Sのα6あたりの入塾生がくると、
ベテランがチヤホヤする感覚が
私にはわからなかった。
そんなSを知らないという、
関東南部で教え始めた頃の話。
確か、マスター合宿にこい。と言われた。
当時のO澤先生は私の人生三番目の師匠である。

なんだか知らないが参加することになって、
全部で5年行った。
しかし病気が悪化してたから
5年間で私の合宿参加は終わった。

そんな思い出から、早稲アカの合宿ってなに?
という話をしよう。

高い金出していく意味あるのか?と。
いずれ5月くらいから電話かけてくるからな


  合宿の初日って

バスで3時間志賀高原まで乗って行く。
まあ我々は始発で集まるのだが。
ところで今は違うかもしれないが、
当時はExiVじゃなくて
WACという形態があった。
このWAC新宿集合がわたしは大嫌いだ

なぜならここからバスが出るが、
そもそも駅から遠く分かりにくかった。
いまはExiV新宿となり移転したのではないか。
携帯GPSがないと私は新宿はアルタと
清龍とヨドバシしか知らない。
3丁目方面はまだいい。
WACの西口地下通路が死ぬほど嫌いなのだ。

わたしは座標を建物と自分の位置で
3点測量するので
地下ではどの方角かわからなくなる。

したがって東京と渋谷も嫌いだが、
もっとも嫌いなのが新宿だ。
西口と中央西口とかマジ意味わかんねである。

さて新宿に集合して
もう少しわかりやすいところにいく。
何台ものバスが郊外の校舎にあつまる。
だいたい西武新宿線沿いだな。
この時の私は合宿モードになっている。
空手部時代の鬼先輩である。
なのでキビキビ動く。
移動は駆け足。視界は360度警戒。
そこ、走らない!と単指示をだす。



「泣いたり笑ったらできなくしてやる!」

いやいや。
さすがにここまでではない。
この出発に泣くお母さんもいる。
確かに10歳を1人親もなく行かせるのだ
そら心配だろう。
全員揃ってからバスが出る。

  バス内はまだいい。

子どもたちは笑顔だし、
私は注意事項として
・ハイ!注目!
・隣の人の顔見て!覚えて!
いなかったらすぐ手をあげる!
・何があっても立たない。シートベルトつけて
・お菓子は500円分まで食べていい!
・バナナはおやつではない!
バショウ科バショウ属の植物の実だ!
とか笑いとりつつ注意事項を言う。
そっからは勝手に楽しんでる。
隣同士あーたしさくらんぼーで
友達と座るからだ。

だがSAとかPAでは話が違う。
バスから降りると車の影を通る。
渡る時には車がぶつかる危険があるから
即座にバディくんで
旗で横断歩道を渡らせたり止めたりする。
手旗信号みたいである。

ちなみに過去にアホが
生徒を1人置いて行ったことがある。
当然、インシデント。
引き返せば開校式の時間が足りなくなる。
SAやPAは「我々にとっては」休憩所ではない。

なので、
発射前に頭数を移動して往路で確認し、
復路でも確認して人数確かめて、
さらに隣がいない人手を上げてーとなる。
この辺りから
「先生がここに立ったら喋るのやめろ!」
と少しずつ統率をとっていく。

  安全配慮



合宿参加者は別ミーティングがあり、
最初に叩き込まれるのは優先順位の変更だ。
「生徒一人一人の命と安全が
何より最優先と心得よ!」
全員で読み上げ唱和する。
続いて
「声を出せ!もっとでかい声を出せ!」
などと唱和する。
我々にはここから合宿スタート。
学習塾だが、勉強とか成績はあとあと。
命と安全が最優先である。

  到着したらホテルで開校式をやる。

朝礼みたいなもんだ。
だいたいはホテル長=校長の挨拶。
そこからいきなり
午後90分2科目の3時間授業をやる

授業の話をしよう。
私は
国語と理科の担当なので、
このブログにある「科学的読解法」を
120分3回で覚えさせる。
ある年だ。
85人も体育館みたいなとこに集められた。
悔しいのは84人の4段階の4をとっても、
20人の算数に平均で負けることだ。

できた感は国語では難しいのである。
だが数では負けてない。
しかし一位は平均できまる。
そこで私は一位を取れない。

てか、85人は無理だって。流石に。
そんな感じで
合宿オリジナルテキストは
配られたら毎年予習やってた。
あえて新鮮な気持ちで。

  合宿中

バスで窮屈かつ授業と
ふもとは暑かったので夏バテで
ほとんどは食欲なくすのだ。
ある年のこと。
YTトップとかいう生徒がいた。
しかし偏食がすごい。
普段「カニパン」しか食わない。
さらに液体がかかってるものがダメとか
すごい変な子だった。

ちなみにアレルギーは
参加前にアンケート取るので別メニュー。
その子の親はアンケートでそう書いたと
言われたと聞いたが、
私が目の前に座って、
「うっわカレーうっま!
これ絶対食べた方がいいよ!」
言ったら食った。なんだ食えるじゃないか!
「おかわりしよ!」とこれみよがしに食う。

ちなみにご飯食べさせろ

実はこれ校舎責任者指示である。
慣れない、緊張で食わないと
翌日から確実に持たない。
ゆえ、食わせろという指示が出る。
特に初日は慣れてないし、
知らない子と飯を食うから
まず盛り上がらない。

だから私は必ず
初日にこれみよがしにうまい!うまい!と
言って食う。
うまいと思って食うものはうまい。

できると思って解けばできるのだ。

ボンカレーはどうやってもうまいのだ

今思えば煉獄さんしてた。


この時、わたしには名言がある。

「みなさーん!合言葉は
モリモリ食べて、モリモリ出す!」である。
バカみたいにゲラゲラ笑ってるが、
この一言で全員を統率できる。
周りもそっから猛烈な勢いで食い始める。
男子なんてみんなバカだ。
私のほうがもっとバカだけどな!

ふふふ!

バカさで私に勝てるなら

勝ってみせるがいい!(ドヤさ



  5年の合宿の大切さがわかるだろうか?

ここで嫌な思いしたら
6年では絶対参加しない。
6年生で合宿参加しないと
夏休みダラダラでリセットする。
あの「二月の勝者」の紅白歌合戦現象が起こる
一度おろした気持ちをアゲるのは困難だ。
だから「最高にせねばならない」
実は6年担当より
5年の方が指揮、盛り上げレベル高いのだ。

そして夜が来る。
たまにレアケースがいる。
12時きっかりに起こして
インスリン打たせないと死ぬ子どももいる。
1型である。
これはホテル長が責任持ってやった
我々はむしろ、
「ねないこだーれだ」だ、をする。

初日の夜は大抵廊下を歩くと声が聞こえる。

寝てない。

頭は使うが体は疲れてないからだ。

この点は女子がひどい。

巡回してスリッパを叩きつけて偽装し、

素足であるく。

そして部屋のドアを開けて言う。

「誰ですかぁ?寝てないのぉ。

明日の朝礼でみんなの前で怒られますかぁあ?」

と地獄の底のような低い声で話しかける

そのあとスリッパをなげて足後偽造して、

それでもやはり喋るなら

部屋の名簿を読み上げて、

「〇〇校の〇〇さーん、××校の××さーん、

きみたち明日の朝から怖いことになりますよー」

とホラー映画のように低い声で囁く。

「早稲アカの全生徒に有名になりたいですかぁ?

中学の先生にもいいますよぉ」

私は大学の時に人形劇サークルにいた。

人間が本当に震える姿みたことあるかい?

私が演じると子どもは大抵本気で恐怖する。

これで流石に寝る。

初日が肝心。


お子さんをコントロールする最大は
おもろいと思わせること。
次が「恥ずかしい」だ。
こうして私の生徒統率は
授業の初日、ホテル初日には完成する。
で、1時からホテルミーティング
寝るのは5時間だ。

  2日目

そしてラジオ体操と朝礼で
ダメな部屋の番号と名前をよぶ。
他の塾からはスパルタだと言われるかもだが、
私はプロパガンダが得意なので、
もう2日目以降は言うこと聞く。
てか、私の授業受けてるやつは、
必ず「おい!静かにしろよ!」と味方になる
ある意味おっかない。
昔、宗教の教祖になれるよと言われた。
なりたくないのでならないが、
心理学は使う。
子どもたちの未来のためなら。
そして、午前2コマ、午後2コマと6時間だ。
お子さん教えてるお母さん。
6時間も座らせておける?
トイレ以外ずっと。
私レベルでは無理ではない。
むしろ次の科目行きたくない!と
まで言わせたことがある。
初日でマスターファンになってる。
午前が終わると昼食だが
事件が起きたことがある
ヴィシソワーズを「スープが冷めてた」と
親に言ったやつがいる。
知らないのは悪くないが、
冷性スープは知っといてほしい。
ホテルマンがかわいそう

2日目の授業では
もう毎日がエブリディだが
完全に統率完了してる。
トイレ以外で席をたたない。

私はトイレに行った後、
戻ってくるとこで
「キャハハ!いやそれ最高!」と
チコちゃん岡村並みに
無駄に笑い転げる。
実際には普通に授業してる。
「え?なになに
なにかおもしろかったの?」
周りが笑いをこらえる。
いや普通の話である。
これには意味がある。
無駄にトイレ休憩にいかなくしてる。
トイレに必要な時はもちろん行かせてる。
単に「トイレに行ってる間に
損したんじゃないかと思わせることで、
ダラダラさせないため」である。

志賀高原とはいえ
8/10前後はそれなりに暑い。
水分補給休憩は1杯までとしている。
我々もこの時は麦茶を飲む。
ある年だ。最終日には喉が枯れる。
85人に響かせ喋り続けると声が出なくなる。
すると私の校舎ではない子が
麦茶を持ってきてくれた。
優しい子だ。ありがとう。
おかげで再び全力でやる気になれたよ
麦茶を飲みすぎてるとトイレに殺到する。
そうなるとトイレ我慢もでる。
無茶もする。

だから休憩は一題読ませて
解説終わったら入れてたかな
こうして私の授業は「気持ち悪い」とか、
「逃げたい」などのため
他講師が多発させる救護室送りは
1人も出ないし、出したことがない。
トイレからは必ず帰ってくる。
考えてみるといい。
120分間通しでこれは異常なことだ。

子どもたちが国語であくびもしない、
遊びもしない。
解くか、目をキラキラさせて解説を聴く。
こんな理論的解説、
科学的読解を校舎では
やったことないからだ。
なにせ魔法のように答えが見つかる。
私の指示でマルをつけて繋ぐだけで。

  こんな感じの3日目の最後に

アンケートをとる。
私の希望者はおおいので、
4段階で3が1人いるだけで、
20人に負ける。
平均システムだからな。
いつか必ず勝つ。
そして5年かかった。

最後の年、私は公言した
「きみたち全員に最高だったと
言われる授業をしたい。
来てよかったと思わせたい。
私のこれまでの人生をこの合宿で出し切ろう」
ついに5年で果たした。
校舎長は理科の人である。
私を「合宿には絶対必要な人」といい、
広い視野、危険察知能力、引率時の動き、
すべてを認めてくれた。
なんと女子の風呂担当にしたことがある。
私は完全変態だがロリータではない
校舎長はこの配置で言った。
「マスター先生をここに置くのは性別上より
あなたしか分刻みの風呂スケジュール回せないからです」
これは公言された。
確かに私のリーダーシップは強い。
なぜかわかるか?私は叱るより褒める。
「褒めて君を信じてる」という。
「人人相信じて
はじめて自他の独立自尊を
実にするを得べし!」
信じてもらえた生徒は期待に応える。
そういうことだよ、保護者様。

そして最終日。
後夜祭的なお祭りがある。
志賀高原の夜道はくらい。
怪我をさせない。
これから最高のイベントがある。
悲しい顔じゃ似合わない。
さて私は4年間
「世界に一つだけの花」を歌わされた。

このお楽しみイベントの
最高の盛り上げ役だった。
だが大抵声は枯れてるから、
声帯をもみほぐしてなんとか歌う。

この歌詞は早稲アカぽくないが、

初年度に歌うよう言われてからは定番となった。

ちなみに

6年は「栄光の架け橋」である。 

曲選んだのも歌わされたのも指示だけど。
最後の年にあれは今回歌わないとホテル長に言われた。
合宿参加者は志願制で
私はあの歌を他の人に歌わせられない
宣言して参加したのだが。
ま、もう一つの目的、
アンケート平均ホテル1位はこの年に取った。
最後の年の悲願であった。
この後夜祭は花火も上げるし、
コンサートもやる。
このとき壇上から
子どもの顔を見るのが好きだった。
キラキラと瞳に光が反射する。
それに応えるように歌った。
がんばったから今がある。
今この瞬間を彼らは生きている。
ナンバーワンになれなくてもいい、

もっともっと特別な「オンリーワン」


ある年のアンケート。

「この歌は知っていましたが、

歌詞の意味が初めてわかりました。

すごく素敵な歌でした。

涙が止まりませんでした。

私は一生忘れないと思います」



  翌日は帰るのみだ。

ある年のこと最上位ホテルに配備された。
他の先生たちは
よくがんばった!えらい!とか
涙声で湿っぽい話をする。
演技もあるし、本気で泣く人もいた。

私はトリだった。
「さあ、皆さんご一緒に!
モリモリ食べて?!」
モリモリだーす!
「モリモリ食べて?」
モリモリだーす!
志賀高原にこれが響き渡る。
笑えるぞ。
彼らにマイクなし。
最終日にはここまで心を掴む。

最初の年だったかな。
私はワン、ツー、スリーの3つで
授業冒頭にハンドサインで教えた。
涙流して「これ、わすれないからね」と
去る時に言葉もなくこのポーズをした子がいた。
ま、アンカリングなんだけどね。



彼は夢を叶えるだろう。

帰りの引率も怪我、行方不明を出さない。
といっても
みんな疲れてるから普通寝る。

運転手さんがバスに置いてある
アニメか映画のビデオかけたらみんな寝る。
だから叱ることも必要ない。
そこには大人になった子どもたちがいる。
子ども、3日あわざれば刮目してみよ。
3日で人は変われる。
ぬるい校舎授業ではなく、
いつも最高の授業をした。

これが早稲田アカデミーの合宿の実態である。
他の学年には配置されたことがないからしらん
あのときの5年生なら知っているはずだ。
もっともっと特別なオンリーワン。
きみたちを愛しているよ。

  迷ってる保護者さん

合宿参加した生徒は秋からのやる気が違う。
値段は高いと思う。悩むと思う。
だが心を変えれば合格できる。
メンタームリストなどいらん。
できれば5年からは合宿の貯金始めてほしい。
永遠の感動と
世界最高の授業をしてかえてみせるから。
経済的に無理なら?
電話が来たらこう言え。
「お恥ずかしい話ですが、コロナの影響で」
これでもうぐうの音も出ない。
私のすべてはきみの心に。
困ったら火をつけるといい。
テルミット反応起こすけどな



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