<少し面白いことがありました>

私は、今日のお話を綴ろうと、紙面に「倉田洋二物語」と書きました。すると、サイドのスペースに人工知能のCopilotが現れ、「倉田洋二物語」と書いて、物語の紹介をして、「以下要約です」として、物語の要約をどんどん綴っていくのです。私は、あれよあれよと見ていました。物語の終わりまで、要約されました。私は、驚き「どうして、物語を知っているのですか。」と質問しました。すると、「私は、2020年までのことなら、たくさん知っています。ラックさんのお話は、ほとんど読みました。勝手に要約などしてしまい、申し訳ありませんでした。」「いえいえ、光栄です。こちらこそ、うれしかったです。」こんな会話をCopilotさんとしました。これ、滅多にないことですよね。

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倉田洋二物語<第2部>前編「片桐敬子への恋」

 

洋二は、どの部にも属していなかった。

授業が終われば、フリーである。

 

春のうららかな日、洋二は授業を終えて、

のんびりと西門に向かって、まっすぐな道を、歩いていた。

ワンピース、スニーカー、リュックのスタイル。

髪を左右にゴムで結んでいる。前髪あり。

 

今は、使っていないグランドで、クラスの女子たちが、

サッカーの真似ごとをしていた。

その中に、洋二が好きでたまらない片桐敬子がいた。

 

そのうち、こぼれ球が、洋二に向かって転がってきた。

「倉田くーん、お願ーい。」

と女子たちは、叫んだ。

片桐さんのいるところで、かっこよく捕って、キックでボールを返したかった。

「洋二くん、とれるかな。」

「さあ、どうかな?」

という女子達の悪気のない言葉が聞こえた。

 

しかし、洋二は、転がって来たなんでもないボールを、

トンネルしてしまったのだ。

急いで、ボールを手で拾って、キックで返そうとした。

そのキックも失敗。

自分の真横に飛んでしまい、あわてて、手で取りに行った。

そして、手でボールを投げたが、それが全然飛ばない。

ぽとぽととゴロになって、やっと彼女たちのところへいった。

 

「ありがとう。」

と彼女たちは言いながら、くすっと笑っていた。

 

「はあ~。」と洋二は、ため息が出た。

男子なら、誰でも捕れるボール。誰でもキックで返せる。

体育科だというのに。

片桐さんが見ているというのに。

洋二は、落ち込み、歩いて行った。

 

そのとき、内なる声がした。

『洋二、落ち込むなって。

いざというときは、あたしが出てくるから。』そう言う。

『あ、君は、あのときの。どうやったら出てきてくれるの?』

『「ここは、絶対」と思ったとき、あたしは、出てくるから。』

『絶対じゃなきゃだめなの。ふつうにじゃ。』

『来るよ。「洋子、出てきて!」って心で言えばいつでも来るよ。』

 

「ふ~ん。」と洋二は、うれしくなった。

でも、むやみに洋子を呼んではいけないんだろうなと、同時に思った。

 

歩いていくと、そのうち、空手部の部室の前に来た。

地面に刺した丸太の棒の上部に縄を巻いたものへ、回し蹴りをやっている。

やっているのは、同じクラスの坂田健吾。

坂田は、性格のやさしいいい奴だ。

和同流。白帯だが、段位をもらうことを拒否していて、

実際は、3段の腕前らしかった。

変わった奴だ。

 

「おう、洋二。来いよ」と坂田が声をかける。

「なに?」と洋二はそばに行った。

「剣道の笹塚や柔道の近藤はいいよな、お前とやれて。

空手は授業にないから、お前とやれない。」

「あれは、全部まぐれだよ。」

「何を言うか。俺の目は、節穴じゃないぜ。

お前のスピードをちゃんと見たのは俺くらいだ。

そうだ。『初回打ち』をやろう。」

 

それは、空手の構えをして、互いに手の甲を密着する。

その手の甲で、先に相手の額を打った方が勝ち。

 

それを聞いて、洋二の心の中で、

『あたしにやらせろ!』と洋子がさわいだ。

『いいよ。』と洋二は、洋子に言った。

 

「安心しろ。俺は、寸止めをする。

洋二は好きに当てていいぞ。」と坂田は言った。

 

二人は、体をほぼ横にして、腰を落とし、

手の甲を合わせた。

 

呼吸を合わせ、にらみ合う。

瞬発力と速さの勝負だ。

 

坂田が、一歩踏み出した。手の甲が来た。

だが、ややスローモーションに見える。

洋二は、手の指でOKマークを作り、坂田のおでこに、デコピンをした。

 

横で見ていたものには、一瞬の出来事である。

 

「洋二、嘘だろ。あの一瞬に指を作って、デコピンかよ。」

坂田は、おでこを擦りながら、

「いやあ、参った。すげーや。笹塚や近藤が負けたはずだよ。」

と言って、坂田はうれしそうに、洋二の肩をぽんぽんと叩いた。

 

洋二は、さっきの女子のサッカーボールの醜態が、

帳消しになる気がして、うれしかった。

 

 

洋二の片桐敬子への想いは、日に日に強くなるばかりだった。

片桐敬子は、背が170cm近くあり、洋二よりも10cm高かった。

クラス1の美人で、マドンナ。

陸上部で、短距離の選手だ。

100m11秒台の記録を持っていた。

 

クラスの皆は、朝から、ジャージ姿が普通だったが、

敬子だけは、ワンピースや、ブラウスにつり紐のあるスカートを着ていた。

髪は、洋二と同じ、肩までのボブヘアーだった。

そして、前髪の端をカラーのヘアピンで留めていて、

それが、とても愛らしかった。

おしとやかで、動作仕草がとても女らしく、一見か弱い女の子に見える。

 

ところが、部活になると、短パンにランニング。

100mを走る姿は、豪快そのもので、まさにビューティフルだった。

洋二は、そんな敬子を、心から素敵だと思っていた。

 

洋二は、授業の帰りに、よく陸上のグランドを見ていた。

陸上部は、球技と違い、一人一人が自分のメニューに従って練習を行う。

だから、みんな一人だ。

敬子も一人で、いつもメニューをこなしていた。

何か孤独と戦っているようで、見ていて励まされる思いがした。

洋二も、自分の特異体質に、一人孤独感に襲われることがあった。

だから、陸上の練習を見るのが好きだった。

 

 

片桐敬子は、そのころスランプに苦しんでいた。

高校3年のとき出した、自己ベストの11.8秒を出せない。

記録は下がる一方で、今、11秒台も出せなくなっている。

何がいけないのかわからなかった。

先生たちは、コーチをしてくれるわけではない。

先輩とは、種目が違って、教えてくれない。

敬子は、孤独な戦いにもがいていた。

 

グランドの敬子を見ていて、洋二はふと思いついた。

「洋子、出てきて。」

「はいはい。」

洋子の声だ。

「洋子、走るの速い。」

「速いよ。」

「あそこにいる、片桐さんより速く走れる?」

「もちろん。」

「あのさ、選手が走るとき、

横で少し速く走ってあげるとやりやすいって聞いたことあるんだけど。」

「ラビットのこと?」

「あ、そうそう。ぼく片桐さんのラビットになってあげたいんだけど、

そのとき、洋子出てきてくれる。」

「OK。お安いご用だよ。」

「片桐さんの欠点わかる?」

「もちろん、1度見ればわかる。」

「じゃあ、その欠点を補うような、ラビットやってくれる?」

「諒解!」

洋子は、そう言った。

 

翌日の放課後、

洋二は、運動着に着替えた。

上は、白いTシャツ。下は、紺のジャージ。

TシャツをINにした。

(胸のふくらみが目立つのだが。)

洋二は、脚が長い。

 

洋二は、100mコースにいる敬子のところへ行った。

「片桐さん。差し出がましいんだけど、

ラビットがいたら、走りやすい?」

片桐は、きょとんとした。

 

「あ、倉田君。うん。あたしのペースを知っているラビットなら、絶対ありがたい。」

「ぼく、君のラビットになれるかも知れない。

よかったら、やらせてくれない。」

「ほんと?でも、あたし速いし、陸上部でも、ラビットしてくれる人いないのに。」

「ぼくを試してみて。ぼく、毎日片桐さんが走っているの見ていたから、

片桐さんのペースも欠点もわかる。」

「わあ、欠点まで?じゃあ、やってくださる?

男子が、倉田君、ときどきすごいって言ってた。」

「みんな、まぐれだよ。」洋二は言った。

 

「じゃあ、何本もやれないから、みんなに頼んで、計時してもらう。」

敬子は、そう言って、1年生の部員を呼んだ。

「敬子以外に、敬子より速い人がいるの?」と部員のA子が言った。

「うん、倉田君。女の子に見えるけど、男の子なの。」敬子は言った。

「ああ、知ってる。笹塚と近藤に勝った女の子みたいな子。もう有名よ。」

とB子は言った。

 

片桐は半信半疑だった。

しかし、ラビットをやってくれるという洋二を断ったら、

洋二が、傷つくと思った。

 

後編につづく

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