震災のあまりにもの惨状に、この投稿を消去しようと思いましたが、こんなときこそ、
一時でも震災から心が離れることを願って、投稿をそのままにすることにしました。
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映画が終ったとき、
「ちょっとドライブして帰ろう。」とアシフは言った。
「いいね。」と私も応えた。

アシフは車をどんどん走らせて、やがて大きな湖のほとりで車を止めた。
回りに人影も車もなくて、少し離れたところにある街灯が、
唯一の灯りだった。
私はふと不安になって、
「どうして、こんなところに止めるの?」と聞いた。
そのとき、アシフはとても真面目な顔になっていて、
ハンドルに上体を預けながら言った。
「ジュン。ぼくは一日5ドルで暮らしているんだ。
 たった、5ドルなんだよ。
 例えガールフレンドができたって、どこにも行けないし、
 食事にさそうことすらできない。
 だから、ガールフレンドなんか、ずっといなかった。」
アシフは、ふと遠くを見るようにして言った。
「ジュン、お願いがあるんだ。」
「何?」
「君を抱いてもいいかな。」
私はためらった。
「ぼくは、男だよ。」
「知ってるけど、ぼくには君が女の子に思える。一生のお願いだ。」
私はアシフの心情がわかり、
「いいよ。」と応えた。
アシフは一瞬うれしそうにし、車の座席を引いて、私の方に身を乗り出してきた。
そして、怖いものに触れるように、
おそるおそる私に手を掛けてきた。
私はじっとしていた。
「ジュン。」そう言って、アシフは手に力を込めてきた。
「ちょっと苦しい。」私が言うと、
「ごめん。」と手を引いた。
それから、「キスしてもいいかな。」と聞いてきた。
「う、うん。」と私は、首を振ってイエスをした。

はじめそっとキスをして、それからアシフは、激しく唇を求めてきた。
そして、私の体を強く抱きしめてきた。
アシフの荒い息が耳元でした。
やがて、アシフは我慢ができなくなったのか、自分で、ズボンのファスナーを下げようとしていた。
そして、自分のアソコを懸命に押さえている。
アシフは、自分でイッてしまうつもりだ。

「ま、まって。」と私は、彼を少し離し、自分のバックから、タオル地の小さなハンカチを出した。
それで、アシフのアソコをそっとくるんで、静かにマッサージをした。
アシフは、やがてビクンと体を反らし、果てて行った。

やっと呼吸が落ち着いたとき、
「ジュン、ありがとう。」とアシフは言った。
「今日だけだよ。」とわたし。
「うん、わかってる。君は、女の子が好きなんだものね。」
「こんな格好してるけど、そうなんだ。」

車は、ゆっくりと下がり、夜の湖を後に発進した。