モルドバは欧州の最貧国らしい。国内に目立った産業もなく、金を稼ぎに出て行くらしい。ロシアでさえ(密かに高齢化が始まっている)、若い世代は国を棄て始めているらしいから、モルドバも推して知るべしか?
海外に出掛けてくれているから、こんな記事が書けるし、僕のような関心のない人間にもふーんそうなんだなんて・・・。
宮崎正弘メルマより
http://melma.com/sp/backnumber_45206_6380977/
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成28年(2016)6月16日(木曜日)弐
通算第4939号
ルーマニアと合邦へ本気で向かうのか、モルドバ共和国
ウクライナと西側に挟まれ、微妙な地政学的位置のモルドバは経済が問題
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旧ソ連圏のモルドバ共和国は、ドニステル河を挟んで、ウクライナ寄りの東側にロシア人が多く、モルドバの完全独立を阻み、「沿ドニステル共和国」としての独立を主張し、バックにはロシアが鎮座まします。
後者は事実上の独立地域だが未承認国家である。
また将来のルーマニアとの合邦は絶対反対である。ところがソ連時代の分離隔離政策の影響が強く、この地域に重工業が集中している。
西側はルーマニア人の居住する農業地帯、モルドバワインは世界的に有名、したがって多くのモルドバ国民はルーマニアへの復帰を望み、言語もルーマニア語を話す。
モルドバはながらくルーマニアと一緒で元の名前は「ベッサラビア」である。2018年にはベッサラビア誕生百周年の記念行事も予定されている。
第一次世界大戦でベッサラビアはソ連により、分割され、モルドバはソ連圏に編入された。
まさにその東西冷戦の残滓がまだ居残り、微妙なバランスの中、綱渡りを演じているのがモルドバ共和国だ。親西側を鮮明にはしつつも、もう一歩踏み切れないもどかしさ、すぐ東がウクライナだからだ。
東西冷戦終了後、このモルドバ共和国で何がおきたのか?
「保護国」とも言えるルーマニアはチェウシェスク独裁政権の崩壊後、複数政党制を認め、自由選挙が行われ、NATOに加わり、すっかり西側の一員となった。そしてルーマニアは静かに、着実にモルドバへのテコ入れ、影響力の拡大を図ってきた。
ところがモルドバは政治が誰にも地図も描けないほど難解な伏魔殿。
モルドバには「影の大統領」と言われる人物がいる。ブラッド・プラフォトニクが政治と経済の実権を握っているのである。
▼「モルドバの影の大統領」
この人物は石油ビジネスで当て、銀行を経営して財閥となり、テレビ、ラジオ局を牛耳り、「モルドバのアブラモウィッツ」と異名を取る。アブラモウィッツはロシア新興財閥、プーチンに逆らってロンドンに亡命し、サッカーチームを買収したりした、あの政商である。
プラフォトニクがモルドバ政治を牛耳ってから、外交政策が変わった。
プラフォトニクは国会議員を二期務め、モルドバ国会議長もつとめた。民主党所属である。2015年までは事実上、政権を担った。
かれは新興財閥、汚職の元締めと言われて評判が滅法悪い。「奴は嫌いだ」とする世論調査の結果は90%(ヒラリーもトランプもびっくりの高率)、原因は汚職体質、怪しげな人脈とビジネスである。
ところがプラフォチニクがモルドバ経済の実権を握り、政治を支配している。しかも、この人物が背後で操るモルドバ政権が「プロ西側」を標榜しているからややこしい。
ルーマニアはNATOのミサイル配備をまっさきに許容し、多国籍軍には自国の軍を派遣し、涙ぐましい努力で西側の信頼を勝ち得た。だからこそ、そのルーマニアと合邦しようなどと動けば、ロシアが黙ってはいない。
ルーマニアは暫時、この男とモルドバ合邦の交渉をしなければならない。親ともいえる ルーマニアも政治的には少数政党の乱立、なかにはプロ・ロシアの政党があり、極右政党もあり、ロシアとの関係は地下水脈で強く結ばれているため、EUもいささかの猜疑心をもって眺めている。
明らかにルーマニアはモルドバにおいてロシアと政治対立を続け、EU、アメリカを巻き込む政治手法を用いる。
モルドバの安定はウクライナ情勢に連動しており、EUが全面支援には踏み切れない。プーチンは沿ドニステルの武装勢力と、ルーマニア国内のプロ・ロシア政党、ならびにモルドバ国内のロシア工作員を通じて、一連の地下工作を展開するからだ。
政治腐敗によってIMF、ECBがきめた1億5000万ユーロの融資は棚上げされており、そのうえ頼みの綱だったルーマニア経済はやや下降気味となって、またモルドバはガスと原油をロシアに依存しているため、ロシアに正面から逆らうような政治行動には出られない。この点では水と食料を中国に依存する香港が、独立を主張できない政治心理と似ている。
▼国民からは蛇蝎の如く嫌われても。。。
プラフォトニクの率いる民主党の支持率は7%しかないが、彼が事実上の「モルドバの王」であり、西側一辺倒の路線をロシアとのバランスで操り、モルドバを壟断しているとみていいだろう。
親西側を装うのはIMF、ECBからの援助を引き出すジャスチャーではないかと疑われ、他方、ルーマニアは、この男を支持せざるを得ないディレンマにある。
「ルーマニアの政党の多くが地下で彼とのコンタクトがあり、またプラフォトニクは偽名でルーマニア国籍を保有している」(米ジェイムスタウン財団発行『ユーラシア・モニター』、16年4月26日号)
かれは朝令暮改、一貫した政策はなく、日々情勢の変化にあわせて政治スタンスを変えるカメレオン政治家でもある。
10月に予定されるモルドバ大統領選挙は、プラフォトニクの民主党主導により彼が操作できる連立政権(当然、旧共産党が混ざりロシア寄りとなる)となるか、親西側の諸政党の連立が成功するか、予断を許さない情勢となった。
突如、動きがでた。それまで地下水が染みこむように静かに合邦法への動きは顕在化しなかったが、地下水の蓄積があるように、溜まっていた。
ルーマニア政府の考え方がかわったのだ。
むしろ、プラオトニークとは対峙せず、着実な方法で彼を取り込んでしまおうとする迂回作戦への転換が行われた。2014年、クラウス・ロハンニスが大統領に選ばれ、直接的なモスクワとの対決を巧妙に回避しつつも、ルーマニアはEUとワシントンの根回しに入った。
世論調査でもモルドバ国民は「われわれはルーマニア人だ」とするアイデンティティを強調する比率が過去の10%から25%へと躍進している(STRATFOR,16年4月22日)。
ルーマニアはチェウシェスク時代の全体主義の呪いから解放され、経済発展が軌道に乗り、国民はむしろ自由経済へ傾斜した国のありかたに安定感を抱くようになった。
現実にルーマニア各地を旅行すると、あちこちに原油生産のサイトがあり、この国は原油を自給できる。経済成長はどうやら軌道に乗ったようで消費も弾んでいる。ブカレストの繁華街のカフェは満員である。
▼経済は行き詰まり、IMFは援助を保留し、頼る先はルーマニアしかないのだ
他方、モルドバは経済的に行く詰まり、繁栄にはほど遠く、かつ国内政治はプロ・ロシアの政党がまた力をもっており、国民の意識調査では西側への傾斜があきらかではあっても、法体系と治安制度から、多数派には達しない。そのうえ、ロシアのクリミア併合とウクライナの混乱を目撃すれば、急激な政治的路線変更はロシアの介入をまねくことを極度に警戒しているからだ。
ルーマニアは長期的戦略に立脚し、当面はモルドバ議会の多数派であるプロ・ロシア政党と直接的対峙を避けつつ、徐々にルーマニア文化を浸透させ、経済を梃子にモルドバのガス、電力のロシアへの依存度を低め(ルーマニアは産油国である)、パイプラインをルーマニアからモルドバへ繋げるルートを開拓し、潜在的意識においてモルドバ国民の西側回帰への覚醒を促す。
長期的戦略としては、議会で多数派をしめ、モルドバ国民の多数がルーマニアとの合邦を期待するという環境作りを成し遂げようとするものだ。
ちなみに2014年11月の選挙(定数101議席、6%未満の政党には比例代表の議席は配分されない)
(1)社会党(ドドン党首): 20.75%(25議席)
(2)自由民主党(フィラト党首): 19.97%(23議席)
(3)共産党(ヴォローニン党首): 17.71%(21議席)
(4)民主党(ルプ党首): 15.94%(19議席)
(5)自由党(ギンプ党首): 9.53%(13議席)
旧ソ連型の左翼政党は合計して38%、対して西側寄りで自由民主を掲げる三つの政党が合計すれば、46%となり、政党間調整がうまく行けば、プロ・ロシア路線を歩むモルドバ政治は終焉する。
さて、どうなるか。
△○○み○○○や○○○ざ○○○き□▽◇
(休刊のお知らせ)小誌は海外取材のため6月19日から27日まで休刊になります。
読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読者の声1)8月6日、広島で「平和ミーティング(日本の進路は?)」が開催されます。桜井よしこ女史などの講演があります。予約制ですので、お早めに予約をしていただけると幸いです。
記
とき 8月6日(土曜)午後1730 2020(開場1630)
ところ リーガロイヤルホテル・広島 四階「ロイヤルルーム」
講演 桜井よしこ、百地章、兼次エリカ
チケット 前売り2000円(当日、2500円)
主催 日本会議広島「日本の誇りセミナー」実行委員会
電話 (082)831 6205
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(読者の声2)三島由紀夫研究会、六月の公開講座は台湾独立建国連盟日本本部委員長の王明理女史です、
記
日時 6月24日(金)18時半 (18時開場)
場所 アルカディア市ヶ谷会議室
講師 王明理(詩人・翻訳家・台湾独立建国連盟日本本部委員長)
演題 台湾の新しい出発と日台関係
講師略歴 昭和29年東京生まれ。戦後台湾独立運動のリーダーであった故王育徳氏の二女。昭和52年慶應義塾大学文学部卒。現在台湾独立建国連盟日本本部委員長として活躍。著書 『「昭和」を生きた台湾青年』(編集協力、草思社)、『詩集・故郷のひまわり』(台湾・玉山社出版)他
『豊饒の海』の愛読者で初版本をお持ちの由。講演でも少し触れてもらう予定です。
会費 会員・学生1千円、一般2千円。
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(読者の声3)貴誌前号で台湾のことに触れられ、「問題は経済です。アベノミクスの蹉跌状況に似ていますが、異なるのは台湾経済の過度な中国への依存です」とあります。
全くそのとおりですね。この政権の可否もこれからの経済の状況次第だとおもいます。台湾人は現実的なのです。独立などという幻想に浸るのは一部の理想主義者たちだけでしょう。庶民は今日を生きるのに精一杯なのです。この点は中国人ですね、台湾人も。
それにしても李登輝さんは偉大でした。1990年台にすでに台湾経済の中国過依存の状態を見越されていました。「南進計画(台湾企業の東南アジアへの進出)」を推し進められた。
時期が早すぎたのでしょうか。台商たちはこぞって中国に進出。言葉が簡単に通じるというだけで。そして今の台湾経済があるのです。
でも、台湾の若者には李登輝さんの評判は決してよろしくない。何しろ「尖閣は日本の領土だ」と仰っていますから。台奸(売国奴)の類です。20世紀のアジアを代表する政治家のお一人なのに。残念です。
(浪子)
(宮崎正弘のコメント)戦後の国民党の歴史教育で、強度に洗脳された世代が70歳以下の台湾世代。ところが若者は、李登輝時代の「認識台湾」や国際化によって日本の本当の情報が山のようにはいる状況変化とともに、また親日的になりました。
まだ結論は出せませんが、国民党の歴史教育は失敗だったと、いずれ総括できるかもしれません。
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(読者の声4)国連が世界に広めた「慰安婦=性奴隷」の嘘(ジュネーブ国連派遣団報告(自由社):藤岡信勝編著
第1回:はじめに、目次
今世界で日本軍が20万人のアジア人女性を、強制連行し、性奴隷としたという嘘が広くまかり通っています。この「慰安婦=性奴隷」説のルートを探していくと戸塚悦朗という日本人の人権派弁護士が国連の人権委員会の「性奴隷」という言葉を持ち込み、この前提に基づいたクマラスワミ報告が、国連の正式見解として世界に広がって行ったことがわかります。
こうした状況に危機感を感じた「慰安婦の真実 国民運動」(加瀬英明代表)は2014年7月にジュネーブで開催された「自由人件規約委員会」に初めて調査団を派遣しました。そこが左派NGOのそれこそやりたい放題の活動の場となり、国連の見解に影響を与えていることを知り、その後2度に亘り代表団を派遣して、反撃を行ってきました。
その間にわかったこと、起こったこと、国連で主張したこと、そして政治的な成果などについて、14人の関係者の証言、意見、分析などを藤岡信勝氏が中心になってまとめたものが本書です。
これまで誰も知らなかった国連の実態をはじめ、貴重な情報、そして今後何をなすべきへの示唆を与えてくれる書です。
原則として各章ごとに英訳してご紹介して行く予定です。
日本語原文;http://hassin.org/01/wp-content/uploads/TheUNsGlobal.pdf
英訳文:URL http://www.sdh-fact.com/book-article/704
PDF: http://www.sdh-fact.com/CL/UN-Sex-Slave-Report-1.pdf
(「史実を世界に発信する会」会長代行 茂木弘道)
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(読者の声5)四日市でケント・ギルバート氏の講演会があります。「世界が憧れる、この日本に暮らして、」題しての熱演です
記
とき 6月26日(日)午後1400
ところ 四日市市文化会館 第一ホール
主催 日本会議四日市支部
電話 (059)393 4690
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台湾についてチョッピリ。
読者の声に宮崎氏が答えているが、台湾は物凄く世代間ギャップが有りそうだ。
詳細は知らないけど。契約関係がどうなっているかも知らないが、日本のテレビ番組も即日放映されているようだ。(時差が一時間だっけ)だから即日本が話題になる。当然若い世代は日本に目が行く。だから「日治(日本統治の事)日治」と若い世代は騒いでいる。歴史教育も日治を下敷きにして書き換えられていそうだ。日本人の殆どが知らない事をTwitterで言い立てる。
バカとは言わないが、日治で何を学んで、それを何に活かしていくのかと言う視点に欠けると僕には思われる。
ボチボチ台湾発の革新的「何か」が出てきてもいいと思うのだが、何があるか思い付かないのが、残念と言えば残念でしか無い!