ゼロからわかる「クルド人」の謎 ~いま地上でISと戦っているのは彼らです  | 川口マーン惠美「 | Hideoutのブログ

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 四月に古稀を迎える爺ののブログです。

 日本を取り戻したい……そんな事をエントリーしたい。

 覚醒したら、こんな見方になるのかなと言うものに。


 湾岸戦争には未だに、何が正義なのかが分からないままです。クルド族の文字を見たのも初めてでした。日本からは遠い。日本も戦後、北海道をソ連がなんて事になっていたら・・・。身につまされたものです。

 しかし、英国を始めとする白色人種の悪辣さは如何ともし難い!そう思いませんか?


現代ビジネス
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48028#
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2016年02月26日(金)
       
筆者 川口マーン惠美
(かわぐち・まーん・えみ) 大阪生まれ。日本大学芸術学部音楽学科卒業。85年、ドイツのシュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。シュトゥットガルト在住。90年、『フセイン独裁下のイラクで暮らして』(草思社)を上梓。その鋭い批判精神が高く評価される。『国際結婚ナイショ話』、『ドレスデン逍遥』(ともに草思社)、『母親に向かない人の子育て術』(文春新書)など著書多数。最新刊『サービスできないドイツ人、主張できない日本人』(草思社)好評発売中。ドイツから見た日本、世界をレポートする。2011年4月より、拓殖大学 日本文化研究所 客員教授
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1916年、イギリスとフランスの「サイクス・ピコ協定」によって無理やり分割された中東は、そのあとにさまざまな問題を残す。なかでも一番大きなものが、パレスチナ問題とクルド問題だ。



◆「サイクス・ピコ協定」が生んだ中東の混乱

イラクのサダム・フセイン大統領がまだ生きていたころ、彼が少数民族クルド人の集落を爆撃したり、化学兵器で攻撃したりしてしているというニュースがドイツでよく流れた。

報道内容の信憑性はともかく、クルド人とイラク政府との確執が深いことは確かだ。当然のことながら、戦闘の歴史も長い。しかし、しょっちゅう殺戮が行われているにしては、クルド人が絶滅しそうだという話は聞かず、ふと、クルド人というのは実はたくさんいるのではないかと思ったことを覚えている。

後で知ったところによると、本当にクルド族は少数民族ではなかった。その数、2500万から3000万人だそうだ。台湾やオーストラリアの人口より多い。スイスやイスラエルに比べると3倍以上にもなる。そして、現在、最高にこんがらがっているシリア内戦の鍵を握っているのが、実はそのクルド人なのである。

もともとクルド人は、クルディスタンにいた。文字通り「クルド人の国」という意味だそうだ。場所は、現在のトルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニアに跨がる地域だが、当時はすべてオスマン帝国の領地だった。つまりクルディスタンは、巨大なオスマン帝国の中にすっぽり収まっていたのである。

しかし、1916年、イギリスとフランスは、「サイクス・ピコ協定」という秘密協定を結んで、中東の分割を画策した。もちろん、植民地支配圏と、石油利権の温存のためだ。

第一次世界大戦でボロボロになったオスマン帝国は、そのまま衰退し、そのあとにトルコ共和国ができる。そして、英仏のシナリオ通り、往年のオスマン帝国は分割され、次々にレバノン、シリア、イラク、クウェートなどが出来て、英仏の管理下に入った。同時にクルド人の国も、トルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニアの5ヵ国に引き裂かれ、今に至っている。

無理やり分割された中東は、そのあとにさまざまな問題を残す。なかでも一番大きなものが、パレスチナ問題とクルド問題だ。以来、パレスチナ人とクルド人は、ずっと自治・独立のために戦い続けてきた。

ただ、日本では、パレスチナについて知っている人はいても、クルドのことはほとんど知られていない。


◆ISと戦っているのは実はクルド人だけだった?

ドイツにはクルド人がたくさんいる。その数、50万から80万人と言われている。

なぜ、こんなに幅があるかというと、クルド人はそれぞれの国籍で把握されているため、正確な数字が出せないのだ。しかし、彼らはあくまでも自分達はクルド人だと思っているため、「何人ですか?」と聞くと、必ず「クルド人だ」と答える。

現在、ドイツに怒涛のように入ってくる難民のなかにもクルド人が多い。彼らは今でも、トルコやイラクなどで「政治的に抑圧された人々」という扱いとなっているため、政治亡命者として認められるケースが比較的高いからだ。

とはいえ、一口にクルド人といっても、内実は複雑極まりない。この100年、異なった国で生活しているうちに、文化も生活習慣も宗教も異なった発展をしてしまった。皆が仲良しというわけでもない。それぞれの目標や理念は、似ているようでまったく違う。

クルド人組織のなかでいちばん強大なのは、①イラクの「ペシュメルガ」。

クルド人組織は、皆、ISと戦っているが、ペシュメルガが一番の効果を上げている。それもそのはず、自分たちで地上戦など展開できないEUがペシュメルガに武器を提供し、代わりに戦わせているからだ(ドイツは武器だけでなく現地で兵隊の養成も行っている)。

ペシュメルガは今や、高性能の軍備と25万の兵力を有する堂々たる軍隊。しかも、EUがお墨付きを与えた"良い"軍隊である。

一方、②トルコの「クルドPKK(クルディスタン労働者党)」は30年来、トルコ政府を相手に戦ってきた政党で、実はトルコでは禁止政治組織、EUと米国ではテロ組織として認定されている。

現在、PKKの司令部は隣国イラクの北部にあり、彼らもまた、IS相手に戦っている。ただ、トルコ政府にしてみれば、現在、このPKKも敵だ。シリアのアサド政権もISも敵だから、とてもややこしい。

また、③シリアの「クルドYPG(クルド人民防衛隊・PYD党の武装部門)」というのも、ISとの戦いにおいて力をつけてきている。しかも、トルコ政府にとってまずいことに、YPGはPKKと近い。

①のペシュメルガと②のPKK、③のYPGは、基本的に仲が悪いが、しかし、必要とあらば、ところどころの戦線では協力もする。いずれにしても、しっかりとイラクやシリアの地上でISと戦っているのは、現在、彼らクルド人だけというのが実情のようだ。

そのクルド勢力が何かのきっかけで互いに協調したりすれば、トルコ政府にとってこれほど恐ろしいことはない。いや、イラクにとってもEUにとっても面倒なことになる。

EUやドイツがペシュメルガに提供している武器も、難なくPKKやYPGの手に渡るだろう。そうなれば、トルコはEUという同盟国の武器で攻撃されることになる。

EUはそういう綱渡りを承知で、ペシュメルガに武器を提供しているのである。トルコ軍の空爆の目標が、今ではISよりも PKKに変わってしまったのは、それほど不思議なことではないだろう。


◆難民問題の「ヨーロッパレベルでの解決」

このように誰が敵だか味方だかわからない複雑な状況下において、EUは、難民問題の解決にトルコ政府の協力を得ようとしている。

旗振り役はメルケル首相だ。 EUの多くの国は、難民の受け入れ人数を絞り始めた。ところが、メルケル首相だけは、人数制限を頑として拒否している。人道に反するからだそうだ。

ただ、難民をどうにかして減らさなければならない事情はドイツも同じだ。そこでメルケル首相は、中東難民のハブ国となってしまっているトルコに頼んで、そこから難民がEUに出ないよう図ってもらおうと期待している。これをメルケル氏は、難民問題の「ヨーロッパレベルでの解決」と呼ぶ。

もっとも私にはこの計画は、EU(とくにドイツ)が手を汚さぬよう、トルコを買収して、EU国境防衛の汚れ役を引き受けてもらうというアイデア以外の何物にも見えない。その代償として、EUからトルコへの資金援助や、トルコ人のEU入国ビザの緩和などが俎上に乗っている。

ただ、トルコ側にも条件がある。EUがトルコの協力を得たいなら、まずはクルド人組織への軍事援助をやめなければならない。EUは、トルコと同盟を組むのか、クルド人と同盟を組むのか、旗幟鮮明にしろということだ。トルコにしてみれば、当然の要求だろう。

ところがドイツメディアはそれを、エルドアン大統領が難民を武器にしてEUを恐喝しているとか、血塗られたオスマン帝国の復活だとか、激しく非難している。

エルドアン大統領がイスラム教を重視していること、また現在、報道規制を強めているのも事実だが、だからといってそれを一流のメディアが「ならず者」呼ばわりするのは行き過ぎではないか。

それに、そういう意味ではもっと桁違いの「ならず者」であるはずのサウジアラビアや中国と、ドイツは仲良く付き合っているではないか。なぜ、彼らはならず者ではないのだろう。


◆日本も「対岸の火事」では済まされない

ちなみに日本には、500人から600人のクルド人がいるという。そのほとんどが、埼玉県の蕨市と川口市に住んでいる。自称"ワラビスタン"だ。

その多くは90年代のはじめ、トルコやシリアなどから難民として流れてきた。ただ、正式に在留を認められている人は少ないらしい。

この地域には、その他の外国人も急増しており、各種の問題が持ち上がっている。日本でも、難民、外国人、経済移民問題は、思ったよりも早く深刻化するかもしれない。

EUという対岸で起こっている火事を真剣に観察し、受け入れ態勢や必要な法律を早めに整えておかなければ、あとあと大変なことになる。
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 クルド人は蕨と川口に居るのか。難民問題は複雑怪奇だ。日本も現在、在日という質の悪い連中の始末に苦闘している最中なのに、中東の騒乱にまで巻き込まれるのは堪忍して欲しいけど。


 移民、難民について真剣に考えなければならない時期が、早晩訪れそうです。