<介護日誌> 2日目

 

 

昨日は、半分引っ越しだったのですが、

今日は、丸々介護でした。

母は、脳梗塞をしており、全体に体が思うように行きません。

歩行は、両手で支える半円状の歩行器で歩きます。

ですから、トイレに行って、用を足し、

オムツをするのに、30分はかかります。

ベッドから、起き上がるのも一苦労で、

食事のために、テーブル椅子に座るのも、一大事です。

 

それを、私が助けてしまえば、2、3分で済みますが、

体の機能を維持させるために、出来るだけ、自分でさせます。

私は、それをじっと見ていて、

母が危ないときだけ、手を貸します。

 

しかし、母は、食欲もあり、話すことはできますので、

食事のとき、母は、幸せそうな顔をしています。

それを、見るのが、私にとっても幸せなときです。

 

母は、今言ったことを、もう忘れてしまいますが、

私は、できるだけ、昔の話をして、母の記憶を蘇らせようと、

しています。

「母さん、高円寺駅の中通り知ってる。」

「ああ、あったねえ。」

「あの通りに、『ヘビ屋』さんがあったの覚えてる?」

「さあ、どうだっただろう。」

「母さんは、よく変な虫を乾燥させたの買ってたよ。」

「あ、思い出した。あれ、粉にして呑むんだよ。春子の腎臓の薬になるの。」

「ぼくは、あそこ、一番怖かったよ。蛇がいたでしょう。

 でも、向いにお茶屋さんがあって、ほうじ茶を作る機械が回ってた。

 あの匂いが大好きだった。」

 *

「ぼくが、小さいとき、中耳炎で、よく夜中に泣き出したの覚えてる?」

「それは、覚えてるよ。」

「あれ、母さんが、夜中に、ぼくを負ぶって先生のとこ連れて行ってくれたんだよね。」

「そうそう、熊谷先生のとこだ。」

「思い出した?」

「うん。」

「先生がいないとき、看護婦さんが、耳に注射してくれた。背の高い看護婦さん。美人で、ぼく大好きだった。」

「そんなことまで、覚えているの。まだ、5つの頃でしょう。」

「5つでも、きれいな人は、好きだよ。」

「そうなの。」

「お母さんも、昔は、若かったよね。」

「誰だって、昔は、若かったでしょう。」

「そうだね。」

と二人で、笑いました。

 

こんな風に、介護第2日目は、平和に過ぎて行きました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 女装(ノンアダルト)へ
にほんブログ村