日本は三権分立の国と言われているが、私にはせいぜい 2.5権分立くらいにしか思えない。
それは政府と国会の役割がはっきりしないように思えるからだ。
テレビの国会中継では、首相や大臣が国会議員から矢継ぎ早の質問を受けて返答している様子をよく見掛ける。
予算委員会なども含めると首相や大臣や官僚たちが国会に同席するのは、年間 100日近いのではないか?
その答弁の準備も含めると政府が国会つまり行政府が立法府に極めて長期間拘束されていると思える。
政府はこれで本来の行政に専念できるのだろうか?
国会の質疑もふざけている。
国会議員が一方的に政府に質問するだけで、逆に政府は国会議員に質問することができない。
まるで裁判における被告のようだ。
議員の質問の口調も総じて非常に無礼だ。
対する政府の答弁の口調は 穏やかというか へりくだり過ぎてイライラする。
野党が 自分たちの言葉遣いを棚に上げて 政府答弁の言葉尻ばかりを追及するからだろう。
何かというと野党は「国会軽視だ」と非難するが、国会が「政府軽視」ではないのか?
もっとおかしなことがある。
もっぱら政府が法律案を提出し議員立法は極めて少ない。
三権分立では、国会が法律を考え、政府は法律に従って行政を行うのが 両者の役割ではなかったのか?
おまけに、議員立法の法案も政府の役人に仕上げてもらっていると聞く。
法案も自分で作成できない立法府とは聞いて呆れる。
結論は、立法権と行政権を足してせいぜい 1.5権、司法権を加えて合計 2.5権分立だ。
政府の法案提出や国会審議のあり方も奇妙だが、国会や予算委員会で主に野党の国会議員が政府のスキャンダルや対応の仕方や首相や大臣の考え方までを執拗に追及して来る姿はもっと奇妙だ。
そのために浪費している政府や国会の日数と経費は膨大なものであろう。
「モリカケ桜」が良い例だ。裁判所まがいの参考人招致にも呆れる。
対応の負担で官僚の自殺者まで出た。
さらにそのネタが週刊誌の記事ばかりとなると、笑えない冗談としか思えない。
「週刊誌フォロワー」か?
国会は法律を作って政府と裁判所を縛り、政府と裁判所は法律に基づいて行政または裁判を行うのが役目ではなかったのか?
国会は政府に文句を言いたいなら法律を改正して改めさせればよい。
条文には必ず許される解釈の幅がある。
ところが 政府がこれまでの解釈を変えると野党は目の色を変えて問題視する。
条文に違反しない範囲内での解釈の変更なのに、なぜ国会の了承を得なければならないのか?
その幅の中での解釈の変更が問題なら、立法府なのだから条文を改正して解釈できる幅を狭めればよいだろう?
これまでの法律で防げなかったのは、自分らが作った法律がお粗末だったからだ。
政府自身も、法律に違反しない行政や内閣および官僚の行動については、「(あなた達が作った法律に照らして)何ら法律違反はありません。法律の範囲内での行政と行動です」と開き直れば(?)よいのではないか?
最近の政界は 自民党のパーティー券の裏金問題で延々と大揺れだ。
パーティ券収入のキックバックそのものが問題のようにマスコミは報道するが、収入額の大きい派閥に褒賞的に政治資金を多く配るのは別におかしなことではなかろう? 法律違反でもない。
法律違反の問題になるのは 収支報告書に記載しなかったことだけのはずだ。
マスコミの報道や野党の発言は 恣意的すぎる。
政治資金の収支報告程度(?)で大臣が次々と辞めさせられるのも大袈裟だ。
国会議員は政策とその遂行力で評価されるべきなのに、毎度のことだが、マスコミや野党は まるで国会議員に聖職者であることを要求しているように見える。
それに乗せられている国民も愚かだ(失礼)。
国会は法律違反を疑うなら裁判所に訴えればよい。
ましてや、裁判中の案件を国会で追及したり参考人招致をしたりするのは、野党得意の「国会軽視」の言葉を借りれば、それこそ「司法軽視」ではないのか?
法律内での政府の行政や行動を追及するのも同じく「政府軽視」。
全ては時間と経費の浪費だ。
つまり、政府に対する国会審議の場が必要とすれば、それは国会がより良い法律を制定または改正するために、行政の実態を尋ねたり政府の意見を聞いたりする場にとどめるべきであって、政府を追及したり裁判所まがいのことを行う場にすべきではなかろう。
ましてや、立法府の野党が 行政府の政府に法律案の提出を要求する姿を見ると、天地がさかさまで こちらの頭がおかしくなりそうだ。
野党は「それらは憲法違反ではない」と開き直るだろう。
あるいは「議員内閣制だから」と言い訳をするに違いない。
だが 私は「三権分立とは本来どうあるべきか?」を考えているのであって、GHQが強要した現行憲法に違反か否かを論じているわけではない。
本来、議院内閣制とは、国会議員の中から首相を選任し、国会議員が大臣になり得るというだけであり、法律に違反しない行政にまで国会が口出しをしてよいというのものではない、と私は考える。