無事に挨拶を終えたミニョは不思議そうにテギョンに尋ねた。
テギョンは、ふっと笑みをこぼしながら、
「きっと遅かれ早かれ、俺が強引に入籍か式を挙げるか、マスコミに報告するか、何かしでかすと思っておられたんだろうな。」
と、ミニョの肩を抱きよせて、そんなことを言った。
ミニョはどうしてか更に分からなくなったようで、しきりに首を傾げている。
ピクニックをしたあの日。
ミニョがチソンを仲間に入れて、お弁当を囲んだ時、俺は死ぬほど余裕のない顔をしていたに違いない。
それからミニョがチソンに勉強を教わりたいと言った時も、俺は酷い様子だっただろう。
テギョンは、ぎゅっとミニョの手を握ると、少しためらいながら口を開いた。
「ミニョ。この後、合宿所へ戻らないでもいいか?」
「どういうことですか?」
ミニョは相変わらず何が何だか分からない様子で、間の抜けた顔をしている。
「…いつも俺が借りているホテルへ行かないか?」
「わぁ!嬉しいです!!またあの泡のお風呂に入れてくれるのですか??」
でたー!案の定だな。
俺の純真な気持ちをあっと言う間に削ぎ落すよなぁ…。
このまま騙して連れ込むか、きちんと自分の気持ちを伝えるべきなのか、かなり迷うな。
テギョンは苦笑いを浮かべて、右眉をくいくいっと動かすと、何が最善の策なのか、真剣に考え始めた。
まず、ミニョは俺と一緒に眠った時、幸せだと涙を流した。
でもそれは、チソン問題が勃発する前で、あれから気持ちも変わってしまったかもしれない。
しかし、現に今はもう入籍も済ませて、晴れて夫婦になっており、このような邪な気持ちは、既にもう邪なものではなく、愛の確認作業として、大変重要な役割を担っており、そもそもが、好きだからこそ入籍をしたのだから、こんなにもうろたえることもないのではないだろうか。
けれど…相手はミニョ。普通の感覚ではないだろうから、どのようなことが命取りになるか分からない。
そう考えると、ただ何もせず一緒に眠ることが一番安心かもしれないが…。それで俺は我慢できるのかが…自信はない!
「テギョンさん??」
ミニョの顔が、不思議そうなものから不安気に変わっている。
テギョンは内心かなり慌てているが、余裕を見せるように、ミニョの頭をくしゃくしゃっとなでた。
あぁぁ。さっき院長様に相談すればよかったか…。
いやいやいや、馬鹿か俺。院長様はシスターだぞ!なにを考えているのだ…。
とにかく時間を稼がなければ!!
「ミニョ、せっかくだから、ホテルまで歩こうか。」
「もちろんいいですが…。ただ、1時間はかかるような気がしますが…。」
「1時間??」
「はい…。方向音痴のテギョンさんには分からないでしょうが、結構ここから遠いですよ。もしかしたら2時間はかかるかもしれません。」
「……」
方向音痴…かなり引っ掛かるが…まぁでもいいか。
どうせ早く着いたって、俺の考えもまとまっていないだろうしな。
テギョンはミニョの手をにぎると、その長い指をからませて、ゆっくりと空を見上げた。
「今夜は星がきれいだから。」
ミニョは何も言わず、つないだ手に力を込めた。幸せな気持ちで無数に輝く星の光を見つめながら。
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読んで下さってありがとうございます
次か次の次は、限定記事にしたいなぁと考えているのですが…
どうせ大したことはありません。すみません