の如くならず、之に獨立自由の住居地を與へ、樂んで帝國の民とならしむ」。


(2)総督府の任務は、「獨り日本の移住民に厚くせず、從來の臺灣島民に薄くせず、彼も此も均しく我皇領の民として公平、寛大、親切、平等を採」ること。まさに一視同仁だ。


(3)島民教育に当たっては「單に日本化と云ふ一方に偏依したる、狹隘、淺促の方針」を採るのではなく、台湾をして「世界の大勢に同化し、順應せしむる」を目的とする。いわば「政治 的手段を以て、一時に、性急に、日本的愛國心を強壓注入することを避け、社會的方面より、徐々に、涵養」することを本旨とすべきだ。


さらに「本論の補足」として、「一、臺灣官吏の任選法、及待遇法を重く」すべきこと。「二、臺灣をして有爲なる官吏の登龍門たらしむべき途を開かれんこと」の2点を挙げる。 


「一」について:確かに台湾は外国ではない。だが「最近まで外國に屬したる土地人民」である。ならば統治・経営する責任の重さを考え、外国に派遣される官吏が受ける栄誉や特典――「出入りある毎に謁見を賜はり」、「俸給を加増し」、「其家族携帶費等を給與せらるゝ」など――は考慮される必要がある。


「二」について:「今日の如く臺灣官吏の選叙を輕忽にし、且、其内地に轉任の場合、特に一等降下すべき制限を附し」ているが、それは中央政府が台湾統治の意味・意義に考えが及んでいないからだ。「臺灣今日の病は上下官吏が、一日の安を偸んで百年の憂い忘るゝに在り、方策なきに非らず、當る者が誠氣を缺くに在り、苟も誠意なし、即ち百千の方法ありとも、何の用を爲さんや」。


 以上で「附録 臺灣統治策」は終わるが、これを総括するなら日本の台湾領有は世界史、あるいは文明史から見て必然であり、日本は日本のための台湾ではなく台湾人のための台湾を建設する。台湾を文明世界に向かわせることが日本の使命である――となろうか。


『田川大吉郎 ――その生涯と著作――』(遠藤興一 ジェイビー出版 2005年)を見ると、明治29(1896)年に27歳で台湾に渡り『台湾新報』の主筆を務め、「乃木希典総督下の台湾で働く」とある。また「臺灣統治策」は同年6月に実施された『大阪毎日新聞』懸賞論文に第2席で入選していることが記されている。つまり「臺灣訪問の記」は「臺灣統治策」の執筆から30年後に書かれたことになるのだ。


「臺灣統治策」から「臺灣訪問の記」までの30年間、台湾総督は乃木、児玉、佐久間、安東、明石の前期武官時代を経て田、内田、伊澤の文官時代の前後8人が務めたわけだが、「臺灣訪問の記」を読む限り、「臺灣統治策」が実現されたフシが見られない。つまり30年が経ても台湾統治は田川の望んだ形では進まなかったことになる。


 50年に及ぶ日本による台湾統治は、どのような影響を台湾に残したのか。「殖民地統治後遺症」に悩まされる日本への処方箋が、田川の主張に隠されているようにも思う。

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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」

令和元年(2019)11月4日(月曜日)

         通巻第6261号

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「背伸びしすぎ」「買うんじゃなかった」「時期尚早だ」

  中国、50都市で5Gスマホを売り出したのだが、まさかの酷評

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 「チャイナ・ユニコム」(中国連通)、「チャイナテレコム」(中国電信)、「チャイナ・モバイル」(中国移動)のジャイアンツ三社が、11月1日から「5G」スマホの販売とサービルを五十都市で実験的に開始した。


 高い期待があつまって、いまかいまかと売り出しを待ちわびる人が目立った。ところが、 高速データ処理が謳われたにもかかわらず、「価格が高いのに、遅い」とユーザーの声があがった。「パケッジが高すぎる」との不満の声が集中した。


 「4Gと5Gの差を旅行に喩えるなら、バスでのろのろ行くか、フェラーリで飛ばすかの違いだ」と言われた。しかし現時点でのスピードは4Gと差違がめだつほどでもなく、北京だけでも10000のアンテナ基地を整備したというのに、データ処理の時間は、期待はずれ。河南省、山東省、浙江省でも同様な評価だという。


 ゴールドマンサックスの見積もりでは、中国は2025年までに5Gの開発と普及に1500億ドルを投資する。したがって中国の巨大市場でベストセラーとなれば、膨大な開発研究費はすぐにもカバーできると予測され、米中の5G戦争は圧倒的に中国がリードと西側のメディアも報じていたが、あれは過大評価だったのか。


 小美(シャオミ)は九月に5Gを3999元(邦貨換算で6万円)で売り出した。華為技術(ファーウェイ)は、まもなく16999元(255000円)で5G(MATE X)を売り出す(購買力平価から言って、中国人の平均できサラリーマンががこの価格帯の新製品を買えるのかナ)。

 幸先よきスタートの筈だった。想定外の不評、この先に待つのは?

      □△○み△□△○や△△○ざ◎△□○き□△□ 

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韓国人が屈辱を晴らすには「阿Q」のような精神的勝利を求めるか

 劣等感と屈辱の裏返しを、日本を禽獣と喩え罵詈雑言をはいて自己満足するか


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石平『朝鮮通信使の真実』(ワック)

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 毎回、新分野に挑戦しながらも、日本人の思考範囲になかった視点から、斬新な解釈を提示する著者、いまや「石歴史学」を構築しつつある。

 最近作は朝鮮通信使の、目が醒めるような解釈である。

 副題が「江戸から現代まで続く侮日・反日の原点」となっていて、この副題は本書の内容の一部に過ぎない。要するに結論は「あの国とはかかわるな」である。

 さはさりながら、戦後の歴史教科書が教えるところの朝鮮通信使とは、豊臣秀吉がなした「侵略」に対して江戸幕府の懺悔、謝罪のために朝鮮通信使を厚遇したことになっている。そんな解釈をするのも、日本人特有の自虐史観のなせる業だ。

 秀吉の朝鮮半島進出が「侵略」であったわけだから、日本は謝罪し、賠償金を払っても当然という錯誤した歴史解釈を日本の左翼と韓国の「学者」が共有している。倒錯した史観、というより戦後「創作」された出鱈目である。


 ここで評者(宮?)は繰り返す意図はなかったけれども、秀吉の朝鮮進出は切支丹伴天連の日本侵略を予防する自衛の戦争だった。米国の戦略用語でいう「プリエンプティブ・ストライク」(予防的先制攻撃)だった。

イエズス会は今日の定義で云えば「IS軍」であり、宣教師は仮の姿であって、侵略の可能性を探るために派遣されてきた先鋭偵察隊という側面がある(評者の『明智光秀 五百年の孤独』<徳間書店>を参照)。

 そのキリスト軍団が日本侵略の拠点化としてシナを植民地化しようとするなら、その前に先制攻撃をかけることは軍事学、地政学の常識だろう。


 さて朝鮮通信使の謎を解く鍵は、第一に徳川幕府の政治的意図、第二は朝鮮側の自主的な意思、そして背後にちらつく中国の思惑と、その評価ということになろうか。

 第一回の朝鮮通信使派遣は、1607年、つまり家康が天下を取って征夷大将軍となってから、僅か四年後だった。しかも使節は日本に謝罪を求めるのではなく、朝貢が目的だった。江戸幕府に臣下の礼をとりにきたのだ。

 記録を何度読み返しても、朝鮮が大型使節団の派遣に踏み切り、「四拝半」という臣下の礼をとっての朝貢だったことは明らかである。

これを戦後、歴史教育は教えず、左翼学者は意図的に無視した。かれらは都合の悪いところは常に隠すか無視するのだ。

 要するに朝鮮が江戸幕府のご機嫌をとる必要性があった。合計十二回もやってきたが、なかには屈辱的(使節側からみれば)に日光東照宮への参拝を要請され、従った。

もっとも注目するべきは朝鮮側が通信使を十二回派遣したが、「日本側は朝鮮に使節団を派遣したことは一度もない」という動かない事実である。

日本にやってきたのは当時の朝鮮の知識人達だったから、その屈辱の鬱憤を晴らすために、日本の印象を悪くする報告を書き上げた。


ところが、彼らが日本で目撃したのはモノに溢れ、庶民の生活が豊かであり、礼儀正しく、清潔で、そして文明が高いという衝撃だった。ますますかれらの屈辱的劣等意識は沈殿していく。居場所がない。

 そのうえ、朝貢にくる使節団を江戸幕府は冷遇せず、高飛車にも出ず、日本は「おもてなし」に徹した。

 「当時の江戸幕府と幕府の命令を受けて通信使の接待にあたって沿道の諸大名は、むしろ財力と誠意の限りを尽くしてかれらを最高級の賓客としてもてなした」のである。お人好しニッポンの面目躍如だろう。

 にもかかわらず、負い目を逆転して自分たちのほうを高みに置くために、通信使らは、日本の知識人の詩歌が稚拙であり、教養が足りないとか、字が汚いとか、林羅山は教養が劣るとか、そう報告することによって精神的な高低を自らが採点し、自分らを高みに置かなければ屈辱を晴らせないという強迫観念に取り憑かれざるを得なかったのだ。 

 目から鱗が続いて落ちた。

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  読者の声 どくしゃのこえ  READERS‘ OPINIONS  

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(読者の声1)以下は「読売新聞」(11月1日)の記事です。

「【瀋陽=東慶一郎】モンゴルの警察当局は10月末までに、サイバー犯罪に関わった疑いで中国人約800人を拘束したと発表した。モンゴルメディアによると、違法なオンラインカジノやハッキング、マネーロンダリング(資金洗浄)などに関与していた可能性がある。大半は30日間の観光ビザで入国し、首都ウランバートル市内の複数のホテルに滞在していた。当局は約2か月間の内偵捜査の末、10月29日に強制捜査に踏み切った。関係先から約1000台のパソコンと携帯電話のSIMカード約1万枚を押収した。数人の中心メンバー以外は中国に強制送還される見通し」(引用止め)。

いま、日本でもかなりの中国人犯罪者がいるはず。一斉に千人ほど逮捕してほしいものですね。

(ムサシ)


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(読者の声2)諸々の書籍の紹介(川口マーン惠美『移民難民』(グッドブック)・老村・著。夛田狷介・訳『騒土』(中国書店)。宇山卓栄『韓国暴政史』(扶桑社新書)は、その紹介の文自体が大変重要かつ貴重なものであり、コピーして保存版としました。

司馬遼太郎の半島尊重の史観は、朝鮮の役で日本に来た陶工の子孫の人との私的な交流による感情が大いに影響しているのか、或いは順番が逆か、いずれにしても関係があるのではないかと思います。

実現は困難でしょうが、宮崎さんと左翼・反日の歴史家あるいはメディアの代表の公開討論が実現したら面白いでしょうね。

  (関野通夫)


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(読者の声3)「つくる会・神奈川県支部」では、来る11月24日(日)に山田宏参議院議員(元東京都杉並区長)・中田宏元横浜市長をお招きして、W講演会を開催致します。

ご存知の通り、お二方ともかつて首長時代に「つくる会」教科書の採択に尽力して頂いた方です。来年夏の中学校教科書採択を控え、「教科書改革!ヨコハマの炎を広げよう」をテーマに、存分に語って頂きます。

事前予約は不要です。皆様方の奮ってのご参加を、スタッフ一同心よりお待ち申し上げております。

             記

日時: 11月24日(日)18時00開演、20時30分終了

場所: かながわ県民センター・2階ホール

    http://www.pref.kanagawa.jp/docs/u3x/cnt/f5681/access.html

講師: 山田宏氏 参議院議員。元東京都杉並区長。

    中田宏氏 シンクタンク「日本の構造研究所」代表。元横浜市長。

◎山田宏氏&中田宏氏 W講演会「教科書改革!ヨコハマの炎を広げよう」

     ~誇りある日本の真実の歴史を子供達に伝えたい…戦後教育に真っ向から

     立ち向かった元首長、二人の〈ヒロシ〉が熱く語ります!

参加費:1000円

主 催:新しい歴史教科書をつくる会・神奈川県支部

後 援:日本会議神奈川・教育を良くする神奈川県民の会

    日本世論の会神奈川県支部・日本大好き市民の会

    日本文化を学ぶ会

     (新しい歴史教科書をつくる会・神奈川県支部)


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(読者の声4)貴誌11月2日付け書評欄を読んで、思い出すのは韓国南部を旅行したときのことでした。

 1.韓国の前方後円墳は貧弱でちいさなものばかりで、これを見る限り日本か ら、韓国の方に前方後円墳の文化が流れていったと感じた。

 2.韓国南部の王族の博物館で当時の王則の名は漢字2文字で、日本の風習のままだった。これも日本が主で、連中が従であったことを思わせる。

 3.韓国には石器時代の遺跡が見当たらない。

 これらを同行の韓国人大学教授に尋ねましたが、1,2は分からない、3は「日本人が総て消し去った」と言う、とんでもないことを言っておりました。

   (Cebuにて、KI生)


(宮崎正弘のコメント)釜山のかなり西側のほうですね。前方後円墳があるのは。ですから、あのあたりに任那日本府があったのですが、まだ見つからない。

釜山から東海岸のほうへ行くと秀吉のときに進出拠点となった「倭城」が三つ、四つ残っていますね。時間が出来たら行ってみたいものです。


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(読者の声5)貴誌前号、書評の宇山卓栄『韓国暴政史 文在寅現象を生み出す社会と民族』に関連して古代史における半島南部は「倭」の勢力圏だったことが指摘されています。任那日本府については1960年代の教科書の歴史地図には半島南部に赤く記されていました。

 その任那日本府について書かれた本の一つに、大平裕「知っていますか、任那日本府 韓国がけっして教えない歴史」があります。

大平氏は大平正芳元総理の次男で大平正芳記念財団の代表という異色の経歴。氏は半島南部に存在する前方後円墳の数々を実際に見聞し、都合が悪くなると古墳を削ったり埋めたりして日本の影響がなかったことにし歴史を改竄する韓国を批判し歴史的にも古代から裏切りの常習者だった半島民族を描いています。


 北朝鮮と韓国を「一つの民族」と喩え、統一朝鮮と叫ぶのは間違いというのは顔立ちを見てもわかります。

南北朝鮮のスポーツ選手の顔立ちがまったく違うのはサッカー選手の集合写真を見ると一目瞭然。ちなみに韓国のネットテレビを見ていると北朝鮮の話題がよく出てきます。金正恩が視察に赴く先々、メモ帳片手に真面目な顔で頷く側近たち。そんな中に石破茂そっくりさんがいて笑ってしまいました。石破氏の出自は知りませんが、半島北部のDNAが流れているのは間違いないのでは。

 半島のDNAといえばウナギイヌこと愛知県の大村知事には父親は密航者で母親は在日という噂があるようですが、大村氏の発言や行動を見ると噂を裏付けるものばかり。

 パチンコ大手のマルハン会長は日本の敗戦後まもなく実兄の手引で密入国しながら在留資格を得て日本に帰化しています。

在日一世の話では大村の収容所に入れられても日本の国会議員が身元引受人になり日本に定住できたという話がよくでてきます。

中国から日本への蛇頭や北アフリカや中東から西欧を目指す難民を手引する業者がいるように密航・難民ビジネスは利潤も大きいのでしょう。

 中国大陸と朝鮮半島が政情不安となり日本に難民が押し寄せる事態が迫っているかもしれないというのに野党は微々たる金額の政治資金規正法違反での大臣辞任をもとに国

会での審議拒否。沖縄の選挙など戸別訪問から饗応まで違反だらけなのにまったく問題にならない二重基準。野党とは気楽な稼業ときたもんだ、とサボリーマンを揶揄する声が聞こえてきます。

安倍政権の最大支援者は野党だというジョークもあながち間違いないのでは?

(PB生、千葉)。


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(読者の声6)大学入試への英語民間検定試験導入という空騒ぎはひとまずお休みとなった。「大学入試改革はやればやるほど悪くなる」と、昔、小室直樹氏が言っていた。「昔(明治から昭和初期まで)の日本人の英語は立派だったが、今はまったくだめダメ」とは昔のアメリカ駐日大使ライシャワー氏の言。

確かに昔は、森鴎外、夏目漱石、福沢諭吉からジョン万次郎、西周、新渡戸稲造、金子堅太郎等々、あらゆる分野に外国語の達人がいた。彼らが作った翻訳語のお陰で今の日本人は外国語の学習なしに世界中から知識を得ることができる。

この特権は素直に享受してよいのではないか。学校から英語の授業がなくなれば、多くの子供たちにとって、学校生活はより楽しいものになる。勿論、選択科目として残すのは問題ない。


 今時、どうして大学入試科目に英語があるのか。大学の授業で英語を使うのは英文科など限られた学科だけで、その他の学科では大学院まで日本語だけで十分。学位論文も、英文科を含めて、ほとんどの学生が日本語で書く。

 日本人の9割は、英語なしに一生を送っているのが現実だ。文部科学省が想定する「グローバル化時代の英語力」なら、3万円で買える74言語対応のポケット通訳機で十分に間に合う。ちなみに来年施行の新学習指導要領案では、高校卒業までに学ぶ英単語数は4,000 から5,000語。アメリカの子供が小学校に入る頃の語彙8,000!)1万語に遠く及ばない。

 むしろ喫緊の課題は、外国語の達人を目指す1割の若者に対する英才教育だ(英語以外の言語を含む)。国策として、高校生の1割を、それぞれの言語圏に10年くらい留学させるのが最も効率的だろう。

これは明治政府が行ったことで、効果のほどは実証済みだ。


 昔、某国立大学が入試の得点と入学後の成績との関連を調査したことがある。

いずれの学科でも、入試で国語の成績がよい学生が入学後も成績を伸ばしていたという。恐らく今もその傾向は変わらないと思う。

日本語の作文だけで入学者を選抜する勇気ある大学が現れれば、英語が苦手な、隠れた逸材を多数見出すことになるだろう。参考になるのはフランスのバカロレア(大学入学資格検定試験)。今年の哲学論文課題は次の通り(所要時間4時間、筆記用具は万年筆またはボールペン):

 人文系: 時間から逃れることは可能か? 芸術作品を解釈することは何になるのか?

 経済社会系: 道徳は最良の政策なのか? 労働は人々を分断するのか?

 理系: 文化の多元性は、人類の一体性を妨げるのか? 義務を認識することは、自由を捨て去ることなのか?

 採点? 自分の大学の入学者くらい自分で選びなさい!

   (昔の外国語教師、福島)

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  樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 樋泉克夫のコラム 

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樋泉克夫のコラム

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【知道中国 1980回】                 

――「臺灣の事、思ひ來れば、感慨無量・・・」――田川(17)

田川大吉郎『臺灣訪問の記』(白揚社 大正14年)


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 やはり最高の教育を施すことで「臺灣の文明を促進し、臺灣人をして、今世紀の文明を解し、世界の大勢に順應せしむる基礎を築かしむるを得ば、日本が此島を支那より得て、世界に起誓したる當初の趣意、精神も、以て徹底せらるに近かるべし」。


だから教育で台湾人の日本化を図ろうなどと言うは、「日本人自身、日本人の値打ちを廉く、卑しく見積りたるものなり」。「臺灣人をして、日本人に懷き、日本國に悦服せしむるの百年の大策は、蓋し日本人が度量を宏開して、世界的高等?育の普及、發達を圖る在るのみ也」。やはり諌めるべきは短兵急な成果主義ということだろう。


田川が最後に挙げる「本論の骨子」を整理すると、

(1)「臺灣人を見ること、戰敗國の奴隷の如くならず、之に獨立自由の住居地を與へ、樂んで帝國の民とならしむ」。


(2)総督府の任務は、「獨り日本の移住民に厚くせず、從來の臺灣島民に薄くせず、彼も此も均しく我皇領の民として公平、寛大、親切、平等を採」ること。まさに一視同仁だ。


(3)島民教育に当たっては「單に日本化と云ふ一方に偏依したる、狹隘、淺促の方針」を採るのではなく、台湾をして「世界の大勢に同化し、順應せしむる」を目的とする。いわば「政治 的手段を以て、一時に、性急に、日本的愛國心を強壓注入することを避け、社會的方面より、徐々に、涵養」することを本旨とすべきだ。


さらに「本論の補足」として、「一、臺灣官吏の任選法、及待遇法を重く」すべきこと。「二、臺灣をして有爲なる官吏の登龍門たらしむべき途を開かれんこと」の2点を挙げる。 


「一」について:確かに台湾は外国ではない。だが「最近まで外國に屬したる土地人民」である。ならば統治・経営する責任の重さを考え、外国に派遣される官吏が受ける栄誉や特典――「出入りある毎に謁見を賜はり」、「俸給を加増し」、「其家族携帶費等を給與せらるゝ」など――は考慮される必要がある。


「二」について:「今日の如く臺灣官吏の選叙を輕忽にし、且、其内地に轉任の場合、特に一等降下すべき制限を附し」ているが、それは中央政府が台湾統治の意味・意義に考えが及んでいないからだ。「臺灣今日の病は上下官吏が、一日の安を偸んで百年の憂い忘るゝに在り、方策なきに非らず、當る者が誠氣を缺くに在り、苟も誠意なし、即ち百千の方法ありとも、何の用を爲さんや」。


 以上で「附録 臺灣統治策」は終わるが、これを総括するなら日本の台湾領有は世界史、あるいは文明史から見て必然であり、日本は日本のための台湾ではなく台湾人のための台湾を建設する。台湾を文明世界に向かわせることが日本の使命である――となろうか。


『田川大吉郎 ――その生涯と著作――』(遠藤興一 ジェイビー出版 2005年)を見ると、明治29(1896)年に27歳で台湾に渡り『台湾新報』の主筆を務め、「乃木希典総督下の台湾で働く」とある。また「臺灣統治策」は同年6月に実施された『大阪毎日新聞』懸賞論文に第2席で入選していることが記されている。つまり「臺灣訪問の記」は「臺灣統治策」の執筆から30年後に書かれたことになるのだ。


「臺灣統治策」から「臺灣訪問の記」までの30年間、台湾総督は乃木、児玉、佐久間、安東、明石の前期武官時代を経て田、内田、伊澤の文官時代の前後8人が務めたわけだが、「臺灣訪問の記」を読む限り、「臺灣統治策」が実現されたフシが見られない。つまり30年が経ても台湾統治は田川の望んだ形では進まなかったことになる。


 50年に及ぶ日本による台湾統治は、どのような影響を台湾に残したのか。「殖民地統治後遺症」に悩まされる日本への処方箋が、田川の主張に隠されているようにも思う。

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    「日本人の脳」という本からの知識だが、小学校までは英語教育は日本語脳には必要ないと考えている。母語も満足に理解できない日本人を増やしてどうするのか?二流官庁の文科省はやはり馬鹿だと痛感している今日この頃。