『立往生』​​​​​​

 

ここ数日、この言葉がニュースの中で連呼されている。

 

明日から空一面を覆ってくる最大寒気が日常生活に与える危機を表現したもの。

 

身動きが取れなくなるくらいの大雪が降って来る、

 

とニュースの中の人が言っている。

 

この言葉の意味を調べると「身動きが取れない状態」と書かれている。

 

だけどそれ意味よりも、こっちの意味の方が最初に書かれている

 

「立ったまま死ぬこと」

 

言葉の由来は、あの弁慶の物語まで遡る。

 

 

 

そんな意味の言葉が数日前、新聞の一面に書かれたのを見て驚いた。

 

「驚いた」というのは違うか…?

 

どちらかというと、すごく「違和感」を覚えた、といった方が正しいかな??

 

今回の寒波の事を書いた記事ではなく、その言葉が書かれた記事は「空き家増加」について書かれたもの。

 

 

今回のような自然相手での話でもなく、事故や事件に巻き込まれたのでもない。

 

「空き家増加」はずっとずっと前から、30年以上も前から予想され危惧されていたこ。

 

「高度経済成長」という人が持つ「欲」を餌にした現代社会の構造を起因とした結果。

 

この状態について「立往生」という言葉を使った背景を知りたいと、この記事を見た時に思ってた。

 

僕が書いた書籍でも話題にしたけど、

 

この「空き家」問題と「少子化」問題の根っこは一緒だと僕は思っている。

 

「新しく造る」ことに重きをおいてきたこの国の政策は「家の終活」について政策を怠ってきた。

 

…とか書いてあるけど、大事なことはそんなことではないと思う。

 

「少子化問題」については、簡単にいえば「お金が充分に行き渡っていない」

 

というのが一番の原因として議論しているみたいだけど、

 

これも僕はまったく見当違いな話だと思ってる。

 

また、この「立往生」と言わせた現状に一番関わってきたのが、住宅関連業界で働く僕らなんだとも思ってる。

 

どんどん造れ、そしてどんどんお金を廻し、どんどん儲けよう!

 

住宅関連で働く市場の中に、

 

そんな盲目的な利益市場主義が続いてきたことが、今の状況を招いている原因の一つになっていると思ってる。

 

そんな空気の中で「家族」の存在が薄くなり

 

「家」の存在が軽くなり

 

「子供」という存在より「個」を重視する社会になっていった。

 

 

 

だからこそ僕は「家創りに費やす時間」にもっと意味を持たせたい。

 

その時間の尊さを一人でも多くの人に味わってほしい。

 

そんな時間を意識的に創っていく事で、人はもっと「家族」という存在をもっと大切にすると思うし

 

その「家族」が育ってきた「家」をもっと大切にする気持ちが芽生えると思う。

 

この社会状況に対して朝日新聞が「立往生」という言葉を使った意味とは違うかもしれないけど

 

この言葉の持つ本来の意味に戻れば

 

このまま時間が経過していくと、僕らの社会は「立ったまま死ぬ」という事になる。

 

子供たちの為にも、そんなことにはなっちゃいけない。

 

この住宅関連業界に働く僕らは、そういう自覚をもって、日々の家創りを進めていかないといけない。

 

改めてそう思う。

 

 

 

…でも明日、どこかで「立往生」にだけはなりませんように…

 

by Santa