この頃、少し不調で、コメントのお返しを怠っています。申し訳ありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
介護日誌 第4話
「母さん。ぼく保育園の時、一言もしゃべらなった子(場面緘黙)だったこと、覚えてる?」
「ああ、それは、覚えてるよ。」
「家の中では、すごいおしゃべりだったのに。」
「そうだったね。」
「困ったことがたくさんあったよ。」
「そうだろうね。」
「一番困ったのはトイレ。
お絵描きの時、トイレに行きたくなる。でも、しゃべれないから、先生に言えなくて、
結局、お漏らしするしかなくて、3回もおもらした。」
「お漏らしするまで、我慢するなんて、辛かったでしょう。」
「それがね。ある日、母さんが、保育園に来たの。で、園長先生と話してた。」
かあさんは、しゃべらないぼくの相談に来たのだと思った。でも、ちがってた。」
「さあ、覚えてないわ。わたしは、何しに来たんだろう。」
「ぼくを助けに来てくれたんだよ。次の日保育園に行ったら、保母先生から、葉書きくらいの紙を渡された。お母さんからだって。
ぼくは、字が読めたから、わかった。その紙に「トイレにいかせてください。」って
書いてあった。保母先生が、「これを見せれば、いつでもトイレにいけますよ。」って言った。そして、「こんな工夫も思いつかなかった先生達を許してくださいね」って言われた。」それから「すばらしいお母様ですね。」って。
「ぼく、うれしくて、感激して、泣いちゃったと思う。」
「そうだったの。少しも覚えていないけど。」
「ぼくは、一生忘れないよ。
今頃になっちゃったけど、母さんにお礼をいうね。
あのときは、ありがとう。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~