宮崎正弘の国際ニュース・早読み <<西部さんから「天皇陛下のために死す」という三島由紀夫的言辞は | Hideoutのブログ

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 覚醒したら、こんな見方になるのかなと言うものに。


    この号はメルマガ大賞受賞記念。


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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成30年(2018)2月1日(木曜日)
        通巻第5602号 
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★小誌、2017年度「メルマガ・オブ・ザ・イヤー」を受賞! 四年連続です。

(受賞の言葉) メルマガ・オブ・ザ・イヤーを四回連続でいただき光栄に存じあげます。創刊から十五年、毎日毎日コツコツと努力してきたことが報われ、これからも頑張ろうという勇気を頂きました。有り難う御座いました。
宮崎正弘(メルマガ「宮崎正弘の國際ニュース早読み」主宰)
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西部さんから「天皇陛下のために死す」という三島由紀夫的言辞は聞かれなかった
 自死用のための武器調達は不法とはいえ「合徳」であるとも説いていた
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 あちこちのメディアに各氏の西部遭氏への追悼の辞が聞かれた。
それぞれが哀切の籠もった評価で、参考になったけれども、以下二点の指摘をした人がいなかったので敢えて触れる。

 第一に西部さんからは「天皇陛下のために死す」という三島由紀夫的な言辞は一切聞かれなかったことである。
 ところが、酒場でカラオケが盛り上がると、「桜井の別れ」を唱った。
この話をすると「桜井の別れって、どんな歌ですか?」とよく質問を受けた。楠木正成・正行親子が、湊川の決戦を前にわかれる名場面で、昔は小学校唱歌、誰もが歌った。

 ちなみに歌詞は、

「青葉しげれる桜井の 里のわたりの夕まぐれ
 木の下かげに駒とめて 世の行末をつくづくと
   しのぶ鎧の袖の上に 散るは涙かはた露か」
 
 「正成涙をうち払い わが子正行よび寄せて
   父は兵庫におもむかん かなたの浦にて討死せん
 汝はここまで来つれども とくとく帰れふるさとへ」
 
 以下十五番まであるが、西部さんは五番目あたりまで暗記していた。
 息子の正行も四条畷の闘いで死んだ。親子して尊皇だった。西部さんの著作を貫く基調は「攘夷」である。しかし維新の志士たちのような尊皇攘夷ではなく、三島の「英霊の声」を評価した形跡はない。


 ▼短銃の入手を三回試みていた

 第二が不法な武器調達は合徳だという弁である。
 遺書とも言える『保守の真髄』(講談社現代新書)の中で、しきりに自裁の手段としてピストルの入手に三回失敗したと明記してある。
 もう一度、当該ページを紐解いた。

 「なお人生で三度目の述者(西部)の短銃入手作戦が、前二回と同じく入手先主の突如の死によって頓挫するというほとんどありえぬ類の不運の見舞われたことについてここで詳しく話すわけにはいかない。ついでに申し添えておくと、この述者は、道徳と法律が食い違うことの多い現代では合法にも不法にもそれぞれ合徳と不徳のものがあって、自死用の不法な武器調達はおおむね合徳に当たると考え、そして自分は合徳で生きようと構えてきたのである」(260p)

何気なく読み飛ばしそうだが、さて、これをわざわざ文字を持って明記したということは、(なにしろ西部さんは「言葉は思想だ」と言っていたのだ)何かのメッセージではないかと考えた。

そうか、ひょっとすれば野村秋介氏のように、朝日新聞本社へ乗り込んで社長と面会し、その場でピストル自殺とかの政治演出を伴った最後を企図していたかも知れないと思った。でなければ、なぜピストルのことなどを意図的に挿入しているのか、分からないではないか。

 さて西部氏が最も好んで引用も多かったホセ・オルテガ・イ・ガセットはキルケゴールの影響を激甚に受けた。
 キルケゴール(1813−1855)はデンマークにあって教会の形骸化を批判したが、その基本にはヘーゲル批判があった。

キルケゴールはデンマーク語では「教会の庭」もしくは「墓地」を意味するそうだが、実存主義の魁と言われる所以は概念的抽象的な人間ではなく、具体的で個別的な人間の存在を思考の対象としたからであろう。代表作『死に至る病』は、人間は死ぬけれども、その絶望を神の救済の求める教会の考え方から逸脱した論理を立て、ヘーゲルの弁証法的な思考を批判した。

主体性は真理である、が同時に主体性は非真理である、と矛盾した論理を建てたように見えるが、人生の否定、矛盾を具体的に受け止め、個別的な主体性をもって思考せよ、というのである。このあたりに西部遭氏は大衆批判の原点があると踏んだ(『思想の英雄たち』、ハルキ文庫)。

 死に至らない病が希望であるとすれば、絶望は自己の喪失であり神との関係の喪失であるとする。東洋の哲学はいずれ人間は死ぬのであり、極楽往生をとげることが人生の至福であると教えるのが日本的仏教であるから、キルケゴールの対処法は「絶望を逃れるにはキリスト教への信仰」をあげ、神の前に自己を捨てるのが本物の自己に至ることだとしているから似ていないこともない。


 ▼オルテガは「ロシア革命は人間的な生の開始とは真逆だ」と言った

  スペインの思想界にミゲル・デ・ウナムール(1864−1936)と並び立つオルテガは大衆を識別し、ものを考えない人を批判した。 

 ホセ・オルテガ・イ・ガセット(1883−1955)は前世紀半ばまで存命したスペインの哲学者で、日本でも著作集がでるほど人気がある。彼はマドリッド生まれ、ドイツへ留学し最初はカント哲学から入った。

オルテガが際立って自由主義を鼓吹したのはソビエトのボルシェビキ革命を『野蛮状態への後退」であり、「原始主義」だと非難した本質を突いた言辞によるだろう。

 オルテガは『ロシア革命は人間的な生の開始とは真逆」であり、これを礼賛する無知な大衆とは「欲求のみを抱き、権利だけを主張し、義務のことを考えない」、したがって「自らに義務を課す高貴さを欠如させた人間」であるとし、その中には科学者などのエリートも加えた。自由とは、科学的心理ではない。自由とは運命の真理だとオルテガは説いた。

 この箇所も西部思想に強い影響がある。
西部氏はスマホの効用など、コンピュータシステムの到来を産業の効率でしかなく、人間の英知に役立ちはしないと否定的だった。

 西部氏は、こう言っている。
 「テクノロジー(技術)をいう一方向にのみ特化していくのは文明の病理以外の何ものでもない。嘗てシュペングラーは、文明の秋期から冬季にかけて、『新興宗教への異様な関心と新技術への異常な興味が高まる』と指摘した。今、世界のとくに先進各国にみられるのは、新技術が新宗教となって人々の精神世界を占拠している」(中略)「スマホという名の小さな薄い箱に精神を吸い取られてらちもないゲーム事に明け暮れする男女の群れを眺めていれば、文明は紊乱の段階を過ぎて没落に到っているのではないか」(西部前掲書。20p) 
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)西部邁先生追悼講演会を下記の要領で開催します。
 1月21日に逝去された西部邁先生(評論家、元東大教授、憂国忌発起人。享年78)を偲び、下記の通り追悼講演会を開催します。
        記
とき      3月8日(木)午後6時半開会(午後6時開場)
ところ     アルカディア市ヶ谷(私学会館)
追悼講演講師  富岡幸一郎先生(関東学院大学教授、鎌倉文学館館長、憂国忌発起人)
演題      「追悼 西部邁先生」
プログラム    追悼スライド、遺影に献花を予定しております
会費       一般2千円、会員・学生1千円
主催及び連絡先  三島由紀夫研究会
                TEL 090-1611-9839
                FAX 03-5419-7670
                Eメール  yukokuki@mishima.xii.jp



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(読者の声2)「カナダからの報告会」
 一昨年からカナダで「12月13日を南京大虐殺記念日に制定」する動きが起きています。
 何故このような動きが起きているのか、今後どうなるのか、阻止する方法があるのか、これらについてカナダ在住のマリノフ利江さんが現地での体験をお話しし、皆さんからのご質問にもお答えする講演会です。
講師  マリノフ利江
日時  2月14日(水)午後6時〜8時
会場  文京区民センター 3B、 03−3814−6731
    (都営地下鉄三田線、大江戸線春日駅、 東京メトロ丸ノ内線、南北線後楽園駅)
会費  「南京戦の真実を追求する会」会員は無料、一般参加費は500円です。
懇親会  講演後、近くで懇親会を行う予定です。
主催   「南京戦を真実を追求する会」(会長 阿羅健一)

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    僕が西郷隆盛に興味を無くしたのは、歴史の講談師の福田某(通名︰司馬何とらやの所為なんだよなぁ)


   『花神』の中で西郷は大村益次郎にこっぴどく遣られるんだ。薩摩は死地に逝け!なんてね。それ以来、何の関心も引かなくなっちまった。


    最も司馬某にも興味を無くしたのは、彼の軍隊時代の感想?追憶を読んでからだから似たりよったり鴨。彼は戦友に何の感慨も持たなかった。僕にはそう読んだ。満州から栃木へ転進してノンビリ過ごす様はなんだろなあ。そんなもんですよ、人への評価ってモノは。記念館の近くに住んで17年。近くへ寄った事はあるけど、入る気無し!!