仕事場近くの地域交流館で「土を喰らう12ヶ月」を見た。
製作当時、あのジュリーが?と話題になった映画の地方上映
だが、1時間30分の話の中に、今、僕が体験している田舎の
問題が色濃く出ていた。それがショック!
1. 先ずは、旧家に老人の一人暮らしが多い。
その実例が、僕の地域に実に多い。老夫婦を加えれば、殆ど
の旧家地域(50軒ほど)が当てはまる。要介護途中の家も多い。
2. 地域活動の担い手が破綻している。
50軒ほどが旧家。他の70軒は、新興住宅。当然、旧家は若い人
が極端に減り、映画の通夜シーンの百万遍(長い数珠を全員で回
しながらお経をあげる)など、(そんなことがあった)と古老が
思い出すほど寂れている。草刈など、稲作農家が近所をボランテ
ィアで刈ってくれていたからこその、田舎の整備された綺麗な風景
だったのだ。今は、年2回ほどの地域住民総出の草刈りで、維持され
ている。
3. 恒例行事が最低限しかできない。
しきたりが厳しい行事なども、担い手が居ないことで、無くなり
つつある。
4. 畑に作物はない。
田舎は、家の近くの畑の作物でつつましく暮らせるものだという
先入観は、無くなりつつある。沢田研二が、家の近くの畑で取れた
ものを大事に調理して、編集者の松たか子に食わせるシーンがある
が、そんなものは、まれになりつつある。畑を耕す体力がなく、
そのせいで荒れ放題になった家が多数ある。食材は、近所のスーパー
で買うのだ。行き帰りは軽自動車を使う。
5.映画の田舎の老人がきれい過ぎる
現実は、しょぼくれた老人が、所在なしに家に籠っている。それが
現実。少ない年金と、荒れ果てた本普請の家。庭を綺麗に整えている
家は、少ない。
そんな田舎の現実を見聞きしているだけに、東京のファンタジー(
田舎に行けば、地域の協力を頼りに、悠々自適か、つましく静かに暮
らせる)と思われている節がある。 現実は違うよ!と言いたい。