これは、私の大のお気に入りで、何度も投稿しています。長めの前半があったのですが、省略しています。度重なる投稿、お許しくださいませ。」

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ネタが途切れ、再投稿をいたします。
これは、新宿のゴールデン街の「ラーメン酒場」という女装店で、美人の典子ママのアルバイトとして、働いていたときのお話です。
小さなお店で、カウンター席が7つで満員でした。
1回のお話をさらに半分にして、短くしました。
かつて、お読みになった方には、失礼いたします。
読んでくださるとうれしいです。

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<ママのサプライズ>

その日、私には、ある一つの大仕事があった。
そのために、時計の針が12時を回るのを待っていた。

午後9時からの3時間がどれだけ長く思われたことだろうか。

緑ママ発案の、柔らかスルメは、大好評だった。
おつまみに出すと、
「お、これはいけるね。」とほとんどのお客様が言い、
水割りをたくさん飲んでくれた。

その度に、ママと私は顔を見合わせ、Good!のサインを出し合った。

11時を過ぎた頃から、常連のお客様が一人、二人、三人とやって来てくださり、7つの席は満配になった。
みなさん、柔らかスルメがおいしいと言って、どんどん飲んでくださった。

椅子が空いたことがなかった。

ママが、小声で、
「今日はどうしたのかしら。」と私に言った。
「スルメのおかげですよ。」と私は笑って言った。

12時まで、あと10分というとき、
ママが、
「ナナ、もう上がって。」と私に言った。
「あ、今日はもう少しいます。
 だって、こんなにお客様がいらっしゃるし。」と私は言った。
「助かるわ。ありがとう。」とママが言った。

席が満杯なのに、またお客様が来た。
「まあ、Kさん。この通り、満席になってるんですよ。」とママがすまなそうに言った。
「あ、かまわないよ。俺、立って飲むから。」とKさんは言った。
それから、つぎつぎに常連さんが入ってきて、みなさん一同に、
「立って飲むからかまわないよ。」とおっしゃる。

ママが、驚いた顔をしている。
「ナナ、今日はどこかでお祭りでもあるのかしら?」
「多分そうですね。」と私は言った。

時計の針が12時を差そうというとき、
店の中は、15人以上のお客様がいた。

針が、12時を差した。

私は、隠していたクラッカーをパパーンと鳴らした。
すると、お客様が一声に、
「ハッピーバースデイ、典子ママ!」と叫んだ。
「え?まあ…。」と典子ママは、胸に手を当て、驚きの声を上げた。
「みまさん、じゃあ、そのために?」
「そうですよ。はい、プレゼント。」とHさん。

みなさんそれぞれプレゼントを渡していた。
私は、こっそり買ってあった、バースデーケーキを持って来た。

「オー!」と歓声が上がった。

ロウソクを立てて、「ハッピーバースデイ」の歌をみんなで歌った。

ママが、ロウソクを吹き消す。
ママは、幸せそうだった。

「一体、だれの仕業?」とママが言った。
常連のKさんが、
「ナナちゃんだよ。1週間くらい前から小さいカードに、『ママの誕生日の○月○日の12時に来られたら来てください』ってのを帰り際に渡されてね、みんなそれで来たんだよ。」と言った。

「それで、みまさまが。まあ、うれしい。あたしこんなの初     めて…。
 自分の誕生日なんて、もう何年も忘れていたのに…。」
ママは、口に手を当てて涙ぐんでいた。
そして、私を見て、
「ナナ、ありがとう…。」
と私を抱きしめてくれた。

「じゃあ、今日は、立食パーティーになりますが、
 飲み物、食べ物すべて、只にいたします。」
とママが言った。

みなさんが、「おー、やったぜ!」と叫ぶ。

「ママ、今日はナナがカウンターをがんばります。
 ママは、あちらでどんどん飲んでください。」と私は言った。

「お言葉に甘えるわ。ナナ、ありがとう。」とママ。


ママの楽しそうな話し声、お客さん同士の賑やかな笑い声…。

ママの言葉を思い出した。
「どこかでお祭りでもあるのかしら?」

『ママ、お祭りは、ここですよ。』

私はうふっと笑って、腕まくりをした。

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                     ♪ハッピバースデイ・ママ

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