チョコの花より美男ですね -34ページ目

チョコの花より美男ですね

美男ですね、花より男子、成均館スキャンダルの二次小説、スイーツなど、日々のささやかな幸せについて

孤独とは、一体どのような感情だったであろうか。

当然のように心に根を下ろし繁殖し続けていた、あの灰色の重い塊を、最近たまに見失ってしまう。
それは良いことなのか、悪いことなのか、あまりに慣れ親しんだ感情であるが故に、少し落ち着かない。

しかし、結局は自分の中であまりに定着してしまっているために、もうわざわざ認識するまでもないと、無意識のうちに判断してしまっているのかもしれないが。

テギョンは目の前で派手に転ぶミナムを見つめながら、そんなことを考えていた。

ちょうどテギョンの座るリビングのソファには、眩し過ぎるほどの朝日が差し込んでおり、今が凍えそうに寒い冬だということを一瞬忘れそうになってしまう。

脛でも打ったのであろうか、その場にうずくまったまま立ち上がれないミナムを、特に助けるでもなくぼんやり視界の端に写しながら、テギョンは知らず知らずのうちに貧乏ゆすりをしていた。

それは、痛さに顔を歪めるミナムに気がついたシヌがすぐさま抱き起こしているからか、ミナムのドジさそのものにイラついているからか、とにかくあまり面白いとは言えない新しい感情がテギョンの中に生まれていたからかもしれないし、ただ単に寝起きで機嫌が悪いだけかもしれない。

朝からこんなことばかり考えていたのでは、今日一日体がもたないと、深いため息をついたテギョンは、シヌからお姫様抱っこをされて丁寧にリビングの椅子に座らせられているミナムから目を背けると、いつものあの青色の瓶に入った水を冷蔵庫から取り出して一気に飲み干した。

自分ではごく普通に水を飲んだつもりであったが、どこかおかしかったのであろうか、ジェルミが目を丸くしてこちらを凝視している。

ん?あれ?これは水のはずでは??
頭が少しくらっとするのだが…

手にした瓶のラベルを良く見てみると、『焼酎』と、書いてある。
驚き過ぎて二度見してみたが、やはりはっきりと、『焼酎』と書かれたラベルが貼ってある。

そりゃあジェルミも驚くよな…。朝から焼酎一気飲み…。

しかし、そこで狼狽したのでは、A.N.JELLリーダーとしての威厳に関わる。

何でもないというような顔をして、テギョンが食卓のいつもの自分の席へ座ると、ジェルミがこそこそと飲み干した焼酎の瓶を確認すると、また更に目をまん丸にして口まで半開きにして、テギョンと瓶を交互に見つめている。よほど驚いたに違いない。

テギョンの視界の端では、シヌがまだミナムの足をさすっている。

こうして眺めていると、自分の周りにはいつもシヌとジェルミ、そしてミナムがいる。
それはごく当然のことなのだが、そんなことを考えるようになったのも、もしかしたらミナムがこの合宿所へ来て、様々な面倒をかけてくるからではないだろうか。

今だって、あいつがこけたりしなければ、俺は間違えて焼酎を一気飲みなんてしなかったし、ジェルミがあんなに驚くこともなかったし、シヌがそこまで心配する必要もなかったはずだ。

要するにやはりあいつは厄病神なのだ。

けれど…

けれど、それだけでないことはなんとなく分かってはいる。
こうやって迷惑をかけられるからこそ、もしかしたら孤独を感じずに済んでいるのかもしれないからだ。
かいかぶり過ぎだろうが、そんな気がしなくもないのだ。

テギョンはいよいよ眠くなってきたが、ジェルミの手前お水を飲むことだけは避けなければならない。
しかし、意地を張れば張るほど睡魔と喉の渇きが襲ってくる。

「はい、テギョンさん。」

ミナムの声と共に、冷たい青色の瓶が渡される。
それは焼酎ではない、間違いなくいつものお水だ。

テギョンは思わず泣きそうになってしまった。

酔いがまわり思考がおかしくなっているからだと自分に言い聞かせると、無言でミナムから瓶を受け取り、ごくごくと喉を鳴らして飲んだ。

いつもよりも美味しく感じるなんてセンチメンタルなことは思わなかったが、それでも美味しいと素直に思った。

こけてからはシヌと二人でずっと居たにも関わらず、自分のことを見てくれていたのではないかという淡い期待と、そんな期待を持つなんて自分らしくないという思いが交錯して、心臓が変な感じのリズムを刻み始める。

聞いてみるべきであろうか、それとも勝手に良いように解釈していれば傷つかないで済むのではないだろうか。

そんなテギョンの不安をよそに、ミナムが眉間にしわをよせて心配そうにこう言った。

「テギョンさん、朝から焼酎を一気に飲むだなんて…何かあったのですか?」

その途端、テギョンはどうにも涙を止めることができなくなってしまった。

もう今までのように何かを諦めなくても良いのかもしれない。もしかしたら、何かを求めても良いのかもしれない。

しゃくり上げそうになりながら、無言でその場を後にするテギョンのその顔には、涙とは対照的な、あの小犬のような笑顔が浮かんでいた。



にほんブログ村
読んで下さってありがとうございますお星様

こんな寒い日には、どうしてだか寂しい気持ちになりますよね。今までの嫌なできごとや、失敗なんかを思い出してしまったりと、やりきれない気持ちになることもあります。
けれど、きっとテギョンはミナムのおかげで、温かい気持ちになれているのではないかなぁと思って書いてみましたはーと
また私の大好きなやきもき期間の二人ですはーと
なかなかゆっくりできず、本編を書けなくてすみませんくま私のなんかを読んで下さる方がおられるだけで奇跡なのに…申し訳ないです…
こんばんはです雪の結晶

物凄いスピードで冬がやってきましたねぇ雪の結晶
夏よりは冬の方が好きな私でも、こんなにも急だと体がついていかないようで、朝から鼻水が止まりません…

それで一日中毛布にくるまっていたら、こんなショートショートを思いつきました雪の結晶
またまた私の大好きなやきもき期間の二人のお話です雪の結晶

大好きな皆様の心を、少しでもぽかぽかさせられますように雪の結晶

────

少し肌寒くなり秋の訪れを感じていたのもつかの間、気がつけばもう完全に冬になってしまっている。

低血圧のテギョンにとって、朝ベッドから起き上がることが、一日の内で最大の難関である。
起きることさえできれば、後はどうとでもなるとさえ思っているくらいだ。

ジリジリジリジリーン

今朝も、目覚ましの時計の耳障りな電子音が部屋中に響き渡る。

実際にはその目覚まし時計に起こされる数分前から、目だけは覚ましていたテギョンが忌々しげに舌打ちをした。

ちっ!とうとう本当に朝が来たか!!

目を覚ましている時点で朝だと分かってはいるのだが、目覚ましが鳴らない限りは起きなくても良いと勘違いしているので、この耳障りな音が聞こえてきた時の残念な気分といったら…、何と表現したらいいのか分からないくらいだ。

一方、明らかに起きているにも関わらず、しかめっ面をしたまま一向に目覚ましを止めようとしないテギョンに、同じ部屋で眠るミナムの方が段々イライラしてしまう。
そして、とうとうその音に我慢できなくなり、目覚ましを消しに行くのだ。

そんな毎日が続き、ミナムに我慢の限界がやってきた。

「テギョンさん!いい加減にして下さい!自分で目覚ましくらい止めて下さいよ!」

今日という今日は文句の一つでも言ってやらないと気が済まないと、ふくれっ面をテギョンに向けた。

「朝からうるさいな!嫌ならいちいち止めに来なければいいだけではないか!勝手に鳴らせておけばいいんだ!」

テギョンが口をくいくいっと左右に動かしながら、ミナムを一瞥すると、ふんっっと馬鹿にしたように片方の口角を上げた。

「なっ!どんな神経してるんですか?あんな音をよくそのまま聞いていられますね!慌てたりしないのですか?」

「誰があんな音に屈服するものか!そもそも、あんな音を消すために布団から手を出す方が寒くて嫌だ!!」

「信じられない…。あんな音をずっと聞かされる私の身にもなって下さいよ!私なんて、この寒い中布団から起き上がってテギョンさんの傍まで来て消しているんですよ!!」

「だから知るかよ!お前が勝手に止めに来ているだけではないか!誰が頼んだ!」

「本当に最低ですね!そんな心構えなら、もうあの目覚まし時計捨てて下さいよ!必要ないじゃないですか!!」

「どうしてお前ごときにそんなこと言われないといけないんだ!」

「当然でしょう!!捨てないなら、せめてもう目覚ましをセットしないで下さいよ!!」

「馬鹿なのか?それでは寝坊してしまうではないか!誰が朝起こしてくれるんだ!そもそもお前だって、この目覚ましのおかげで起きているではないか!!」

「私は別にテギョンさんの目覚ましのおかげで起きているわけではありません!!携帯のアラームで起きています!」

「ふんっ!お前のアラーム音が聞こえてきたことなんてないではないか!嘘をつくな!!」

「もう…テギョンさんのその目覚ましの音で聞こえなくなっているだけで、小さく毎朝流れていますから!!」

「…そうなのか?」

「嘘なんてついてないですよ!!ちゃんとA.N.JELLメドレーが流れていますよ!自分で作っておきながら分からないんですか?信じられない!!」

「メドレー…俺の曲なら分かるはずだが…。まぁ豚うさぎのアラーム音なんてどうだっていい!俺には何の関係もないことだ!」

「テギョンさんが嘘をつくなとか言うから、言っただけじゃないですか!本当にもう嫌だ!」

ミナムはこんな朝を毎日迎えるくらいなら、バレるかもしれない危険を冒してでも、まだミジャおばさんと眠る方がましだと、ぶつぶつ文句を言いながら、自分の布団を畳み始めた。

「おい!豚うさぎ!その布団をどこへ持って行くつもりだ!」

「テギョンさんに関係ないじゃないですか!私はもう朝からテギョンさんのその目覚ましの音を聞くのが嫌です!」

そう言うと、布団だけでなく、その他の衣類までまとめている。

テギョンはまだ寒さに勝てずに布団から頭しか出していなかったのだが、どうしてだか急に何とも言えない不安が体中に広がるのを感じた。

俺はどうしたいんだ?
こいつが出て行くのが寂しいのか?馬鹿な…せいせいするはずではないか!
それなのに、どうしてこんなにも胸が締めつけられるんだ?

頭の中は全然まとまってなどいなかったが、寒くて寒くて目覚ましを止めることさえ嫌だったのに、がばっと勢いよく起きると、荷造りをしているミニョの腕をぐいっと掴み勢いよく立たせると、自分のベッドへばーんと投げ飛ばした。

「なにするんですか!酷いじゃないですか!!」

テギョンは、顔を真っ赤にして怒っているミニョを布団に押し込めると、ぐいっとその横にもぐり込んだ。

ミナムはあまりに驚き過ぎて、言葉を発せないらしく、口をぱくぱくしている。

テギョンはテギョンで、自分で自分の行動に今更ながらにびっくりしているのか、くるっと布団を自分に巻きつけると、ミナムに背中を向けた。耳まで真っ赤である。

「お…お前は…お前の脂肪が室温を1度は上げている!要するに暖房と同じだ!」

「え…。」

「分からないのか!そのぽっちゃりが冬には役立っていると言っているのだ!」

「ひ…酷い…。」
一瞬でも自分の横にテギョンがもぐり込んできたことで、どきどきしてしまった自分をとても惨めだと思った。
それなのに、どうしてだか体が固まったように身動きがとれない。

あぁ…私ってどこかおかしいのかな。
遠まわしにデブだって言われたっていうのに、どうして隣にテギョンさんが居るってだけで、こんなにも胸が締めつけられるんだろう。

また、テギョンはテギョンで、急に黙りこくってしまったミニョが気になって仕方ないのに、恥ずかしくて恥ずかしくてどうしても後ろを振り向けないでいた。

「とにかく!冬の間はこの部屋に居ることを許可してやる!!」

「許可…私は別に…」
「うううううるさーーーい!とにかく!冬の間は俺を起こす係に任命してやる!いいな!分かったか!」
「任命………」
「なんだ?不服なのか!?」
「………」

テギョンは次から次に支離滅裂なことを言っているのは分かっているのだが、どうにもこうにも止められないのだ。

俺はそんなにこの豚うさぎに部屋を出て行って欲しくないのか??
まさかな…そんなはずはないよな…
と、なると、やはりミジャおばさんの部屋に戻られて、騒動を起こされるのが面倒だと思っているってことだよな???

何度も自問自答を繰り返しながら、どうにか自分の気持ちを偽造することに成功しつつあったテギョンであったが、また黙ってしまったままのミニョが気になって、こそーっと振り返ってみると、悲しげな顔でベッドから立ちあがろうとしているではないか。
テギョンはまた無意識のうちにミナムの腕を掴むと、そのまま背中から抱きしめてしまった。

俺は一体!?

頭の中がぐるぐる渦を巻きながら、それでもミナムの体をしっかりと抱きしめる腕をテギョンはほどきたくなかった。

「ゆ、湯たんぽだ!お前は湯たんぽなんだからな!」
我ながら幼稚なことを言っているのは重々承知している。それでも、どうしても部屋から出て行って欲しくないのだ。

「ゆゆゆ湯たんぽですね!分かりました!」

ミナムはミナムで、さっきから酷いことしか言われていないのに、後ろから自分を抱きしめるテギョンが小さな子供のように思えてしまい、怒ろうにも怒れない気持ちになっていた。

もしかして…私にこの部屋に居てって言っているのかな?
いや…ただの私の自惚れよね?

そう思ってはみても、背中から伝わるテギョンの心臓は物凄く早くて、自分の心臓もそれに合わせるようにどんどん早くなり、このままでは壊れてしまうのではないかと心配になるほどだ。

お互いがお互いで頭の中をぐるぐるさせながら、それなのに何故か離れようとしない二人。

テギョンさんの湯たんぽになら、なりたいな。

そんな風に思ってしまうミナム、テギョンもまた、

こんな湯たんぽ…いや、豚うさぎ、あっても悪くないな。

なんて、にやりとしていると、階下からジェルミの声。

「ミナムーー!テギョンさーーーん!!起きないと遅刻だよーーーーー!!!!!」

慌てて飛び跳ねるように離れると、温かかった体が急に冬の冷気をまといはじめる。
それを、寂しく感じてしまう二人。

「と、とととにかく!お前はこの部屋に居ろよ!」

「ははははい!」

ミナムは納得なんてちっともしていなかったのに、満面の笑みで返事をしている自分をとても幸せだと思った。

テギョンも、ミナムがこれからも自分の部屋で眠ってくれるのなら、目覚ましの音をほんの少しだけ小さくしても良いかな、なんて考えていたのであった。




にほんブログ村
読んで下さってありがとうございますお星様
またまた自分で書いておきながら、胸キュンなチョコでしたはーと
えへへはあと