エピローグを2話綴ります。青春ものです。
読んでくださると、うれしいです。
===========================
スーパー洋子 エピローグ2話 前編
翌日の朝、洋子とルミが、学校の靴箱に来ると、
冴子とハンザムな青年が、二人を向かえていた。
洋子とルミが、「だれ?」と思っていると、
「俺だよ、大塚真治だよ。」と彼は言う。
大塚は、リーゼントを辞めて、油のない髪の毛を、ぱさりと垂らしていた。
それは、いかにも真面目な爽やか青年に見えた。
「わあ、大塚先輩。そうやると、最高にさわやかじゃないですか。」と洋子。
「そうですよ。すごく、ステキ。」とルミは言った。
「洋子。今度のこと、ありがとうな。
俺まだ呼ばれてなかったから知らなかったけど、
俺の分も言ってくれたんだってな。」真治は言った。
「冴子先輩が、大塚先輩も是非にって。」と洋子。
「ありがとう。洋子の気持ち、無駄にはしない。
せっかく抜けられたんだ。俺、勉強死ぬほどやる。」真治は言った。
「それで、勉強できたら、めちゃモテですよ。」と洋子は言った。
「とにかく、ありがとう。一生恩に着る。」真治は言った。
「なんか、冴子先輩と、大塚先輩と、お似合いな感じです。」とルミが言った。
「こら、からかわないの。」と冴子に言われ、二人は、逃げるように階段を上がって言った。
*
その日、四天王に勝った洋子は、どれだけみんなに話をせがまれるかと覚悟していたが、
大杉隆と的場早苗が、話し上手で、二人は机を並べた上で、一手に説明を引き受けていた。
みんなは、その二人がおもしろく、集まっていった。
*
その日の放課後、
大塚真治と小島冴子は、グランドの隅のベンチに腰かけていた。
「めちゃ、勉強するってほんと?」と冴子は言った。
「ああ、本気だ。俺のおやじは病院の院長で、
なんでも、金、金、金って人間だった。
俺、それに反発して、少しずつグレてった。
しかし、俺は、医者って仕事には憧れてる。
おやじの知らないところで、いい医者になってみせる。」
「実は、あたしもなんだ。医者になりたいの。
あたしみたいな子の専門医になりたい。」
「そうなの?ほんと?それは、いいや。あのさ、」と言って真治は真面目な顔になった。
「あのさ、もしよかったら、俺とつき合ってくんね。」
「つき合うって、1回か2回ってこと。」
「ああ、いい方悪いな俺。つまり俺の彼女になって欲しいってことだよ。」
冴子は少なからず、驚いた顔をした。
「だって、真治知ってるじゃん。あたしは女じゃないって。」
「知ってるよ。知ってても、変わんないんだ。冴子を思う気持ち。
1年生のときからずっと好きだった。
そのうち、冴子の体のこと知った。でも、同じなんだ、冴子が好きだって気持ちは変わんねえ。」
「ほんと?」と冴子は真治を見た。「あたしだって、真治のこと好きだよ。」
真治は、飛びやがって喜んだ。
「だったら、それで、十分じゃん。今、俺達まだ中学生だぜ。
お互い好きで十分じゃん。大人になってからのことは、おいおいでいいじゃん。
な、冴子、そうだろう。」真治は言った。
冴子は真治の顔を見て、涙を流した。
「うん。そうだね。今は、好き同士でいいよね。」
「やったー!」と、真治は冴子を抱きしめた。
「あ、ごめん。うれしくてつい…。」
「変わりにキスしよ。」冴子は目をつぶった。
「あ、ああ。」と言って、真治は、手を洋服でぬぐい、冴子の唇に唇を重ねた。
唇をはなした真治は、バンザーイと飛びあがって、校庭のトラックを走りはじめた。
そんな真治を冴子は、ほほえましく見ていた。
幸せだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~