無所属少年時代 #12 スイミングとトオル | 鈴木篠千のゲームと釣りと少年時代の話。

鈴木篠千のゲームと釣りと少年時代の話。

レトロゲーム攻略、釣りと少年時代の思い出の話です。

毎日では無いですが、PM10~11:00に1~3本の記事をアップする予定。

ルール
①高額ソフトはやらない
②攻略本などは見ない。
③地元(浜松)で釣る。
④少年時代(無所属)の話。
(詳細はプロフィールで)

 『ファミリーボクシング』(FC)で“レベル上げ”中なので、また小学生の頃の“無所属時代”の話を書いておこう。


 近所の友人らと“断絶”し、“無所属”になった俺がいろんな仲間と遊び始めた頃(三年生の春過ぎ)、俺の生活が変わる事があった。


 母親の薦めで、スイミングスクール🏊‍♂️に通いだしたのである。


 『薦め』というが、ほぼ強制だった。

 というのも、俺は生まれつき身体弱く、しょっちゅう風邪をひいていたりしたので、母親が『健康の為に…』と強引に通わせ出したのだ。毎週土曜日は“スイミングの日”になり、俺と弟は母の車で浜北区(市)にあるプールに行っていた。同じ小学校から通っている同級生も多くいた。

 

 当初、俺はこのスイミングが大嫌いだったムキームキームキー


 まずそもそも俺は運動が苦手だ。水泳も得意ではない。

 そして、弟は俺とは反対に水泳が得意だった。

 スクールに入ると、泳ぎの実力からクラス分けがされていて、俺は当然最下位のクラスから、弟もそうだったが、物凄い早さで兄である俺を抜き去り、上達者のクラスに加わった。

 そうなることを分かっていた俺はスイミングが嫌いだった。スイミングスクールは自分の惨めさを際立たせる場所であり、どうしても好きになれなかった。


 そして、弟は上級者クラスで記録などを出し始め、兄である俺は、下位のクラスでチンタラと泳いでいた。

 やがて、一緒の小学校の仲間が辞めていき、スクールに通う同級生らが他の小学校ばかりになった。


 そうなると、俺はこのスイミングスクールに行くのが好きになっていった。


 確かに弟と“差”が出るのは惨めだった。

 だが、それを無視してしまえば、意外と気軽に水泳が出来た。


 スクールには指導員(インストラクター)がいて、それぞれのクラスを教えていた。

 スイミングのクラスは、この指導員により大きく変わる。

 大体、1~3ヶ月で担当する指導員が変わっていた記憶がある。

 厳しい指導員もいたが、やる気が無いのか、あまり水泳に積極的ではない指導員もいて、そんな指導員が担当に当たると、かなり楽だった。

 

 弟のいた上級者コースはスクール内でも、“エリート”クラスで、かなり厳しく指導されていた。

 一方、我々“下位クラス”は、特に課題や期待などがあるわけでもなく、指導員の監視も緩く、皆で和気あいあいチューチューチューとした雰囲気があった。


 俺は、他の小学校の連中とのんびりとスイミングを楽しめた。

 馬鹿話をしたり、ミニ四駆やアニメの話で盛り上がったりした。

 たまに厳しい指導員に担当が“変わり”、大目玉を食らったりしたが…。


 俺は何となくだが、(…あー、世の中とは無理しないとこんなにも気楽なのか?)と思えた。


 サボっていたわけではない。

 水泳が上手くなりたい事もなかった。

 ただ、スイミングスクールで友人らと馬鹿話をしてプールに漂ったりしているのが、堪らなく好きになっていた。


 今から思えば、この頃、俺は“無所属”でいろんなグループと付き合っていた。

 水泳の上達より、面白い事があった。無理して”上”のクラスを目指さなくてもスイミング🏊‍♂️は面白かった。


 俺が“スクールカースト”、“ランク”など感じるようになるのはまだ先の事だが、何と言うか、“下”の気楽さを感じていた。


 “上級者コース”の弟はスクールが終わると、話も出来ないほど疲れ切っていた。

 それに比べ、俺は友達らと更衣室でふざけあっていたりした。(不真面目?)


 俺は、このスイミングスクールが気に入り、結局五年生の三学期まで通う事になり(弟も…)、その頃はすっかり体力が付いていた。風邪も引かなくなった。

 俺は子供の習い事で、このスイミングをオススメする。


 ちなみに、このスイミングスクールでの“練習”(?)のおかげか、俺は水泳が得意になり、後にスポーツクラブに通っていた頃、よくプールで泳いでいた。

 脳腫瘍のリハビリも、1人でスポーツジムでプールでよく泳いでいた。


 優秀な弟は、俺より水泳が上手く、中学の頃は市内の大会で優勝したりするほどになった…。



 俺が親しくしていたミッチー(あだ名)の友人にトオル(仮名)という男がいた。


 ミッチーとトオルは仲が良かったが、俺とは最悪だった。どうも“ウマ”が合わなかったのだ。顔を合わす度に喧嘩になっていた。


 ある日、そんなトオルと口論になった。

 何が原因か忘れたが、『お前の顔が気に入らない💢』とかどーでも良い事で揉めたのだろう。

 すると、トオルが不思議な事を口にした。


 「お前は、俺より水泳が下手だろ!💢」


 意味が分からなかった。分からなすぎて今でも覚えている。

 よく考えてみたら、トオルは一緒のスイミングスクールに通っていて、彼は上級者コースだった。

 …つまり、「俺はスイミングのコースがお前より上だから、下のコースのお前が威張るな💢」というわけである。


 (何故、ここでスイミングのクラスの話が?)


 トオルにはあのスイミングスクールのクラスが“全て”であり、他人に“威張れる”ポイントだったのだろう。

 今から思えば、コイツには“これ”(スイミング)しか得意な事がなかったのかも…。少し哀しい奴だ。

(俺は何もなかったが…)


 ちなみに、トオルがスクールにいたのは知っていたが、嫌いなので声を掛けた記憶は無い。


 俺はスクールクラスの上下や水泳🏊‍♂️の上手さより、同じクラスの友達と遊ぶ事に主眼を置いていたので、トオルの言った意味が今一つ伝わらなかった。

「…何だ、それ?」と言って呆れた覚えがある。


 何となくではあるが、『無理をしなければ、嫌な事も楽しめる』と学んだ気がしていた。

そして、人により、楽しいより“重視”するものがあるのだ。