今回は軫宿についてのお話です。
「軫」という漢字の意味を調べるとこのように書かれています。
① 車の床縛(とこしばり)の上にある木。車の箱をのせるため、長方形に組まれた四本の木。また、その後方の横木。転じて、車体、車両、車。
② 琴の弦の先端を通した木製の部分品で、これのねじり方で、弦を強くしめつけたり、弱めたりして音高を調節する。
ここから軫という意味は、何かの下支えになる、という感じですかね。
宿曜の秘伝によると、軫宿は全ての宿から剋されると書かれています。そこから自分の本音を出さず、お世辞で話を合わせてしまうところがあるのです。
ということで、軫宿について始めたいと思います。
軫宿(しんしゅく)
~他と迎合しない地を這うおしゃべり下手なミミズ(ワーム・ムカデ)~
ミミズは生態系の一番下にいるため、自然の知恵を持っている。人間本来の潜在的に潜む姿に興味が深い。その深い知恵が世間を驚かすことがある。時々ものすごく出世する人がいる。それ以外はただの変人に映るが本人は気にしていない。
おしゃべりが苦手。もし良くしゃべる軫宿がいたら浅い知恵者だそう。独特な生き方と価値観がある。世間一般の影響は全く受けない。他人に迎合しない。頑固。
政治家や策略家には向かない。財だけを追い求めると運は逃げていく。
誰かとの競争にも興味がない。哲学・宗教・芸術の世界で生きる方が合っている。
この人の言葉を翻訳する人が必要。Appleの創設者のようなイメージ。この人の知恵は天や地から降って湧く。
何を考えているのか、外見からは良くわからない。謎めいた人物。一般的な世界では生きずらい。決して自分を変えたりしない。
軫宿の開運方法
自分の世界観や価値観を決して曲げないある種の頑固さをそのまま持ち続けること。独特な知恵から自分の一生を悔いなく生きること。
そうするためには、無理して人に合わせないように。お世辞も要らない。孤独でも生き抜く強さが備わっているから大丈夫。そういう軫宿の芯の強さに惹きつけられて寄って来る人もいるから心配なし。
問題なのは、自分の意志は無視しての就職や結婚。つまり打算的な考えで行動してしまうこと。親からの勧めや安定などからの行動は軫宿にとっては合わない生き方となる。
結婚は晩婚になりがちだが、打算的な婚姻は軫宿にとって自己の表現を失うきっかけになるので、自分の気落ちに正直になること。あるいは結婚していることが幸せとは限らない。
もしも結婚している最中にこの先の不安な悩みが出てきたら、それは相手との意思疎通が出来ていないから。この先どうして生きていきたいのかを真剣に話しをすること。軫宿は話が下手なので第三者を交えて話し合いをしても良いし、文章のやり取りでも良い。
故郷を離れてなるべく遠方に行った方が運気が上昇する。早くから親離れすること。
自己表現できる専門分野を見つけて、言いたいことが言えるような仲間が出来たら素晴らしい。
財や名誉を追い求めないように。自分から求めなくても、世の中に認められるような人は軫宿のごく一部に過ぎないので。ほとんどの軫宿は一般的な生活の中に幸せがあることを知ると楽に生きられる。
軫宿に縁がある神社
坐摩神社(いかすりじんじゃ)
大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目 渡辺3号
祭神:坐摩大神(いかすりのおおかみ)
総合五柱の神
↓
・生井神 (いくいのかみ)・・・井水の神(生命力のある井戸水の神)
・福井神 (さくいのかみ)・・・井水の神(幸福と繁栄の井戸水の神)
・綱長井神 (つながいのかみ)・・・ 井水の神(「釣瓶を吊す綱の長く」ともいわれ、深く清らかな井戸水の神)・・・ 竃神(屋敷神。庭の神)
・阿須波神 (あすはのかみ)・・・竃神(足場・足下の神。足の神であり旅の神)
・波比岐神 (はひきのかみ)・・・竃神(屋敷神。庭の神)
この神社は、通称「ざまさん」の名で親しまれる船場の氏神様だそうです。
坐摩大神(いかすりのおおかみ)の由緒には諸説ありますが、神武天皇の御世、宮域を守る神様として宮中に祀られたのが起源とされます。
祭神の五柱の神の性質を見てみると、「水」と「火」の神のみになっています。ここで大切なことは「土」が抜けているということ。
ホツマツタヱによると、大地をならし清める祓いの御業(みわざ)に「ひみつの祓(はらひ)」という行いがあります。お呼びするのは「火・水・土」の三要素の神たち。土の守り神にこの土地の祓い清めをお願い申し上げるのです。
軫宿さんにとって、土地の浄めは特に必要なのです。だからここ、坐摩神社にお参りに行かれることをお勧めいたします。
その際、神社の社務所に「お清めの砂」があれば買って来て、ご自宅の土地の四隅に撒いてください。
ただし、「土用」の期間中や「大犯土(おおづち)」「小犯土(こづち)」の期間中は避けてください。
土用:二十四節気の立春、立夏、立秋、立冬の前に、それぞれ18日余り配されている。
ただし、土用の期間中でも土いじりを許されている十二支がある。それを「間日(まび)」という。
<間日>・・・土用の期間中でも許されている日
春の土用の間日・・・巳、午、酉の日
夏の土用の間日・・・卯、辰、申の日
秋の土用の間日・・・未、酉、亥の日
冬の土用の間日・・・卯、巳、寅の日
大犯土(おおづち):庚午の日より七日間
小犯土(こづち):戊寅の日より七日間
蚯蚓神社(きゅういんじんじゃ)
長野県の長和村
祭神:ミミズ
調べてみたら、日本でミミズを祀っているのはここだけだそうです。
場所を説明するのが難しいのでこちらを参照してください↓
上小ふしぎ発見!?(その3)~御神体はミミズ!? | じょうしょう気流 (nagano-ken.jp)
由来↓
大昔、大雨が続き、奥にある北沢山から大水が出て長さ一尺程(約30cm)の大ミミズが群をなして死んでしまいました。その後大流行したコレラや腸チフスがミミズの祟りだと噂され、ミミズの供養のためにお堂を建立し「蚯蚓大権現」として祀ったことがはじまり。
さて、ここで昔、私の師・大石先生から生前に聞いた軫宿さんにピッタリの話をします。
私の母方のいとこ(男性)のあまりにも続く不幸に、師を紹介しました。
彼は4人兄弟の末っ子。上三人はお姉さん。
ある日、母親が病で亡くなり、その半年後に父親が亡くなりました。
悲しみに暮れながら過ごして間もなく、従妹の勤め先でその不幸は起きました。
彼が段ボールを解体中に、カッターナイフの刃が折れて、その先端が飛んできて目に刺さり、片目を失明してしまいました。
なぜこんなにも不幸が続くのかと、私の母親に相談に来たのです。その話を母から聞いた私は、こんなに深い因縁の原因を見ることが出来るのは大石先生しかいないと思い、師のことを従妹に話し、私と一緒に師の元へ相談をしに行くことになったのです。
師は従妹にこう言いました。
「人間はな、親離れがなかなか出来ないな。なのにセミはえれ~な(えらいなあ)。セミは一人で何年も土の中で一人で過ごしているから、セミの方がえれ~な(えらいなあ)。セミはな、土の中の世界のことを誰よりも知っているぞ。なぜだかな~。
そしてなあ。自分の体の中の栄養分が足りなければ長い時間をかけて溜まるまでは土の中から出てこねえんだ。大人になる時期を自分で決めているんだな。
それからようやく土から出て、セミになる。しかし大人になってからが早い。生きていられる期間が短いんだ。
それでも文句は言わずに土の中で静かに生きている。セミは人間さまよりもえれーだ(えらいのだ)。
なぜえらくなったのか、わかるか?
それはな~、卵の時から親から離れて一人で生きているからだ。わかるか?本当の母親と離れても、大地の土が代理母となってセミを育てるのだ。わかるか?」
なんと、師は人の悩みに「セミ」という昆虫を例題に出して、土の慈愛は母親の役目と同じだと、従妹を諭しました。
つまり、従妹に早く親離れをしないから肉親の親が先に亡くなったのだぞ、と言ったのです。
そして早く心の中から親に頼る自分を追い出しなさい、そして魂の親は見えない存在として常に傍にいるのだから、寂しくはないのだぞ、と諭したのです。
従妹はこの話を聞いてから泣くことは止めました。心の中から親離れもしました。そして片目だけでも見えていることの幸せを感謝し、見えない存在に対して感謝するようになったのです。
そして現実世界では介護職へ転職。その後、職場での素敵な出会いがあり、従妹は結婚しました。今も子供も出来て幸せに暮らしています。
確かに、人間は人間界だけの狭い世界で悩み、苦しんでいます。地上の見える世界で悩みを抱えて苦しんでいます。親に早くから先立たれてしまった人もいます。
でも地球上の全ての生き物には、土という母親がいます。
その土の中にも生き物がいて、そういう生き物たちも必死に一人で生き抜いていることを知りなさい、というのです。
いつまでも肉親や周りを頼りにするなよ、自分の道は自分でしか切り開けない。不幸不幸と言っている内は、その不幸の原因に気が付けないのだよ。と師は私たち二人に語りました。
ミミズのような環形(かんけい)動物、長い形状の節足(せっそく)動物として譬えられる軫宿さんのような生き方にはピッタリのお話だと思って書かせてもらいました。
軫宿を持つ方にアドバイスです。
早くから親離れし、自然に即した知恵を発揮して強くたくましく生きていって欲しいと願います。
どうか自分のやりたいことをやってくださいね。誰かの犠牲になるような、本当の自分を出せないような生き方から卒業しましょう!