エピローグを2話綴ります。青春ものです。
読んでくださると、うれしいです。
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スーパー洋子 エピローグ2話 前編

 

                    

翌日の朝、洋子とルミが、学校の靴箱に来ると、
冴子とハンザムな青年が、二人を向かえていた。

洋子とルミが、「だれ?」と思っていると、
「俺だよ、大塚真治だよ。」と彼は言う。
大塚は、リーゼントを辞めて、油のない髪の毛を、ぱさりと垂らしていた。
それは、いかにも真面目な爽やか青年に見えた。
「わあ、大塚先輩。そうやると、最高にさわやかじゃないですか。」と洋子。
「そうですよ。すごく、ステキ。」とルミは言った。

「洋子。今度のこと、ありがとうな。
 俺まだ呼ばれてなかったから知らなかったけど、
 俺の分も言ってくれたんだってな。」真治は言った。
「冴子先輩が、大塚先輩も是非にって。」と洋子。
「ありがとう。洋子の気持ち、無駄にはしない。
 せっかく抜けられたんだ。俺、勉強死ぬほどやる。」真治は言った。
「それで、勉強できたら、めちゃモテですよ。」と洋子は言った。
「とにかく、ありがとう。一生恩に着る。」真治は言った。
「なんか、冴子先輩と、大塚先輩と、お似合いな感じです。」とルミが言った。
「こら、からかわないの。」と冴子に言われ、二人は、逃げるように階段を上がって言った。



その日、四天王に勝った洋子は、どれだけみんなに話をせがまれるかと覚悟していたが、
大杉隆と的場早苗が、話し上手で、二人は机を並べた上で、一手に説明を引き受けていた。
みんなは、その二人がおもしろく、集まっていった。



その日の放課後、
大塚真治と小島冴子は、グランドの隅のベンチに腰かけていた。
「めちゃ、勉強するってほんと?」と冴子は言った。
「ああ、本気だ。俺のおやじは病院の院長で、
 なんでも、金、金、金って人間だった。
 俺、それに反発して、少しずつグレてった。
 しかし、俺は、医者って仕事には憧れてる。
 おやじの知らないところで、いい医者になってみせる。」

「実は、あたしもなんだ。医者になりたいの。
 あたしみたいな子の専門医になりたい。」
「そうなの?ほんと?それは、いいや。あのさ、」と言って真治は真面目な顔になった。
「あのさ、もしよかったら、俺とつき合ってくんね。」
「つき合うって、1回か2回ってこと。」
「ああ、いい方悪いな俺。つまり俺の彼女になって欲しいってことだよ。」
冴子は少なからず、驚いた顔をした。

「だって、真治知ってるじゃん。あたしは女じゃないって。」
「知ってるよ。知ってても、変わんないんだ。冴子を思う気持ち。
 1年生のときからずっと好きだった。
 そのうち、冴子の体のこと知った。でも、同じなんだ、冴子が好きだって気持ちは変わんねえ。」
「ほんと?」と冴子は真治を見た。「あたしだって、真治のこと好きだよ。」
真治は、飛びやがって喜んだ。
「だったら、それで、十分じゃん。今、俺達まだ中学生だぜ。
 お互い好きで十分じゃん。大人になってからのことは、おいおいでいいじゃん。
 な、冴子、そうだろう。」真治は言った。

冴子は真治の顔を見て、涙を流した。
「うん。そうだね。今は、好き同士でいいよね。」
「やったー!」と、真治は冴子を抱きしめた。
「あ、ごめん。うれしくてつい…。」
「変わりにキスしよ。」冴子は目をつぶった。
「あ、ああ。」と言って、真治は、手を洋服でぬぐい、冴子の唇に唇を重ねた。
唇をはなした真治は、バンザーイと飛びあがって、校庭のトラックを走りはじめた。
そんな真治を冴子は、ほほえましく見ていた。
幸せだった。

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