コンピュータが、ダメで、今奇跡的につながったので、投稿してみます。
みなさまのところへ表示されていると、いいのですが。
新しいパソコンを買ったのですが、Windows8で、もう、ぜんぜんわからないんです。

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やがて、麻衣が顔をあげた。
「今度の学校へ来てよかった。
 ジュンみたいな男の子がいるってわかったから。
 あたし、永久に男の子とおしゃべりができないと思ってた。」と麻衣が言った。

「ぼく、変な男子だからね。」と私。

「変じゃない。セーラー服で来てくれたことも、
 ジュンのやさしさだと思った。
 あたしが緊張してるだろうと思って、
 セーラー服を着てきてくれた。
 あたしが気楽にしゃべれるように、
 女の子になって来てくれた。
 全部、ジュンのやさしさだと思う。」と麻衣は言った。

「麻衣は、苦労してるから、
 人の心がわかるんだね。」私。

「ジュンも、苦労してきた人に思える。
 それとも、生まれつき天使のような人。
 その両方かな。」麻衣は言った。

「あたし、学校の休み時間に
 脇目もふらず、勉強しているジュンがすごいと思ってる。」麻衣。

「ガリ勉って呼ばれているみたいだよ。」私。

「でも、ジュンは、そんなこと気にしてない。
 人がどう見ようと関係ない。自分のすべきことをしてる。
 そういうジュンを毎日見ていて、ステキだなと思った。
 あたしも、そんな風になれたらいいなと思ってる。
 今は回りの人の目ばっかり気にしてるから。」と麻衣は言う。

「麻衣は、心の傷があるから、仕方がないよ。
 無理しちゃだめだよ。傷はゆっくりしか治らない。
 麻衣は、学校で、みんなからたくさん優しくされて、
 たくさん楽しい思いをして、
 それで、ゆっくり治っていく。」私は言った。

「今日、ジュンからやさしい思いをもらった。
 100回分くらいのやさしさをもらった。
 だから、心の傷が、少し治った。
 ジュンありがとう。」と麻衣は言った。

「ううん。ぼくは、麻衣が好きだから、
 麻衣の楽しそうな顔見るだけで、うれしい。」と私。

「明日学校へ行ったら、またガチガチになると思うけど、
 ジュンがとなりにいてくれると思うと、うれしい。」と麻衣。

「うれしいのは、ぼくだよ。
 昼休みだって、麻衣は外に行かないから、
 ぼく達、ずーといっしょだよ。夢みたい。」と私。

「そうね。ずーといっしょね。」と麻衣は笑った。



その日の晩、私は一大決心をしたことを家族に話した。
夕飯のとき、
「ぼくは、明日から、セーラー服を着て、学校に行く。」と言った。
「どうして?」とみんなから言われた。
「セーラー服を着て学校へ行くことがぼくの夢だったから。
 中学時代の残りの1年、自分の夢を叶えたい。」と私。
「ジュン、他に何か考えてない?」と姉が言った。
「何もないよ。」とぼく。
「いいんじゃないの。ジュンの願い叶えてやりなよ。」と兄が言った。
「自分で、全部やるのよ。お母さん達、学校に行かないからね。」と母。
「うん。自分のことは、自分でやる。」と私はきっぱりと言った。
父がおもしろそうに、一人で、おかずをつついていた。



兄との朝の合気道の稽古をした。
「ジュン、俺にだけは話せ。」と兄が言う。
「うん。ある女の子と女友達になりたい。」と私。
「好きなのかその子が。」
「うん。好きでたまらない。」と私。
「俺はお前が何しようが、もう驚かないけどな。」と兄は笑った。



月曜日の朝、クラスメートが、教室に来て、みんな驚いた。
私がセーラー服を来て座っている。
私は何を言われても、「うふふ。」と言ってはぐらかしていた。
やがて、麻衣が来た。
麻衣もびっくりしていたけれど、
麻衣は、学校ではやっぱり無口だった。
麻衣が、私の隣に座って、私達は女子二人に見えた。

やがて、先生が朝のホームルームに来た。
で、私を見るなり、
「加納、その格好はどうしたんだ。」と聞いた。
「自分にはこの方が似合うと思って、着て来ました。」と答えた。
私は、すぐ先生に、教室の外のホールへ呼ばれた。
「加納、もしや近藤のためか。そこまでやってくれとは、言ってないぞ。」と先生。
「自分の夢のためです。ぼくは、この格好の方が自分に合ってると思います。
 最後の1年くらい、夢を叶えたいです。」そう言った。
「校長の許可を取るから、校長室へ来い。」
先生に言われて、校長室に言った。
学校では、去年、立原ひとみの件があり、
男子の女子制服の着用を認めている。

校長先生は、後ほど職員の理解を求めることにして、
とりあえず、女子制服の着用を認めると言われた。
しかし、女子トイレの使用は許可になっておらず、男子を使う。
体育は、男子の服装で行う。
それでよいなら、しばらくセーラーを着てよいことになった。

教室に帰ったら、1時間目の国語の授業が始まっていた。
老齢の榎先生は、私のセーラーを見ても、さほど驚かなかった。
そして、「加納くんは、そういう格好も似合うな。」と言った。
クラスのみんなが、笑った。

1時間目の終わりに、先生方へ召集の放送が入った。
私は、自分のことかなと思った。

その後、どの時間の先生も、私の女子制服を驚かなかった。
トイレは、男子トイレに宣言をして入った。
「3年C組、加納純男子、今からトイレに入ります!」と大きな声で言って、
中の個室を利用して済ませた。

20分の中休みになって、みんなが寄ってきた。
「ジュン、どうして?」と女の子に聞かれた。
「昨日気がついたんだ。ぼくは心が女だって。
 だから、自分に正直になろうと思って着てきた。」と私は答えた。
「立原ひとみみたいに?」
「ひとみは、完全に女の子なんだけど、ぼくの心は、男ときどき女。揺れるんだ。
 今は、女。」
「セーラーの服は、どうしたの?」と誰か。
「1年生のとき、3年だった女番グループのリーダー覚えてる?」
「ああ、覚えてる。」とみんな。
「あのリーダーからもらったの。」と私。
「じゃあ、その服、リーダーの?」
「うん、そう。」
「ひえ~!」とみんな、様々に声をあげた。

みんなは、外へ遊びに行った。

麻衣が、前を向いたまま小声で、
「ジュン、もしかしたら、私のため?」と言った。
「違うよ。全部ぼく自身のため。
 ぼくは、女の子みたいだから、この方が落ち着く。」
「そうならいいけど。」と麻衣は言った。


つづく

■次回予告■

純は、昼休み、麻衣を少しずつ外に連れ出します。

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