水無月の頃を過ぎて、濡れた傘を手に持った”夏"が玄関前でたたずみ、
時折申し訳なさそうにチャイムを鳴らす。
私は居留守を使いながら、夏はまだだと言い聞かせて日々過ごしている。
梅雨も終わったような真っただ中のような、
間を取ってみましたよと言わんばかりの曇り空が続いており、
いつ降るやもわからない曖昧な雲行きを案じて、洗濯物はたまる一方である。
毎年のことながら、今年は猛暑になるだろうと予測が出され、
ドアの向こうに立っている夏を、増々入れる気にはなれない。
いつまでも待たせておく訳にもいかないし、
羽のどこかが壊れカタカタとうるさい扇風機を出すか、出さぬか。
風通しの悪い部屋に上がり込んで、今年は何日滞在するつもりなんだろう。
ドアの外で律儀に夏が待っている。
