アメリカ編第二部④「レレイへの告白」


      

レレイの家は、平屋の大きな家だった。
私は車から降りて、身なりを整えた。
ちょっと緊張する。
呼びリンを鳴らすと、すぐ返事があった。

ドアを開けてくれたのはお母さん。
レレイに似て美人。
「ジュンさんですね。まあ、お綺麗だわ。」と言ってくれた。
レレイとお父さんも出向かえてくれていた。
「ジュン、ステキ。すごく綺麗。」とレレイも言ってくれた。
お父さんは、背が高くて、長髪、若々しくて芸術家タイプ。
お父さんが、
「こんな綺麗な方が、土をかぶってくれたの?」
とレレイに言った。
「そうよ。」とレレイは自慢げに言った。

円い食卓のある部屋に案内された。
食卓にはおいしそうな中華料理。
私はお腹が鳴りそうだった。

食卓は、レレイがそのまま車椅子で食べられる高さに出来ていた。

ご両親の英語は、ネイティブではなかったので、かえって聞き易かった。ご家族は、レレイと3人のようだった。

お母さんは、お料理上手だ。
出てくるお料理がみんなおいしかった。
「チャイニーズ・レストランのお料理よりおいしいです。」
と私は言った。
「まあ、うれしいわ。」とお母さんは笑顔で言った。

楽しい食事の時間が過ぎて行った。
ご両親は、教養があって、どんなお話にも合わせてくれた。
また、そのお話もおもしろかった。

お父さんは言った。
「私たちは、レレイが小学校を卒業したとき、アメリカにき    ました。そして、レレイは、中学の3年間は無事通ったの    ですが、高校1年生の初め、交通事故に合い、車椅子の子    になってしまいました。
 いろんな子が変わる変わるレレイのそばに来て、レレイが     孤立しないよう配慮してくれました。
 いい学校でした。でも、レレイは言います。自分から甘え     られる友達はできなかったと。

 初めの大学での1年間も同じでした。
 でも、こちらの大学に来て、ジュンさんに出会いました。
 レレイは、ジュンさんは特別だと言うんです。
 なんでも、甘えられる人だって。そんな人に出会ったのは     初めてだと。
 ごめんなさい。こんな話、ジュンさんに重荷を与えている     かと思います。
 でも、今日ジュンさんにお会いして、レレイの言うことが     わかるような気がしました。
 ジュンさん。あなたには、私も特別なやさしさを感じま       す。ジュンさんがレレイのお友達になってくださったら、     こんなにうれしいことはありません。」

私は言った。
「私とレレイとはもうお友達です。だから、たくさん甘えて     くれたらうれしいです。私もレレイからたくさん元気をも     らっています。」
「そうですか。ありがとうございます。」
とお父さんは、少し涙ぐんで言った。
お母さんも。



食事の団欒が終わって、レレイがレレイの部屋に来て欲しいと言った。
そこで、2人で、レレイの部屋に行った。
ピアノがあった。
「わあ、レレイは、ピアノ弾けるの。」と私は聞いた。
「うん。でも、車椅子だと弾きにくい。それに、ペダルを上     手く踏めない。」とレレイ。
「もうすぐ弾けるよ。リハビリがんばろう。」と私は言った。

レレイは、少し真面目な顔をした。
「父も言ってたけど、あたし、ジュンになら甘えられる。な     せだろう…。」
私は少し考えた。今が言うときなのかも知れない。
「それは…あたしが、レレイのこと、好きだからだと思           う。」
レレイは、ぴくんと反応した。
「好きでも、いろいろあるでしょう。花が好き、空が好          き…。」とレレイは言った。
「男の子が女の子に言う『好き』もあるよね。」私は言った、レレイは、何かを言いたそうにしていた。

「あの、あたしはそういうの、全然気にしないんだけど、ほ     んとそのつもりで聞いて。
 今日、ジュンの新聞を見てた人がね、ミス・ワンピース       は、その…レズビアンだって。
 あたしは平気。気にしないのよ。」レレイは何度もそう言     った。

私は言おうと思った。
「前の学期まで、もう一人ミス・ワンピースがいたの。
 あたしは、その子が好きだった。恋人同士だったの。
 でも、あたしがロサンゼルスへ3ヶ月も行ってしまって、
 その間に、その子に好きな人ができちゃった。
 その子とあたし、いつも腕を組んで歩いていたから、
 みんなあたしたちのこと、レズビアンだと思った。
 でも、違うの。男の子と女の子の普通の恋人同士だっ           た。」

「どういうこと?」とレレイは戸惑った表情を見せた。
「レレイに、もう言ったよ。早く告白すべきだと思ったか       ら。」
「え?わからない。何?」
「ターザン ウソ つかない。」
私はそう言って、レレイの手を取って、私のブラの詰め物の下に入れた。

レレイは目を丸くして、私を見つめた。
「ジュンは、おとこのこ…。」レレイはゆっくりとそう言った。
「うん。ぼくは男の子。そして、もうレレイを好きになって     る。がっかりした?」
「ううん。あたし、うれしい。ジュンが男の子でうれしい。
 それで、わかった。あたし、ジュンのそばにいて、胸がと     きめいたの。リハビリのとき、ジュンに支えてもらって、     ドキドキした。ジュンが男の子だったからなんだ。やっと      わかった。」

「ぼくが、男であること知ってるの、学生の中で3人しかい     ない。初めに入った寮のルームメイト、前の恋人、そして     今レレイ。」
「どうして、打ち明けてくれたの?」とレレイ。
「レレイのこと好きになったから。明日はもっと好きになっ     てると思う。」

「あたし、車椅子の子なのに、ボーイフレンドになってくれ     るの?」
「女の格好をしたぼくだけど、ガールフレンドになってくれ     る?それに、レレイは、車椅子の子ではなくなる。
 そのために、これから2人でがんばろうとしてるんじゃな     い。」
「ジュン。ありがとう。あたしうれしい。」
レレイは、顔に両手をあてて、泣いた。
私はそっとレレイの背中をなでた。
レレイがたまらなく愛しいと思った。

つづく (次は、「ファースト・キス」です。)

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