フランスのカフェでは、店内よりも店先に置かれたテーブル席が人気のようだ。
中に入るのが面倒だからという訳ではなく、この国では外の景色も見事にお洒落なので
眺めるだけでも雰囲気があり、昼夜も季節も問わず、その風情ごと味わおうとする人々で賑わうのかもしれない。
歩道幅も広く車の交通量もそれほどでないので、エンジン音も気にならず、
排気ガスを吸っている感覚にもならない。
そんなパーフェクトにも思える路面席で、少し奮発してショコラ・ヴィエノワを注文した。
ほどなくして運ばれて来た大きめの白いカップには、マッターホルンにも似た純白の生クリームが、少しカップからはみ出ながらも聳え立ち、カカオパウダーを頂上付近でほど良く纏っている。
クリームで出来た蓋でホットチョコレートを隠してしまい、その存在を確認することは
できないが、それでも温かいショコラの甘い香りがふわりと漂ってきた。
さらに上の甘さを目指す者へのご褒美とも言うべき角砂糖が2つ受け皿に乗っていたので、
躊躇することなく全てを投入して、クリームの山が崩れないよう注意深くかき混ぜてから、
ショコラを飲もうとカップに口をつけて傾けてはみたが、濃厚なクリーム壁は易々とは飲ませてはくれない。
猫舌泣かせのこの飲み物は、クリーム蓋の保温効果でいつまでも熱いままでいるようなので、
まずは純白の山を崩しながら味わうことに。
クリームを堪能した後は、スプーンでショコラに溶かしつつ2つ目の甘さを融合させ、
口に含み入れてから舌で甘さに探りを入れる。
飲み込んで胃に納めるよりも、いつまでも口の中で遊ばせていたいほどのまろやかな甘さは、
味覚だけに留まらず、鼻腔にまで寄り道をして臭覚までをも楽しませてくれる。
甘党のための完璧な飲み物の魅力を存分に堪能できたのは、海外サイズなカップに注がれた量が
丁度満足いくものだったからだろう。
お勘定と一緒についつい忘れがちなチップの用意もしなくてはと思い出し、
テーブルの下でそっと財布の中を覗いた。
パリ
