読書が得意でも読解はできない。


という経験はないだろうか。

「読めばわかる」「読んだら解ける」

国語が得意な人は今でもそう指導したり、

子どもに言っていることが多い。

実はここが

保護者の皆さんにはおわかりでない場合がある。

以下、引用は原則グレー。

特に注目して欲しい部分を編注として赤太字とした。


難関中学の入試問題の原作者になったけど

設問が解けない理由を考えて、

編集者にたどり着いた

岸田奈美

2023年2月4日 15:26

「岸田奈美さんのエッセイが、

難関中学の今日の入試問題に出ました!」

なんですって!

調べたところ、

東京の筑波大学附属駒場中学校だった。

都内……偏差値……1位……!?

昨年は、

京都大学医学部の入試で

ミャンマー行きのエッセイを、

灘中学校の模試で

バズった母のエッセイを使ってもらった。

偏差値が、偏差値が軽々とスキップで

わたしの頭を飛び越えていく。


出題されたのは、

光村図書「飛ぶ教室 第65号

(2021年4月発行)」に寄稿し、

「ベスト・エッセイ2022(2022年8月発行)」

に転載されたエッセイ。


設問も一緒に、読ませてもらったから、

解こうとした。

結果、解けなかった。


原作者、無念の大惨敗である。

原作者なのに、

原作者の意図が、わからない。

笑い話のようだが、

わろてる場合ではない。

こういう時は

いったい何が正解なんだろうかと考えたら、

ひとつ

「入試問題で本当に問われてるのは、

原作者の意図なんかじゃないのでは?」


という考えにたどりつき、

問題を作った人への称賛と、

編集をしてくれた人への感謝に包まれたので、

この多幸感を残しておきたい!

まずは、エッセイのほうをお読みください。


エッセイに関しては転載をしない。

リンク先を読んで欲しい。



問1.「暴れて、割った。」とありますが、

この一文の書き方にはどのような効果がありますか。



本文を読まずとも、これだけで読み取れる。

これが読解であり、読書ではない。

常々言っているが、

〇〇中で出題されたから

という理由で

生徒に読書させることには

意味がない。

その理由が作家さん視点でも立証される。


この手のトラブルは共通一次時代から

馴染みなので、

こういう記事はたくさんある。


ではてんで的はずれなのだろうか。

こういう指摘をする人間には

共通してあるバイアスがある。

それは入試問題無意味論=受験無意味論である

ところがだね。

岸田奈美先生のえらいところは

答えを見つけてきたところなのだ。


ところが、である。

わたしの担当編集者である佐渡島庸平さん

(わたしが所属する事務所の編集者で、

まず彼らが編集したあと、

寄稿先の光村図書で

新宅智子さんが編集してくれる)が、

回答してみた。


「問1は短い文章にすることによって、

作者が強く衝撃を受けて

考えこんでることが伝わる効果だよね」


正解だった。


佐渡島さんはどの設問にも、

ピタリで正解した。

どうして原作者が一問も正解できないのに、

編集者が全問を正解してしまうのか。

佐渡島さんは、悔しがるわたしに言った。

「編集者は、原稿の一文、一文に、

意図と効果を見つけるのが仕事だからね」

わたしはその言葉に、ハッとする。

そうか。

国語の問題で本当に問われているのは、

作者の意図なんかではないのだ。

編集者の視点だ。


引用ここまで。
さらに深く理解したい人はぜひ、

https://note.kishidanami.com/n/n6cc7d7d8a1de

をお読みください。


  読解とは何か。

仮に読者を音楽鑑賞、楽しむものとするなら

読解とは正確な解釈だといえる。

音楽に詳しい人はわかるのではないか。

聴くのと弾くのって違うでしょ?

上手と下手では

意図的にやるかどうかが違う。

さらにいうと

プロは相手の心理すら操るものなのだ。

この言葉へのこだわりがあるかないかが違う。

名授業はね、一言が重いんだ。

これがクッソ軽い塾講師は何も残せない。

すべての文章は心を誘導するために存在する。

ということを機械論的文学論と呼ぼう。

ここで理系的発想から、

相手にこの時の思いを伝えるには、

どのような技法を用いて想起させるか。が決まる。

というわけで、

国語が酷語な理系ボーイのために

理系がまとめあげたのが科学的読解法である

国語は雰囲気で読むものではない

国語は論理で解くものだ。

このことさえわかれば、

あとは近似によって

限りなく正解に近づくのだよ。


というわけで、

ナントナク読解法から早く離脱しよう

特に国語ができた保護者の皆さん。



©️お受験のお医者さん