この度の地震で、被災地付近の方々のご無事と、
被害に遭われた方々の一日も早い復興をお祈りいたします。
* * * * * *
洋装店を出た私は、スーパーによって、
女としての生活に必要な最低限のものを買った。
下着、洋服の替え、靴、バッグ、簡単は化粧品、カミソリなどなど。
私はそれまで、日本の女装クラブで5年くらいの経験があったので、
迷うことはあまりなかった。
車の中で上から下まで全て女物に着替えた。
足元を見ると、ワンピースの裾とパンプスが見えた。
「本気で、女で行くつもりなのかなあ。」
と自分の決意が揺らいだりもした。
不思議なことが一つあった。
日本で女装をしたとき、私はいつも性的な興奮を伴った。
でも今、こうして必要としての女装をしてみると、
その興奮がなかった。
それよりも、オール・デイ・ロングの女装でいることに、
大きなプレッシャーを感じてならなかった。
*
私は勇気をだして、寮に帰った。
寮の玄関ホールには、男子用のエレベーターと女子用のそれが、並んでいる。
男女の行き来にはうるさくないところだった。
私は男子用のエレベーターに乗り、ルームメイトのいる我が部屋へ入った。
ルームメイトはパキスタン人でアシフという名前だった。
ワンピース姿の私を見て、アシフは、しばらくきょとんとしていた。
「ユー、ジュン?」
と私の名を呼んだ。
「うん。どう?」
と私は言って、スカートの裾をつまんで見せた。
「うお~。完璧に女の子じゃないか。」
「見える?」
「見えるどころか、かわいいよ。」
アシフは何度も私の全身を眺めてそう言った。
私はそこで、女の格好をしているいきさつをアシフに話した。
これからも、一年中女でいるつもりであることも。
「そうかあ。君は女の子に見えるからなあ。
いっそ、その方がいいよ。」
とアシフは言った。
「でもなあ。」とアシフは言葉を続けて、
「なんか女の子と同棲してるみたいで、俺、変な気分になるぜ。」
「変な気分になったって、いいよ。」と私は笑ってみせた。
*
その日から、アシフは外から帰って来て、私が着替えなんかしていると、
「エクスキューズ・ミー。」
と言って、あわててドアを閉めることもあった。
男子寮の中でも、私は平気で女の格好でいた。
私が女装をしていると見る寮メイトは少なくて、むしろ、
「どうして今まで男装していたんだ。」と聞かれた。
助かったことに、男子寮に女子がいることを訴えるものいなかった。
おもしろいから、ジュンのことは、内緒にしておこうとみんなは言ってくれた。
こうして、寮の問題はクリアした。
被害に遭われた方々の一日も早い復興をお祈りいたします。
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洋装店を出た私は、スーパーによって、
女としての生活に必要な最低限のものを買った。
下着、洋服の替え、靴、バッグ、簡単は化粧品、カミソリなどなど。
私はそれまで、日本の女装クラブで5年くらいの経験があったので、
迷うことはあまりなかった。
車の中で上から下まで全て女物に着替えた。
足元を見ると、ワンピースの裾とパンプスが見えた。
「本気で、女で行くつもりなのかなあ。」
と自分の決意が揺らいだりもした。
不思議なことが一つあった。
日本で女装をしたとき、私はいつも性的な興奮を伴った。
でも今、こうして必要としての女装をしてみると、
その興奮がなかった。
それよりも、オール・デイ・ロングの女装でいることに、
大きなプレッシャーを感じてならなかった。
*
私は勇気をだして、寮に帰った。
寮の玄関ホールには、男子用のエレベーターと女子用のそれが、並んでいる。
男女の行き来にはうるさくないところだった。
私は男子用のエレベーターに乗り、ルームメイトのいる我が部屋へ入った。
ルームメイトはパキスタン人でアシフという名前だった。
ワンピース姿の私を見て、アシフは、しばらくきょとんとしていた。
「ユー、ジュン?」
と私の名を呼んだ。
「うん。どう?」
と私は言って、スカートの裾をつまんで見せた。
「うお~。完璧に女の子じゃないか。」
「見える?」
「見えるどころか、かわいいよ。」
アシフは何度も私の全身を眺めてそう言った。
私はそこで、女の格好をしているいきさつをアシフに話した。
これからも、一年中女でいるつもりであることも。
「そうかあ。君は女の子に見えるからなあ。
いっそ、その方がいいよ。」
とアシフは言った。
「でもなあ。」とアシフは言葉を続けて、
「なんか女の子と同棲してるみたいで、俺、変な気分になるぜ。」
「変な気分になったって、いいよ。」と私は笑ってみせた。
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その日から、アシフは外から帰って来て、私が着替えなんかしていると、
「エクスキューズ・ミー。」
と言って、あわててドアを閉めることもあった。
男子寮の中でも、私は平気で女の格好でいた。
私が女装をしていると見る寮メイトは少なくて、むしろ、
「どうして今まで男装していたんだ。」と聞かれた。
助かったことに、男子寮に女子がいることを訴えるものいなかった。
おもしろいから、ジュンのことは、内緒にしておこうとみんなは言ってくれた。
こうして、寮の問題はクリアした。