「はぁい。」
数日前からミナム以外のメンバーは日本で仕事の為、合宿所に一人のミナムは、朝一番のチャイムに返事をして、ロクに確認もせず扉を開けた。
「ハンコお願いします。」
程良く日に焼けた精悍な顔つきの同世代だと思われる宅配会社の男性がにこやかに立っていた。
「あ、はい!ちょっと待って下さい!!」
ミナムは慌ててリビングへハンコを取りに行く。自分のでいいのかなぁ?なんて思いながら。
「ありがとうございました!!」
無事に荷物を受け取ることができたミナムは、少し大きめな箱をヨイショと抱えて、またリビングに戻った。
「…えっ?私にだ!!」
だいたいいつもは、釜山やイギリスのシヌとジェルミの両親、そしてたまに世界各地をまわっているテギョンの父親ギョンセからの贈り物なので、そのどれかだと思いこんでいたミナムは、宛先が自分になっているし、しかも送り主はテギョンなので相当驚いたのだった。
ドキドキする胸を落ち着けてから、丁寧に段ボールのガムテープをはがしていく。
そういえば、自分に宅急便で荷物が届くなど、今まで一度もなかったことである。
お兄ちゃんは、なにかとお金だけ振り込むような無精者だしな。まぁ、そのお金もいらないのにっていつも喧嘩になってたしね。
懐かしい気持ちと、嬉しい気持ちで、何だか泣きそうな気分で、その箱をのぞいてみると、中には、北海道で有名なチョコレートの詰め合わせであった。
これを私のために??
ミナムは胸がいっぱいになり、しばらくその幸せにぼんやりとひたっていたのであるが、よく見てみたら、特に手紙やメッセージなどは入っていないようなので、このチョコレートは皆が帰ってきてから食べるため、もしくはテギョンが他の人に配るためかもしれないと思い直し、丁寧に冷蔵庫へしまった。
そうよね。私だけのためにテギョンさんがこんなことしてくれるわけがない。
ミナムは苦笑いを浮かべて、自室に戻り、何気なく携帯を見てみると、メッセージが入っているようだ。
『今日中に荷物が届く。全てお前の物だ。感謝しろ』
えっ!あれ全部私の!?
う、嬉しいーーーーーーーー!!!!!
ミナムは携帯を持ったまま、その場で小躍りをしてしまった。
チョコレートはもちろん嬉しいのだが、何よりも遠い地で自分のことを考えてくれるだけでなく、プレゼントまで送ってくれたことが、たまならく嬉しかった。
それからミナムは弾かれたように階下へ飛び降りて、そのチョコレートを片っ端から食べ始めた。
「美味しいーーー!!」
定番なのか生チョコが何種類もあり、その全部の味が食べたくて、2、3個づつ贅沢食いをした。それからポテトチップスにたっぷりチョコがのっているお菓子も袋を開けてバリバリと食べ、チョコレートドリンクを飲み、最後にはガトーショコラを丁寧に包丁で切ってかぶりついた。
美味しくて幸せで、ミナムは気がつけば泣いていた。
泣きながらどんどん食べた。甘いものばかりなのにいくらでも食べられた。
そして、テギョンへお礼をしていないことを思い出して、自分の食べた空の箱や袋を写真に撮り、メッセージに添付した。
『テギョンさん、ありがとうございます!!あまりに美味しくて一気に完食してしまいました!本当に嬉しかったです!お仕事頑張って下さい!』
ミナムはティッシュを箱ごと抱えて、まだ泣き止めずにいる。
女性である自分をメンバーが全員受け入れてくれてからというもの、毎日が幸せで楽しくて、こんなことが自分に起こるはずがないと思っているのに、その想像の上をいく幸せをいつもテギョンはくれるのだ。
結局、その日ミナムは朝から晩までテギョンからのチョコレートを食べては泣き、泣いては食べを繰り返して、幸せな眠りについた。
翌日、またしても朝早くからチャイムの音が合宿所に響く。
「はーい!」
また昨日と同じ男性が、にこやかに段ボールを持って立っていた。
ミナムは急いでハンコを押し、嬉しそうに送付票を確認した。
昨夜、シヌからミナムへのプレゼントを送ったからねと事前にメールをもらっていたのだ。
わくわくしながら箱を開けてみると、中には、世界中で有名なデザイナーの浴衣が一式入っていた。
「わぁ!京都からだ!素敵ー!!」
紺色に真っ赤な花が映え、言葉にできないくらい美しい。
こんなにも素敵な浴衣を自分が着られる日が来るなんて考えたこともなかったミナムは感動のあまり、また涙ぐんでいた。
ミナムは自分では着られないので、洋服の上から浴衣を羽織って、首から下の写真を撮り、シヌへ感謝のメールをした。
『シヌさん!ありがとうございます!こんなにも素敵な浴衣見たことがありません!今度ワンさんに着させてもらいたいです!大切にします』
それから、ミナムは自分の涙がついてはいけないと、壊れ物に触れるように丁寧にハンガーにかけた。
そしてその日の夕方。
ピンポーン
「わぁ!ジェルミからだ!」
いつもの宅配会社男性から、段ボールをにこにこ顔で受け取ったミナムは、少しその重い箱をその場で開ける。すると中からは、沖縄のシーサーやら、お菓子、色鮮やかなアロハシャツがたくさん出てきた。
さっきジェルミが電話で言っていた、このシーサーは魔よけらしいから、玄関に飾っておこうかな。
ミナムは幸せで涙まじりの鼻歌を歌いながら、玄関にその対のシーサーを置いた。
それからすぐにアロハシャツに着替えると、シーサーの横で満面の笑みで写真を撮ってジェルミに送った。
『ジェルミ!ありがとう!!凄く嬉しかったよー!帰ってきたら一緒にお菓子食べようね!!』
チャララララーン チャララララーン
泣きながら段ボールを解体していると、電話が鳴った。ジェルミからだ。
「ミナムー!」
「ジェルミ!ありがとうー!」
「届いたんだねー!良かったー!1人で寂しくない?大丈夫?」
「うん!毎日皆さんと一緒に居るみたいで幸せだよー!」
「…毎日?」
「えっ?う、うん、毎日だけど…。」
「…僕以外からもプレゼント届いてるの?」
「うん!昨日はテギョンさん、今朝はシヌさん、そして今がジェルミから!」
「………。」
それからメンバーが帰国するまでの間、毎日たくさんの宅急便が届けられたのは言うまでもない。
ピンポーン
いつもの男性から荷物を受け取るミナムは、もう泣き顔ではなく満面の笑みを浮かべている。
「毎日たくさん届きますね。」
「はい!とっても幸せです!!」
そのミナムのキラキラした笑顔に、完全にやられた男性が1人増えてしまったことはメンバーにとって大きな誤算だったかもしれないが、メンバーはミナムを喜ばせたくて必死なのであった。
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読んで下さってありがとうございます
宅急便って届くとワクワクしませんか?こんな毎日幸せだろうなぁ
もう7月なんて早いですねー!!!!!