「私は、会社で癒し系だったそうです」

足長のイケメン社員くん

 

私が、定年前、会社でまだ働いていたときです。
病気で2年間休職し、まだ全然本調子ではないころです。
私は、ゆっくりゆっくり仕事をしていました。

私は、病気の後遺症で、新聞を読めません。テレビも見られません。本は、もちろんダメでした。できるのは、パソコンのみ。(主治医の言によると、テレビは、こちらがストーリーについて行かねばならないので、きつい。その点、パソコンは、自分が主導でやれるので、できる。)とのことでした。

しかし、その頃、只一つ見ることが出来るテレビドラマがありました。堺雅人主演の「ジョーカー」というドラマです。
水曜日にありました。私は、それを見るのが楽しみで、水曜日を待ちかねていました。

そんなある水曜日。
会社のオフィスで、若い男子社員が、
「えーと、今日は、何がある日だっけ?」
と大声で言いました。
私はすかさず、「『ジョーカー』がある日ですよ。」と大真面目に言いました。
みなさん、爆笑されました。
「加納さん(←私)、受けるぅ。」
「癒されるぅ。」
と、主に、女子社員の人達が、評価してくれました。



2年の休職後は、毎日辛かったのです。
頭が、働かないのです。
私は、土日の週末が来るのを指折り数えて、勤務していました。金曜日になれば、今日一日がんばればいい。
つまり、金曜日の午後などは、もう週末同然だったのです。
ある、木曜日、私は、大声で言いました。
「今日がんばれば、明日は金曜日!金曜日は、週末みたいな     もんだからね。」
すると、そばにいた女子社員が、
「加納さん。今日金曜日ですよ。」と。
「え?あ、そうなの?」と私は、カレンダーを見に行き、
「うほー、やったー!」と、バンザイしました。

するとまた、女子社員の方々の、
「受けるぅ。」
「癒されるぅ。」
との声。
私は、そう言っていただくのが、少しも嫌ではありませんでした。



退職の年です。
忘年会の幹事になりました。(過去に少し書きました。)
バリバリに頭の切れる若い女性が、幹事長になり、
「男子3人は、女装をしていただきます。
 手配は、加納さんにお願いします。」と、おっしゃいます。
「え、なんで私なの?」と、聞きました。
「昔、軽演劇をやってらっしゃったと、お聞きしました。」

との、ご返事です。(軽演劇は、2週間いただけ。)

 

私は、引き受け、中古で、3人分の女装服を用意し、当日です。

若い180cmある、超イケメンの男性社員がいて、彼にメイド服とロングのカツラを被せました。頭にリボン。メイクはもちろん。みんなで、寄ってたかって、彼を飾り立てました。しかし、用意した網タイツがMサイズで、彼の股下まで届かないのです。

「うわあ~、脚長いんだね。しかも、真っすぐ。」

その届かない部分は、スカート部で隠しました。細身で優しい顔立ちのイケメン君は、女になっても超美少女。本人は、鏡を見て、思わす顔を覆いました。

「俺、恥ずかしくて、死にそう・・」彼は言います。

 

彼が、宴会場に出てきたとき、みなさんは、大変な盛り上がりでした。


私は、「魔法使いサリーちゃん」の役でした。
私は、赤いサンタガールのミニのワンピ、金髪のかつらです。長い付け睫毛は、アイライナーで描きました。
3人の最後に、プレゼントの大袋をかついで、出て来ます。
「みなさん、メリークリスマス!」と言って魔法の杖を上にあげます。
そのとき、若い男子社員が、そっと来て、
「加納さん、手を挙げると、パンツが見えちゃいます。」
と教えてくれました。
「あはははは。」と私は、ごまかし笑をしましたが、
パンツは、多くの方に確認されたようでした。

女物のパンツを履いてなくてよかったと、
後から、胸を撫で下ろしました。

 

 

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