私は、大学の寮で、あまりにも女の子に見られるので、ある日開き直って、美容院に行き、完全女装をして過ごすことにします。私のトレードマークは、ワンピースです。
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アメリカ自叙伝・外伝①「5月に七面鳥なの?」
まだ5月だというのに。
感謝祭は年末だといのに、ロンが車から降りて、大きなメロンの塊のようなものを、4つ抱えてきた。包帯のようなものでぐるぐる巻きにされている。
「ちょっと、怖いけど。」と、キャシー。
みんな集まってきた。私も、見に行った。
「あ、キャシーのいう通り。かなり怖い。」と、メリー。
メロンを包んであるより、形がいびつ。
「ねね、何なの、それ。」ナンシーが聞いた。
「みんなが一度は食べたいと思っていたやつさ。」と、ロンは得意気。
「何だと思う?」と、ロン。
「いや~、当てたくない。」と、リリ。
「ほんとは、年末の感謝祭に食べるんだけどさ。今、安かっ たから、4つ買っちゃった。」
「じゃあ、まさか、それ七面鳥?」ナム。
「4つも買ったの?どうするの4つも。」リリ。
「俺ら11人じゃん。アシフを入れれば12人だ。ぺろっだ ろうよ。」
「ぺろっじゃないわよ。5人家族で、1羽やっとやっとよ。
チキンじゃないのよ。七面鳥よ。」と、キャシー。
作業テーブルの上に4つの塊りが置かれた。
みんな、怖いものでも見るように見ていた。
1つだけなら、まだしもなのである。
みんな一つ一つの塊りが、あるものに見えてしかたなかったが、それを口に出さずにいた。
「だれが、どうやって料理するの?」ジャンが言った。
「七面鳥なんか、料理したことねえよ。」と、ホーリー。
女子達は、無言である。
「じゃあ、ぼくが、やってみようかな。」と、私は言った。
「え?ジュンは、日本の子なのに、できるの?」と、ナム。
「できないけど、この前可愛いエプロン買ったから、付けて みたいだけ。もちろん、バンダナも買ったよ。」
「ジュンは、形から入る子だってわかったわね。」と、メリー。
私は、部屋へ行って、スカートが不思議な国のアリスのようなエプロンをして降りてきた。
「さあ、やるわよ!」と、この頃は、ときに女の子言葉が出るが、だれも、何も言わない。
私は、ぼーと見ている男女の真ん中で、つぎつぎに指示をだした。実は、チキンの丸焼きを日本でやったことがある。多分それと似ているはず。
「ね、メリーは、レモンがないか調べて。4つは欲しい。」
「シンディーは、黒コショウを探して。一ビンでいいわ。」
「男の子たちは、オーブンに火をつけて。2台とも火をつけ てね。」
「表面に塗るタレを作りたいの。キャシー、お砂糖とお醤油 を絶妙に混ぜて、中華のタレにしてくれる? キャシーは、 香港の子だし。」
つぎは、オーブンで1時間焼いて、その後は、オーブンの蓋を時々空けて、キャシーの作った中華のタレを塗る。
その内、表面がパリパリになって、美味しそうな香りが立ち込めてくる。
初めに七面鳥を買ってきたロンは大喜びである。
焼けた。冷蔵庫にあったレタスをあしらって、切り並べた。
アシフを呼びに行く。
「え、俺もいいの?」と、アシフ。
「当たり前じゃない。アシフがいないと余っちゃう。」
みんなで、いただきます。
とても、おいしい。
「ね、ジュンはどうして、七面鳥のお料理ができたの。」
ナムが聞いた。
「うん、子供のときから、クリスマスには、ローストチキン 作ってたの。バケツを2つ合わせた特製のロースターでつ くるの。日本なら、レモンと塩をこすりつけるだけなんだ けど、今年は、キャシーがいるでしょう。だから特製の タ レを作ってもらったの。今日、美味しいのは、キャシ ーのタレのお陰。」
「ジュンありがとう。あたし、目立たない子だから、活躍できてとてもうれしい。でも、ジュンがいなかったら、あたし達、なんにもできなかったわよね。」キャシーが言った。
「そうそうそうそう。」と、みんなが大きな拍手をした。
ロンが、「これが、七面鳥だぜ!」と言ったので、みんなは、おまけで、大きな拍手をした。
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