チョコの花より美男ですね -24ページ目

チョコの花より美男ですね

美男ですね、花より男子、成均館スキャンダルの二次小説、スイーツなど、日々のささやかな幸せについて

飲んでも飲んでも酔えない。

シヌは隣で酔いつぶれてしまった男性スタッフを横目で見ながら、深いため息をついた。

「ミジャおばさん今日はもう帰りますね。酔っぱらいはそのまま置いてていいですか?」
「いいけど…珍しいね。シヌさんはいつも最後まで介抱するのにね。」
「すみません。今日はちょっと疲れてしまって。」
「そりゃあんだけ飲めば、さすがにちょっと酔ったんじゃないの?」

机の上には、一升瓶が何本も倒れている。

「…そうかもしれませんね。それではよろしくお願いします。」
「ミナム達も置いていくの?」
「あいつらはあいつらで楽しそうなので。後で聞かれたら先に帰ると伝えて下さい。」
「はいはい。気をつけて帰るんだよ。」
「ありがとうございます。」

シヌはお店から一歩出ただけで、急に暗闇に迷いこんでしまったような心持ちになってしまい、少しだけ身震いした。

とうとうこの時が来てしまったのかと思う。
別にだからと言って諦める気もないのだけれど、やはり幸せそうに笑うミニョを間近で見続けるのは厳しい。

それに帰国してからは様々なことがあったから、少し安心してしまっていたのかもしれない。まだ大丈夫なのだと。

今夜はテギョンとミニョ、帰ってこないだろうな、などとぼんやり思いながら夜道を歩いていると、気がつけばあの公園に来ていた。
偽者の恋人の取材を受けるための予行練習をした公園だ。

感慨にふけりながらベンチに腰を下ろす。

あの時にもっともっと強引にいっていたらミニョの気持ちは変わったであろうか。いや、最初にミニョが女性だと気がついた時にきちんと伝えていたら、俺だけを頼ってくれただろうか。

不毛な考えが頭を占めはじめる。
ため息をついて、何の気なしに道路を見ると、そこには黒色の見慣れた四駆が停まっていた。

衝動的に走り出して、その窓ガラスをがんがん叩いた。

「おい!おい!チソン!」

うつろな表情のチソンは、少し驚いたような顔をして、何を思ったのか、ゆっくりと車から降りてきた。

「話がある。」

シヌの言葉に小さく頷くと、チソンは柔らかな髪を軽くかきあげた。

無言のままベンチに腰掛ける二人。

二人ほぼ同時に空を見上げると、星は数個しか出ておらず、夜空なのにどんよりとして見えた。

「今日って天気悪かったかな?」

シヌが口を開いた。

チソンはそんなフランクに話してもらえるだなんて考えてもいなかったので、かなり驚いたような顔をした。

「…良く分かりません。」
「分からない?」
「最近、何もかもがあまり分からないんです。」
「…そうか…。」

分かるような気がした。
飲んでも飲んでも酔えない自分と同じだとは思わない。思わないが、そのあまり分からないという気持ちが胸に迫る気がしたのだ。

「今日の反省会で色々聞いた。」
「…そうですか。」
「…。」
「全部ミニョに言うつもりだけど、他に何かあるか?」
「…ありません。でも…、もうそんなこと大したことじゃないかもしれません。」
「どういう意味だ?」
「俺…クオモがいなくなったって、あれが嘘だってミニョちゃんにバレて、それから自分の気持ち言いたくもないのに言っちゃったから…。」
それでミニョは倒れるまで走って逃げていたのか、とは言えなかった。
「そうか。」
「はい。もうびっくりするくらい拒否されましたから。少しは喜んでくれたりとか、少しは迷ってくれたりとかするかと思ってたんですが…。」
「それはないだろう。お前最低だから。」
「…そうですよね。」
「うん。」
「多分だけど、テギョンとミニョ、もう離れることはなくなったと思うぞ。」
「どういうことですか?」
「言葉の通り。」
「…。」
「ちゃんと聞いてはないけど、何となくそうだと思う。」
「そうですか…。」
「お前警察に行く?」
「…それが一番ですよね。」
「まぁ、そっちの方が俺は安心だけど。ただミニョはどう思うんだろう。それは分からない。」
「……きっとシヌさんと同じですよ。」
「そうかな。」
「はい。俺のこと軽蔑してましたから。」
「同然だろう!ミニョにそんな顔をさせたのはお前だろうが!」
「…分かっています。ただ…ただ、知っていて欲しいんです。自分の為にしたわけじゃないんです。全部。」
「………。」
「ミニョちゃんを幸せにできるわけがないと思っていたんです。あいつに。」
「…。」
「だから、だからこの手で守りたかった。」
「…まだ続くか?」

シヌは急に立ち上がって、チソンの顔を思いっきり殴った。腫れあがるまで何度も殴った。
チソンもまたガードすることもなく、少し嬉しそうにただ殴られ続けていた。

「アフリカでミニョのことを助けてくれたお礼分だけは勘弁してやる。」

その場にぐったりと倒れるチソンに、
「お前、このまま合宿所に来い。放置してたら何をするか分からないからな。」
と、言うなり最後に足で蹴りつけた。

「…分かりました。」

チソンは少しだけ涙を流した。

最後にミニョちゃんに会わせてくれるのかもしれない。そんな淡い期待がまだ自分の中に巣くっているから。




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読んで下さってありがとうございますお星様
シヌさんかっこいい…。

そして、自分にはジフ先輩に手が届かないと悲しむ資格さえないことに改めて気がついたのだった。

震える足を力いっぱい叩き、無理矢理立ち上がると、ジフ先輩に見つかる前に慌ててその場を離れようとしたのだが、がくがくする体が思うように動いてくれず、そのままもつれるように倒れてしまう。

「また名誉消防士の出番かな?」

頭の上から愛おしい優しい声が聞こえてくる。
それだけで、私の我慢は跡形もなく崩れ去ってしまい、涙がぽろぽろととめどなく流れてしまった。

泣きたくないのに!泣きたくないのに!!

うつむいて歯を食いしばって、どうにかこれ以上泣いてしまわないようにしたいのに、涙腺が全然言うことを聞いてくれない。

先輩は今どんな顔をしているかな?
呆れているかな?面倒そうかな?嫌な顔かな?それとも…少しは心配してくれているかな??


ジャンディはどうしたんだろう。

彼女がこんなに感情を露わにして泣くということは…
ジュンピョと何かあったのだろうか?

泣き止めそうもない彼女の側に腰を下ろすと、頭をぽんぽんと優しく撫でた。
そしたら、もっと泣いてしまった。でも、その方がきっとすぐにすっきりするから、泣くだけ泣いたらいい。

「俺の前では無理しないで。」

ぎゅっとジャンディの頭を抱きしめたら、素直に俺の胸に顔をよせてくれた。
それだけで、心臓がおかしくなってしまったみたいに動くから、自分がまだまだジャンディから離れたくないのだと嫌でも気づかされる。

このまま俺の傍にずっといてくれるなんて、そんな空想をしてみても、それはあくまでも空想で現実にはならない。


このまま先輩の胸の中にいられるのが私だけだなんて、そんなの空想でしかない。


「えへへ、すみませんでした!ちょっとこけちゃって、思いのほか痛かったんです!!」

努めて元気な笑顔を作ってみるのだけれど、先輩の目はなんだか怖い。

「何かあったのなら言って?」

また無理する。どうして彼女は我慢したり無理したりするのが好きなのだろうか。

「何もないですよー!ほらぴんぴんしてます!」

これ以上先輩の近くにいたら、自分の閉じ込めていた想いが鼓動から伝わってしまいそうで、元気なふりをしてさり気なく離れようとしたのだけれど、先輩にぐっと抱きこまれてしまって、さっきよりももっと密着してしまうことになってしまった。

し、死んでしまいそう。


ジャンディが離れようとするから、思わず抱きすくめてしまった。

大切に想い過ぎて、どうにかなってしまいそうだ。


「あ、あのー先輩、いいい息ができませーーん!!」

もごもご苦しそうにジャンディが俺を見上げてきた。

ふーっと一つため息をつくと、ジャンディを俺の腕から解放した。

ジャンディは真っ赤な顔で胸に手を当てて深呼吸をしている。そんなに苦しくさせていたなんて思いもしなかった。

「ごめんね、ジャンディ。そんなに力を入れたつもりじゃなかったんだけど。」

「いいいいいえ、そそそんなことはないんです!すみませんでした!!」

目は腫れて、これ以上ないくらいの真っ赤な顔で苦笑いを浮かべると、ジャンディは一目散に俺の前から走って逃げてしまった。

俺はぐったりと床に足を投げ出すと、後悔のため息をついた。

大丈夫かな?また独りで泣いてしまうくせに…。
それに…床にへたり込むジャンディを見つけて、今日は少しは一緒に居られると思ったのにな。


ジャンディが医学部に入る為に浪人していた時には、おじい様の診療所で時にはおじい様も一緒に三人で勉強をした。
医学部に入ってからも、奨学金を受けている彼女は成績を落とすわけにはいかないので、浪人時代と同じように勉強をみている。

素直じゃない彼女は最初なかなか俺に勉強を教わろうとしなかった。
だから、こんな理由をつけてあげたんだ。
「俺も編入組だから、ジャンディに教えるのも勉強になるんだよ。」
そしたら、満面の笑みを浮かべて喜んでくれた。
実際には、広いF4ルームでマンツーマンで教わっているので、他の人よりも随分と進んでいるのだけれど。

こんな穏やかな日々がいつまでも続かないのは分かっている。
全てはジュンピョが帰ってくるまでの幻のような時間なのだ。

別に自分の願いなんてどうでも良くて、この気持ちを押しつける気もない。

ただジャンディのことが好きなだけなのだ。

それ以外に何と表現したらいいのかなんて分からないけれど、これから先ジャンディ以外を好きになることはないし、他の人ととりあえず結婚なんてことも考えられない。
でもジャンディにはジュンピョがいる。要するに俺は生涯独り身であることがこの若さで確定しているといことだ。

なにも感傷にひたってこんなことを考えているのではない。

ただ、仕方なくその運命を受け入れているだけだ。
俺はジャンディしか見えないのだから、そのジャンディの傍にいられなくても、近くで見守っているだけで、それだけで十分だと思うことにしている。もちろん時には強引にでも奪ってしまいたくもなるし、ジュンピョを憎く思うこともある。けれど決めたのはジャンディなのだから、それに従うまでなのだ。

彼女の幸せの為になら、自分の願いなどどうでもいいことなのだから。

それに、俺の好きになる人はみんな傍にいてくれないなんて、そんなことを未だに思っているわけでもない。今ではジャンディがとりもってくれた大切な世界に1人だけのおじい様がいてくれるから。

ぼんやりと窓の外を見上げると、夕暮れのオレンジ色が図書館の壁を照らしていた。

ジャンディみたいだ。

明るくて元気な色なのに、夕暮れだと思うから、どことなくもの悲しい。

そんな相反する魅力が彼女には同居しているから、こんなにも惹かれてしまうのだろうか。

まぁ、そんなことを考えようと考えまいと、この気持ちが変化することはない。それどころか日々強くなってしまうだけだ。

俺はジャンディの太陽のような笑顔を思い浮かべて、思わず笑顔になっていた。

ジャンディは今頃もうちゃんと笑っているだろうか。

黒のジャケットの内ポケットから携帯を取り出すと、ジャンディに電話をかけた。

早く出て欲しいな。そして元気な声を聞かせて俺を安心させて。




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読んで下さってありがとうございます三日月
ドラマの中で、ジャンディがジフ先輩のことを、太陽みたいな人だと言いますが、私には月のような人に思えます。太陽のようにギラギラと照りつけるのではなく、さり気なく夜道を照らしてくれる月だと思うのです。
皆さまはどうですか?

こんばんはですくま

とうとう始めてしまいますはあと

大好きでたまらないジフ先輩の幸せな毎日をはーと

本当はジフ先輩に少しも辛い想いをして欲しくないので、最初にジフ先輩がジャンディを好きだと意識したであろうフランスから帰ってきてすぐにでも…と思っていたのですが、そうすると凄く素敵なウェディング写真コンテストとか、島まで出向いて指輪を渡そうとしたところなど、ジフ先輩の美しくも切ない表情が全部なかったことになってしまうので、泣く泣く最終回の医療ボランティア?へ向かうバスの中からにしましたはぁと

私の思い描く空想と、皆様の空想が大幅にずれていないことを願って…はあと

──────

空想してみる。

ジャンディが俺を必要としてくれること。
ジャンディが俺に会いたいと思ってくれること。
ジャンディが俺に恋をしてくれること。

そして、愛してくれることを。

心地良いバスの揺れにまどろんでいると、思い焦がれていたジャンディが、期待通り遅刻ぎりぎりに乗り込んできた。

また知らない男に怒られているようだ。

あ、俺の隣に来た。

「懲りない奴だな。」

顔にかぶせていた帽子をとりながら、そんな軽口を叩いてみると、みるみる笑顔になるジャンディ。

もうすぐしたらジュンピョが帰ってくる。約束の4年が経ってしまうのだ。
そう思うと、いてもたってもいられなくて、ジャンディには内緒でこのボランティアに参加してしまったのだ。

子供の相手をしていると、ジャンディがぶすくれて近づいてきた。また怒られたのだろう。

「先輩が卒業したらどうしよう。」

そんな胸を締めつけるようなことを言うから、いつもの優しい先輩の仮面を危うく脱いでしまいそうだ。

「おじい様の診療所以外にも理由があるんだ。」

でも、ヘリの爆音によってそんな小さな抵抗すらなかったことになってしまった。

俺は今、どんな顔をしているのだろうか。
目の前にいる小さな女の子にですら、こんな醜い気持ちを悟られてしまいそうだ。

ジャンディが、空から降ってくるジュンピョの声を聞いて、慌てて海辺へと走って行ってしまった。
もう俺の存在なんて忘れてしまったかのように。

俺はそれでも往生際悪く、もしかしてジュンピョはポロポーズをしに帰ってきたわけではないのかもしれないなどと思いを巡らせ、この目で確かめようと、イジョンとウビンにすぐに連絡した。


先輩は私のことを親友ジュンピョの彼女だと思っているからこそ、この4年間傍においてくれていたのだ。

いつからだろう。
広い大学の構内で、街で、そして夢の中でまでも、ジフ先輩を探してしまうようになったのは。
そして、それに気がついているのに気がつかないふりをするようになったのは。

大好きなはずのジュンピョがアメリカへ出発してから、予想通り全く会えない日々がおとずれた。
そんな時、いつも近くにいてくれるのが初恋の人。だから、こんな気持ちになってしまうのは弱いからで、ただ甘えているだけなのだと思い、自分を戒めながら最初の2年間を過ごした。

それでも何度、先輩の笑顔に見惚れ、先輩に会えない日には涙を流してしまったのか分からない。

そんなもやもやとした気持ちを抱えたまま3年目を過ごしていたある日、またいつかの時のように、大学の図書館の壁にもたれて眠る先輩を見つけた。それだけで胸がいっぱいになるのを感じて、近づくことができず、本棚の影で立ちつくしていた。

すると、髪の長いとてもきれいな女性が何のためらいもなく、眠る先輩の側に腰を下ろすと、その栗色の髪に口づけたのだ。

目の前が真っ暗になった。気持ち良さそうに眠る先輩は涙でゆらゆらと揺れ、頭がぐらぐらして立っていられなり、気がつけばその場に崩れ落ちてしまっていた。
そんな私に気がついたその女性は、人差し指を唇にあてると、「内緒ね。」と、同性の私でも釘づけになってしまう妖艶な笑みを残して去っていったのだった。

あの人は誰?先輩の恋人なの、それとも婚約者…。

その時初めて、私はジフ先輩のことを何も知らなかったことに気がついた。
知らないからこそ、こんな邪な不相応な気持ちを抱いてしまっていたことにも気がついたのであった。




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読んで下さってありがとうございます三日月
どうでしょうか?楽しんでもらえてたら良いなぁ。