第一章ルイスの中国行き……第1話ルイス南京に到着する

 

プロローグ

 

皆様。突然物語が始まって驚かれたと思います。実はこの物語は筆者「ひまえび」がノベルアッププラスさんに今なお投稿し続けています小説「海と陸の彼方へ」

 

海と陸の彼方へ(ひまえび) | 小説投稿サイトノベルアップ+スレイマン大帝が即位したころである。オスマン・トルコ帝国の首都イスタンブールで戦争孤児として貧困の中で育ったアイユーブ・サイイドは1522年4月17日に19歳の誕生日を迎えた。アイユーブの父親はオスマン・トルコ帝国のイェニチェリ(皇帝親衛隊)の一員で、アイユーブ一家はニケーア「イズニク」に住んでいた。両親は1511年のシャー・クルの反乱鎮圧の戦いのさなかに敵…リンクnovelup.plus

 

のスピンオフなのです。今のところは「海と陸の彼方へ」の内容とほぼ同じなのですが、少しずつ変わっていきます。

物語の主人公ルイス(18歳)は、イタリア系のアメリカ人です。ルイスはディアンジェロ家の長男で、父親はヘクター・ディアンジェロ(38歳)。母親はローサ・ディアンジェロ(35歳)。弟にアンヘル・ディアンジェロ(16歳)。双子の姉にマリア・ディアンジェロ(18歳)がいます。

ヘクターとローサはイタリアのシチリア島に位置する都市アグリジェント(Agrigento)の出身で未だにアメリカの国籍は持っていません。何時まで経っても不法移民のままです。3人の子供たちはアメリカで生まれたのでアメリカ国籍を取得しています。

ヘクターはアメリカの不法移民として港湾労働者として日雇いを長年しておりました。ディアンジェロ家の運命は長男ルイスがマフィアのボス:エドゥアルドに雇われたことから急変します。

雇われたと言っても、コカインの密売人としてのチンピラ仕事です。がたいが良く、俊敏なルイスは弟のアンヘルをコカイン密売の見張りとして使い、自らはコカインの製造に取り掛かり、取り分を増やし始めます。

そのうち、ルイスとアンヘルはマフィアのボス:エドゥアルドに認められ、ルイスは裏の仕事のリーダーであるアンダーボス「若頭」に就任し、アンヘルはエドゥアルドの表の仕事「カジノ経営」に携わるようになります。

ルイスは裏の顔のリーダーとして、ニューヨークマフィアの敵対組織をことごとく殲滅し、マフィアとしての名声を獲得します。一方アンヘルは表の仕事で利益を上げ、ボスのエドゥアルドの信頼を勝ち取り、ボスから建設会社をひとつ任せられます。

アンヘルは表の仕事を成功させ、アメリカ合衆国の上院議員にまで登りつめます。ルイスはアンダーボスとしての実益と権力を手にしますがひとつだけ致命的なミスを犯します。ボスの最愛の第2夫人と出来てしまったのです。ルイスはボスの激怒を買い、アメリカ中を逃げ回ります。

ルイスの窮地を救ったのが父親のヘクターと弟のアンヘルでした。ふたりは協力してルイスを中国に亡命させる手筈を整えます。

ルイスは目的があって中国に行ったのでは無く、ボスのエドゥアルドから逃げようとしただけなのですが、賢いアンヘルは兄のルイスに仕事を成功させ、中国での居場所を与えようと計画しました。

アメリカ合衆国の上院議員になったアンヘルは毛沢東の暗殺をルイスにさせようとルーズベルト大統領を説得したのです。

 

第1話……ルイス南京に到着する


前書き
アメリカ本土から電話が掛かり、ハリントン大佐が直立不動で命令を受けた。ルイスたちにはその内容が聞こえず、"イエス。サー"と大佐が何度も直立不動の姿勢で答えるのが聞こえただけであった。ハリントン大佐はアメリカ本国からの命令をルイスと家族全員に伝えた。ハリントン大佐:フランクリン・D・ルーズベルト大統領からの直々の命令である。"ハリントン一家はルイスと行動をともにし、任務「毛沢東暗殺」を完遂せよ""5月29日までに長江上流大渡河の瀘定橋に到達せよ""以上"真珠湾→南京→瀘定橋「飛行機」へのコースをたどり、中継点のグアム島、マニラを省略せねば期日通りに長江上流大渡河の瀘定橋に到達することは難しいと判断した。そのためには改良DC-2 を更に改良する必要がある。ルイスはハリントン大佐率いる真珠湾航空兵と協力し、改良DC-2 の積載重量と積載可能燃料を更に2倍にした。それと同時に小型のロケット砲5台と機関銃5台も用意した。

 

本文

******  
登場人物「1935年1月1日時点」  

******
主人公ルイス・ディアンジェロ(18歳):元マフィアのアンダーボス。マフィアのボス:エドゥアルドの最愛の妻セリーナ・マッキンノン(27歳)を奪ったことで、アメリカを追われ、中国に逃れる。弟アンヘルの計画「中国共産党最高指導者毛沢東暗殺」に乗っかり、成功した。その功績を評価され、国民党政府主席蒋介石から、巴蜀・雲南の軍政長官に任命される。

******

ルイスの資金

敵対するニューヨーク・マフィア から奪った朱堤銀200億両「日本円で400兆円」という莫大な隠し財産を為替で持っている。
******
ルイスの家族 
イタリア系の不法移民で、彼らの家族名は「ディアンジェロ」です。以下はディアンジェロ家の家族構成です: 
・父親ヘクター・ハミルトン(28歳)「10歳の若返り」:次男アンヘルから10億ドルの資金を貰い、テキサスで石油と天然ガスを発掘した。 

・弟アンヘル・ディアンジェロ16歳:ハーバーテックソリューションズ(HTS)の会長兼CEO。ル・クリスタル・ホテル所有「200万ドルで居抜き購入」。アンヘル航空㈱会長兼CEO「資本金10億ドル」。ヴィヴィ警備会社「資本金1千万ドル」オーナー。軍事産業への共同投資60億ドル「配当金:1,929万ドル/ 週」。現預金50億ドル「シャドウ・ネクサスから略奪」と債権「総額不明」所有。
マリア・エバ・ドゥアルテ16歳。アンヘルの妻。AMレジャー総合開発㈱「資本金1億ドル」社長兼COO。悪魔のように可愛い女。 
******
ヘクターの資金7億4,060万ドル。前々回の最後で石油精製会社の資本金を5千万ドルとして計上した。別途にエドゥワルドから50億ドルの資金を預かる。

******
真珠湾基地責任者と家族
・ジェームズ・ハリントン大佐: 真珠湾基地の責任者。45歳。長年の軍歴を持ち、特に戦略的思考と組織運営に長けている。
・マーガレット・ハリントン(42歳): ジェームズの妻。地域社会でのボランティア活動に積極的で、特に子供たちの教育と福祉に関心を持っている。
・エリザベス・ハリントン(20歳): 長女。大学で政治学を学びながら、軍事基地内での青少年プログラムに参加している。
・ウィリアム・ハリントン(18歳): 長男。大学進学を控え、将来は海軍に入隊することを夢見ている。

******


マフィアの組織図「パブリックドメイン」


紅軍の長征


瀘定橋

中国全土

山川出版社「地域の世界史9……市場の世界史」P171

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P10

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P11

朝日出版社「西南シルクロード紀行」宍戸茂著。P49

麗江古城

 
☆ヘクターの動向
1935年5月10日金曜日午後8時:ダラス郊外・ヘクター邸
ヘクターとソフィアは、彼らの結婚をソフィアの両親に報告するため、畜産牧場の飛行場からダラスの私邸へと向かった。一緒に同行したエリザベス、アンナ、マーガレット、ヘクターの娘マリア、そしてヘクター石油開発㈱の幹部ジョン・スミスは、4,5時間の飛行の後、疲れた足を邸宅に踏み入れた。ヘクター邸の従業員は総出でヘクターたちを出迎え夕食の準備をして、ヘクターたちの旅の疲れを癒やすべく心を砕いた。

ヘクター邸では、執事のジョン・ウェバーが率先して、彼らの到着を完璧に準備していた。彼の厳格だが公正な態度は、スタッフからの尊敬を集め、邸宅の安定した運営を保証する存在である。料理人のエマ・リチャードソンと彼女の右腕であるトム・ハリスは、テキサスの伝統料理と新しいレシピを融合させた献立を用意し、長旅の疲れを癒やす温かい夕食の準備に忙しい様子だった。

庭師のヘンリー・クラークが丹念に手入れした庭園は、訪問者たちを自然の美しさで迎え、運転手兼ボディガードのマイク・ジョンソンは、邸宅の安全を確保しながら、彼らの心地よい到着をサポートした。侍女のアン、リリー、ジェシカは、家の内部をきれいに整え、歓迎の雰囲気を作り出すために細やかな配慮を行い、家政婦のサラ・ジェンキンスは特にマリアの居室を完璧に管理していた。

夕食時、エマとトムが作り出した料理は、テキサスの家庭の味を感じさせるもので、テーブルには彼らのために用意された色とりどりの料理が並び、香り高い料理が空腹をそそった。ヘクターたちは、従業員たちの心遣いに包まれながら、和やかな雰囲気の中で食事を楽しんだ。ジョン・ウェバーの手際の良さ、エマとトムの料理の腕前、ヘンリーの美しい庭園、マイクの安心感、そしてアンたち侍女の細やかな気配りが、歓迎の雰囲気を一層高めた。テーブルを囲む間には笑顔があふれ、ヘクターたちの旅の疲れは、従業員たちの心遣いによって癒やされていった。

☆ルイスとジェームズ・ハリントン大佐
5月14日午後1時:ハワイ・オアフ島ホノルル:ハリントン大佐の私邸
マーガレット・ハリントン(42歳)は息子と同年齢の男臭く逞しい青年ルイスに魅力を感じていた。彼女はそういった素振りを一切見せずに対応しようと思っていたが、ルイスのニューヨークでの暴漢退治の経緯(いきさつ)を聞いた時、胸が高鳴りキュンとする気持ちを抑えることは出来なかった。

ルイスも彼と同年代の美しい娘エリザベス・ハリントン(20歳)には目もくれず、マーガレットばかりと熱心に話をしていた。

アメリカ本土から電話が掛かり、ハリントン大佐が直立不動で命令を受けた。ルイスたちにはその内容が聞こえず、"イエス。サー"と大佐が何度も直立不動の姿勢で答えるのが聞こえただけであった。

ハリントン大佐はアメリカ本国からの命令をルイスと家族全員に伝えた。

ハリントン大佐:フランクリン・D・ルーズベルト大統領からの直々の命令である。

"ハリントン一家はルイスと行動をともにし、任務「毛沢東暗殺」を完遂せよ"

"5月29日までに長江上流大渡河の瀘定橋に到達せよ"

"以上"

真珠湾→南京→瀘定橋「飛行機」へのコースをたどり、中継点のグアム島、マニラを省略せねば期日通りに長江上流大渡河の瀘定橋に到達することは難しいと判断した。そのためには改良DC-2 を更に改良する必要がある。

ルイスはハリントン大佐率いる真珠湾航空兵と協力し、改良DC-2 の積載重量と積載可能燃料を更に2倍にした。水上も移動できるように水上飛行機に改造したのが一番大きい改良点であった。それと同時に小型のロケット砲5台と機関銃5台も用意した。南京へ向けて出発したのは翌日の朝5時であった。

5月15日水曜日午前5時:真珠湾滑走路
ハリントン大佐直々の運転で南京へ向かうことになり、長女のエリザベス・ハリントン(20歳)と長男のウィリアム・ハリントン(18歳)の二人は運転席のすぐ後ろに並んで座った。

ジェームズ・ハリントンの妻マーガレット・ハリントン(42歳)は助手席に座るとすぐに"気分が悪くなった"と言い、後部座席にひとりで座っていたルイスのすぐ左側の座席に座り直した。

マーガレットはカジュアルなスタイルのライトブルーのジーンズ を履き、ブルーのタンクトップ を着け白いサンダル を履いていた。苦しそうなので、ルイスはワインを勧め、その中に新万金丹を一粒溶かしてマーガレットに与えた。ついでに自分も同じものをワインに入れて溶かして飲んだ。即効性があり、マーガレットはすぐに気分が良くなったようだ。

出発するまでの3分ほどの時間を利用してマーガレットは洗面所へ行き、窮屈なジーンズを脱ぎ、タンクトップも脱いで楽なスタイルに着替えて戻ってきた。

ライトブルーのクロップトップとライトグリーンのショートパンツを身に着けている。白いサンダルだけはそのままだ。カジュアルさは同じだが家に中でリラックスするスタイルと言える。

これでパイロットのジェームズも含めて全員リラックススタイル「シャツとパンツ」になった。ハワイの人たちは年中このスタイルだ。

12時間ごとにジェームズとルイスはパイロット役を交代し、4日間のフライトは終了した。無事に南京の国民党政府専用の飛行場に到着することが出来た。

☆ルイスとマーガレット
最初の12時間はルイスとマーガレットは後部座席で隣り合わせになって過ごした。話をすると言うより、抱き合って過ごした時間の方が長かっただろう。何も言わなくてもお互いに相手を求めていることが分かっていたからだ。

マーガレットが思わず放つ喘ぎ声や呻く声は飛行機の爆音でかき消され、地響きするような飛行機の動きが二人の快感を更に高めた。ルイスの耳元には昔誰かが囁いていたクワトロ、クワトロという言葉がマーガレットの口から漏れ出てくる。

ルイスはニューヨークだけではなく、ハワイでもクワトロ「4」という言葉を使うのだなと面白かった。

後でマーガレットに"何故クワトロという言葉を使うの?"と聞いてみた。

マーガレットは"男の人が一度しかセックスを求めないのに女性は不満を感じているのよ。少なくとも一晩で2回は求めて欲しいと思っているの。でも本音はダブル✕ダブルつまり4回ね。それで貴方が4回も求めてくるから思わずクワトロと口走ってしまうのよ"と言ったがルイスにはよく分からなかった。

ルイスは気になっていたことをマーガレットに聞いてみた。

"ジェームズとはどうなの?上手く言っているの?"

マーガレットは即座に答える。

"もちろん。上手く言っているわ。性生活を除いてはね。もう10数年は没交渉よ"

ルイスは"ふうん。そんなものかな?こんな魅力的な女性が目の前にいるのにな"と思ったが、何も言えなかった。

マーガレットはルイスの考えを察してこう言った。

"女は受け身だから、相手が求めてくればその気になるし、そうでなければ別に無くても平気なのよ"

ルイスはこう聞いた。

"僕がマーガレットを求めたら必ず相手をしてくれるの?。断ったりしない?"

マーガレット:もちろんよ。貴方が私を欲しい時は何時でもそう言いなさい。

5月20日月曜日午前9時:南京国民党政府
ルイスたちは無事に南京に到着し、蒋介石に面会を求めた。

蒋介石はルイスが頼むより先に、瀘定の街に飛行場が建設してある。そこで飛行機を停めなさいと指示してくれた。明日出発すれば間に合うから今日は一日物見遊山をしなさいとも言ってくれた。ジェームズと子供たちは疲れているから丸一日宿舎で寝ていたいという。

ルイスとマーガレットはジェームズ大佐の宿舎を後にし、南京の歴史ある街並みへと足を運んだ。疲労で休むジェームズと子供たちを残して、二人は街の活気に満ちた雰囲気を楽しんだ。

彼らは南京の市場を訪れ、色とりどりの商品や珍しい食べ物に目を輝かせた。マーガレットは地元の手工芸品に興味を示し、ルイスは彼女が選んだ品々を手伝って運んだ。

その後、ルイスはマーガレットへの特別なプレゼントを探し、深い赤のシルクでできた繊細な漢服と真珠のネックレス、金のブレスレットを見つけた。これらは彼女のエレガンスを際立たせ、長い首筋と背の高さを美しく見せるアクセサリーだった。

ルイスとマーガレットは、南京の歴史ある通りを散策している途中で、地元で評判の伝統的な南京料理のレストランに立ち寄った。店内は温かみのある雰囲気で、壁には中国の伝統的な絵画が飾られ、古典的な中国音楽が静かに流れていた。

彼らが選んだ料理は、南京の名物である塩水鴨、酸辣湯、そして揚げ豆腐に続き、最後には南京特有の汁無し担々麺が供された。塩水鴨はしっとりとしていて、独特の風味があり、酸辣湯のスパイシーさと酸味が食欲をそそった。揚げ豆腐は外はサクサク、中はふんわりとしており、それぞれの料理が絶妙な味わいで彼らを魅了した。

特に汁無し担々麺には、二人は特に感動した。辛さと風味が絶妙に絡み合い、香ばしいピーナッツの風味がアクセントとなっていた。マーガレットは、初めての南京料理に興奮を隠せず、ルイスもまた、これまでに味わったことのない新しい味に心を奪われた。

食事中、二人は料理の味わいや食材について話をしながら、南京の食文化の深さについて学び、感心した。マーガレットは、「こんなに美味しい料理を食べるのは初めて」と感激し、ルイスも「南京の料理は本当に特別だ」と賛同した。

食後には、軽い中国茶を飲みながら、二人は食べた料理について、またそれぞれの文化についてさらに語り合った。この昼食は、彼らにとって特別な思い出となり、南京の街に対する印象を一層深めるものとなった。

午後には、二人は古い寺院を訪れ、孔子を祀る廟の荘厳な雰囲気に心を落ち着かせた。寺院の屋根は伝統的な瓦で覆われ、朱色の壁には青い看板が掲げられ、入り口には赤いランタンが並んでいた。庭園では秋の色彩が美しいテープストリーを描いており、黄色いイチョウの木が葉を広げていた。この静かな場所では、人々が穏やかに歩き、静けさと安らぎが訪れる人々に提供されていた。夕方には南京の美しい夕日を見ながら川沿いを散歩し、ルイスは中国の文化や歴史について語った。

夜になると、ルイスはマーガレットに漢服とジュエリーの贈り物を手渡した。彼女は箱を開けると、その中にある漢服とジュエリーに息を呑んだ。深い赤のドレスは彼女の肌の色を引き立て、真珠のネックレスと金のブレスレットが彼女の手首と首筋に優雅に映えた。ルイスは彼女がこれらの贈り物を身に着けるのを想像しながら、彼女の喜びを見て心から満足感を感じていた。

マーガレットはルイスに感謝の言葉を述べ、彼女の目には感動の光が宿っていた。この贈り物は、ルイスが彼女をどれほど大切に思っているかを物語っていた。その夜、二人はプレゼントを介してさらに深い絆を感じていた。

☆その日の夜
マーガレットはそっとジェームズの寝所から抜け出し、ルイスの寝室のドアをトントンとノックし、扉を開けた。扉は無施錠だったので難なく入ることが出来た。待ち構えていたルイスはマーガレットを抱き締めベッドの中に迎え入れた。夜が明けるまで二人の秘事(ひめごと)は収まらなかった。

明日ルイスたちが訪れる場所は瀘定橋である。ここで紅軍の行く手を阻まねばならない。


紅軍の長征


瀘定橋

今回はここまでにいたしましょう。次回をお楽しみに。

 

用語解説

1.大渡河は中国四川省を流れる長江の主要な支流の一つで、その流域は重要な水力発電の源として利用されています。四川盆地の西部山岳地帯を源とし、豊かな自然景観とともに、古くから農業や交通の要所としての役割を果たしてきました。この河川はまた、歴史的にも重要で、特に中国共産党の長征の際に重要な役割を果たしたことで知られています。大渡河はその自然美と歴史的重要性から、観光地としても人気があります。

 

2.瀘定橋は、四川省瀘定県に位置し、中国で最も古い鉄索橋の一つです。1701年に建設が始まり、1706年に完成したこの橋は、中国の橋梁技術の進歩を象徴しています。橋は長い歴史を通じて多くの修復を経ており、特に赤軍の長征の際には重要な役割を果たしました。瀘定橋はその歴史的、文化的価値により、多くの観光客を引きつけています。瀘定橋は大渡河の上に架かっており、川の東西を結んでいます。東側は中国に向かい、西側はチベットに向かう茶馬街道が通る交易道でもありました。

後書き
儒教の祖・孔子を祀る廟……古い寺院の風景が目に飛び込んでくる。寺院の屋根は伝統的な瓦で覆われ、複雑な装飾が施された屋根の端には、巧みに彫られた龍や他の神秘的な生き物が守りを固めている。建物の壁には朱色が鮮やかで、青い看板が寺院の名を告げている。入り口には赤いランタンが並び、訪れる人々を温かく迎え入れる。周囲の庭園は、季節の変わり目を示すかのように色づき始めており、赤、黄色、紫の様々な色の植物が織り成す豊かなテープストリーを展開している。地面には落ち葉が散りばめられ、秋の訪れを思わせる。黄色いイチョウの木がその鮮やかな葉を空高く広げ、冷たい石像の隣で鮮烈なコントラストを生み出している。寺院の庭には人々がゆっくりと歩いており、その姿は時代を超えた風景の一部のようだ。静かな話し声があちこちから聞こえ、訪れる人々の穏やかな日常が寺院の歴史と調和している。花壇の緑の生垣が整然とした秩序をもたらし、訪れた人々に静けさと安らぎを提供している。全体として、この場所は過去と現在が融合し、静寂の中で美しく、落ち着いた時間が流れている。