河原で見つけた素晴らしい水切り石(うひょひょ石)との出会いにはロマンがあります。それでも、良く跳ねる石の科学的条件を知りたいという好奇心は捨てきれず、人工の石を作って実験してきました。それは人間の性なのかも知れません。

実際、水切りのテレビ番組もその方向に流れてゆきました。その方が視聴率が良くなるようです。私は多くの人工石を投げてきましたが、今も理想の水切り石については、条件が複雑で良くわからないのです。それが水切り遊びを面白くもしています。

最も難しいのが、水に接する部分の形状です。水切りの研究を始めた頃は、粘土やセメントで様々な水切り石を作って実験しました。水に接する部分が平ら過ぎると、石が水に張り付く現象は確認できていました。実際にテレビ番組では、写真のように多くの石を作りましたが、全てが自然の石よりも結果が悪いのです。水に接する部分が平らだと、石の水離れが悪く、水面に張り付いたり、横滑りなどして跳ねなかったり、不規則な動きをします。下に溝を掘ったりもしましたが、今度は、それが水との抵抗になり、自然石を超えられないのです。また、角には丸みが必要です。それは、石が跳ねてゆくときに石の姿勢を修正し、安定させる作用があるようなのです。それが、石が綺麗に跳ね続けることの一つの要因になっていると思います。石が水に張り付く原理も、水切りには重要な条件で、石の跳ねる上下運動を少なくし、波紋の間隔を短くします。その適切な条件が難しいわけです。水中から撮影したスロー映像もなく、研究例も見つかりません。

そこで、再度自分で石を作りました。水に溶けにくく比重の重そうな粘土を見つけて作ったのが左の写真です。ところが乾くに従って微妙に変形し、思うような形が作れません。また、乾くと軽くなってしまいます。やはり、大変でも石を彫刻して作るしかなさそうです。

石のスピードがある人が投げる場合、理想に近い水切り石の比重は、チャートと呼ばれる石や、結晶片岩程度の重めの比重で、上が少しだけ凸レンズ状に盛り上がり、水面に接する部分は、平らでありながらも、左の写真のように、1ミリ弱の緩やかなディンプル状の凹凸があるのが良いように感じます。角には写真のような丸みも必要です。ディンプルはもう少し数が多い方が良いかも知れません。

粘土の比重の都合で少し厚めに作りましたが、比重が重い場合はもう少し薄い方が良いでしょう。正解は得られないのかも知れませんが、とりあえず投げてみようと思います。暇な年寄りの楽しみです。まだ気付いていない何かがあるのかも知れません。気付きは、水切り遊びの楽しさの一つでもあります。おほほ 続く‥