ドイツ在住作家が「今年はあまり良くない年だった」というワケ(川口 マーン 惠美) | 現代ビジネ | Hideoutのブログ

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 覚醒したら、こんな見方になるのかなと言うものに。

    もうEUは終わりだな。1人独逸のみが我が世の春だもんな。

現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59213
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 川口 マーン 惠美
大阪生まれ。日本大学芸術学部音楽学科卒業。85年、ドイツのシュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。シュトゥットガルト在住。90年、『フセイン独裁下のイラクで暮らして』(草思社)を上梓、その鋭い批判精神が高く評価される。2013年『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』、2014年『住んでみたヨーロッパ 9勝1敗で日本の勝ち』(ともに講談社+α新書)がベストセラーに。『ドイツの脱原発がよくわかる本』(草思社)が、2016年、第36回エネルギーフォーラム賞の普及啓発賞受賞。その他、『母親に向かない人の子育て術』(文春新書)、『証言・フルトヴェングラーかカラヤンか』(新潮選書) 、『ドイツで、日本と東アジアはどう報じられているか?』(祥伝社新書)など著書多数。最新刊は『世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン』(講談社+α新書)。2011年4月より、拓殖大学日本文化研究所客員教授。 

 年末恒例の重警備
2018年が過ぎようとしている。ドイツでは最大のイベントの一つであるクリスマスも終わり(12月25日、26日は祝日)、普通の勤め人なら27日、28日と2日間だけ休暇を取れば、1月1日の祝日までの11連休が完成する。そして、多くの人がそうしているので、今、働いている人は少ない。

一方、店舗だけは祝日明けの2日間は大忙し。クリスマスに貰ったプレゼントで気に入らない物、サイズの合わない物を取り替えに来る人、クリスマス明けのセール目当ての人などで、ごった返している。

人ごみでのテロの警戒は、クリスマスが終わっても続いている。マシンガンを抱えたいかつい警官の姿には、皆、もう慣れっこになってしまったが、警官たちは、残業、残業でくたびれ果てているという。

でも、こればかりは年末の郵便局のようにアルバイトを雇えば済む話ではないので、どうしようもない。

12月19日、私の住むシュトゥットガルトが重警備となった。モロッコの諜報機関からの情報で警戒を強めたところ、パリのシャルル・ド・ゴール空港と、シュトゥットガルト空港の監視カメラに、不審な男たちが空港の写真を撮っている映像が見つかった。

そのうちの2人が特定され、すわ、空港テロの下見かと重警備が敷かれたわけだが、3日後には人違いと判明。それにしても、あっちもこっちも警備に掛かっている税金は物凄いだろう。

ちょうど同じ時期、ロンドンのガトウィック空港ではドローン騒ぎで、空港が閉鎖される騒ぎがあった。

イギリスでは、空港から1km以内でドローンを飛ばすことは禁じられているが、ガトウィック空港ではこの時期、ドローンが60回以上も目撃されたという。それも市販のものではなく、緻密に設計されたドローンらしい。警察はもちろん、軍まで出動したが、誰が操縦しているのかがわからない。

ガトウィックに向かっていた飛行機は、イギリスだけでなく、パリやらアムステルダムにまで緊急着陸を要請し、クリスマス前の旅客の一番多い時期に、ヨーロッパの空は大混乱に陥った。

こういう新種の犯罪がハイテク社会をあっという間に麻痺させるのを目の当たりにすると、誰かが真似をしそうで怖い。

結局、2日後に容疑者2人が拘束されたが、これも人違い。その後、空港は再開したものの、今も犯人探しが続いている。犯人の目星はというと、興味深いことに、テロの可能性とともに、過激な環境保護主義者の犯行も疑われているという。

 ディーゼル車規制の矛盾
そういえば、環境保護派の力の増大も、今年、顕著だった現象の一つだ。

ドイツでは、彼らの「活躍」で、幾つかの都市の一部で、ディーゼル車が走行禁止の憂き目に遭っている。来年の1月からは、シュトゥットガルト市の中心部にも、最新型のディーゼル車以外は入れなくなる。なぜこんなことが起こったかといえば、ドイツの大気汚染の犯人が、ディーゼル車とされているからだ。

ディーゼル車はCO2排出量は少ないが、その代わり、煤の微粒子を出す。そこで、環境保護団体が大気汚染のひどい地区でのディーゼル車の走行禁止を求めて裁判を起こし、裁判所がそれを認めた。こうして多くのディーゼル車の持ち主は、合法的に乗っていた自分の車で、突然、走れない地区ができてしまったわけだ。

ディーゼル車は、車自体の値段は割高だが、環境に良いということで、これまで政府が奨励し、燃料がガソリンよりずっと安く抑えられてきた。だから現在、ドイツでは登録されている全車両の4割がディーゼル車だ。

特に、小さな業者はたいていディーゼル車を使っている。ちょうど規制に引っかかった地区で営業活動をしていたような零細企業にとっては、走行禁止は致命的だ。もちろん、彼らはドイツの自動車メーカーが排ガス検査をごまかしていたことなど夢にも知らなかったのだから、無実の罪を着せられたようなものだ。

私もシュトゥットガルトの町中に住んでいるので、理論上では来年から、最新型以外のディーゼルに乗っている知り合いは、マイカーでは私を訪ねられなくなる(実際には、検問して車両証を見なければ違反かどうかはわからないので、規制が徹底される可能性は少ないと思われている)。

いずれにしても、これだけ国民生活や国家経済に密接した事柄に、政治ではなく、環境団体がここまで大きな影響を行使するというのは、かなり異常な事態ではないか。

裁判所の出したディーゼルの走行禁止という決定は、結果的に、電気自動車を買いなさいというメッセージに直結する。しかし、多くの人にとって、電気自動車は補助がついてもまだ高嶺の花だ。

だったら、手持ちのディーゼル車を乗りつぶすのが一番無難そうだが、走行禁止地域が増える可能性もあるし、ディーゼル燃料への補助が打ち切られないとも限らない。

そうなれば、ディーゼルに乗るメリットはなくなり、今でも下がっている中古車の値段がさらに暴落するだろう。ディーゼル車の持ち主は、どうしたものかと途方に暮れている

一方、EUは今月、自動車の排気ガスのCO2を、2030年までに、2017年比で37.5%減らすという目標で合意した。それにより、各自動車メーカーは、販売する車の排出するCO2を、この割合まで減らすことを義務付けられる。つまり、電気自動車の販売数を増やさなければならない。守れなければ罰金もある。

一番困っているのは、電気自動車で出遅れたドイツの自動車メーカーで、これを達成するとなると、企業としての十分な利益が保障されなくなる可能性が高い。株式会社が株主の利益を無視して経営するというのは、自由市場の原則に合わない。かつての東ドイツの計画経済のようだ。

 来年こそは良い年に
さらに同じく今月、ドイツの食品・農業大臣は、国民の健康のために、食品に含まれる砂糖、塩、脂肪の量の制限に着手したと発表した。

糖分は、子供用のシリアル類では20%減、ソフトドリンクでは15%減。冷凍ピザの塩分は、生地100gに付き1.25g以内・・・等々事細か。2025年までの達成が目処とされる。

ドイツの多くの食品が、甘すぎたり、脂っこすぎたりすることは事実だが、しかし、いくら国民のためとはいえ、大人の食べるものにまで国が口を出すのは行き過ぎではないか。過剰摂取すれば体に悪いものは、塩分、糖分、脂肪の他にもたくさんある。アルコールだって、タバコだって、肉だって、いちいち規制していたらキリがない。

これらはいったい何を意味しているのか? 国に手取り足取り指図されなければ、正しい生活が送れない人が増えたからだとは思えない。そもそも、正しい生活のあり方は国が決めるものでもない。

しかし実際には、ドイツでは、今年1月からネット上の言論に対する規制も強化されているし、国家による国民生活への干渉や監視が、健康のためとか、環境のためとか、言論の自由のためという隠れ蓑の下で、どんどん厳しくなっているように感じる。

では、今年1年を振り返って、何か良いことはあったかと考えると、ドイツチームの冬季オリンピックでの大活躍。メダルの数はノルウェーに次いで2位だった。ただ、夏のサッカーのワールドカップでは惨敗。

経済は極めて好調だが、ドイツ銀行の危機など不安要因はいくつかある。来年は経済成長にブレーキがかかると予測されており、予断を許さない。政治に至っては、1年以上混乱しっぱなしだった。つまり、あまり良い年だったとは言えないかもしれない。

ただ、夏の暑さは破格で、良かったことと言えるだろう。ドイツ人は普段、炎天を求めて、わざわざバカンスでイタリアやスペインに行くのに、今年は1881年に気象観測が始まって以来、最高に暑い夏だった。

さすがに40度を超えたときには、皆、うんざりしたが、ちょうど休暇を取っていた人たちは、家にいながらにして夏を満喫できた。レストランの戸外のテーブルにも、街の公園にも、ジリジリと照りつける太陽の下、多くのドイツ人が幸せそうな顔で座っていたものだ。

さて、翻って日本。来年は新しい御代の始まり。そろそろ景気が安定し、若い人たちの給料の上がる年になってほしいと願う。

今年も一年、ありがとうございました。皆様が平穏なお正月を迎えられますことをお祈りいたします。★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

    最後は合意無き離脱になるのかどうかが不明だが、英国の今世紀中を考えれば正解になるのかもだな。

    近隣諸国を経済植民地にしてる独逸。EUの政策は誰の為のものとの疑問がフツフツと各国で湧き出してるのだろう。

    遠くて見てると分からなかったフランスの現状は正直悲惨なのだろう。ルノーなんてNISSANと互角だろうと思っていたら、日本の下位メーカーにも劣る技術力しか持ち合わせていなかった模様。

    今日アップした「宮崎正弘メルマ」に仏蘭西は最早芸術大国では無いとの指摘は現在の姿だろう。

    イタリア・フランスなんかの2019年の予算は落第点の模様だし、他の諸国も不平不満を抱えるばかりだろうな。

   ゴタゴタが続くEUとの御付き合いも大変だな。