しかしなんであれ、頑張らねばならぬ。
機上からの美しいラノーンの景色さえも心に届かない。ふうー。
先月、大使館を訪問した際に投げかけられた言葉は『これだけの大きな資金を使って、それだけの効果が得られているのか』という言葉だったのだけど、わずかな訪問時間ではその疑問を完全に払拭しきれていない感じがした。
物をあげる、建物を作る、という単純で分かりやすいODA(政府開発援助)とは違う、もっと難しくて、もっと奥深い、もっと人間そのものの営みを対象にしているこのプロジェクトを何としても理解してほしいというプレッシャーがのしかかる。
ほんの数時間の視察でどこまで伝えられるだろう。
今回はサマイさんが他の仕事を担当しており、通訳もタイねこである。(これが一番のプレッシャー…。)
単純な視察で終わらせるのではなく、カヤイさんから話をしてもらいプロジェクトの深さと広がりをまず理解してもらう。タイの政府機関をどれほど巻き込んできたかとか(実際、お役人のカヤイさんが話すことで説得力がある)、終了後の持続発展性を強固にする努力がされてきたこと、単なる4村での取り組みではなく、モデル的に広がりを見せ始めていること…。
実際このプロジェクトをモデルケースに、タイ政府が資金を出して9村を対象に活動展開していく計画が持ち上がっている。それだけではなく多くの視察が行われており、国としての取り組みにかなりの影響を与えている。
果たしてどこまで伝わったかはわからないけど、とりあえず伝えるべきことを伝えた。
こんなにも地域の方々に日本からの支援が生かされているのに、大使館の皆さんに伝えきれないとなっては、なんとももどかしいし悔しすぎる。
というのも、日本の外務省の支援に『草の根無償資金協力』というものがある。これは車とか、建物とか、ハコモノ的なインフラ支援をメインとしている。一度供与すれば終わるので、お金も時間もそれほどにはかからないし形として見えるから実に分かりやすい。
それに贈呈式は日本の国旗を掲げて煌びやかに大々的に行われる。人々の感謝が見えやすいというのもある。
最初の疑問はこうした見えやすい支援との比較からきている。
それに比べてN連はもっと大きなお金が動く。
なぜなら物をあげて終わりではないからだ。
人を育てて、村を育てていくからだ。
たくさんの人が長期にわたって動くからだ。
『強いコミュニティを作る』という総合的な取り組みだから物をあげるだけでは成り立たない。
簡単な言い方をするなら、『食べるために魚をあげるのではなく、生きるために魚を獲る技術や能力を授ける』という違いがある。
そのためには道具をあげる。道具の作り方を教える。仲間を作る。組織を作る。とった魚の加工方法を教える。加工した魚のマーケットを作る…。
つまり単なる『点』ではない、『面』としての活動になってくる。
だからこそ縦割りの政府にはできず、NGOにしかできない取り組みと考えられ、N連プロジェクトだからこそ成功したのだ。
これまで『点』の活動をどれほど政府が連打しても持続発展的成果が得られなかった。そのことは村のみんなが悔しそうに何度も何度も語ってきた。それがN連プロジェクトでは一変したのだ。
そのことを伝えたかったけど、限られた時間の中で、タイねこの下手な日本語である…。
そしてオイスカの現場には華美な装飾も、派手な歓迎式典も何もない。
あるのは本当に動いて、汗を流している現場だけである。
それが真実でそれが全て。
だけど誰もが心から感謝している。
日本の皆さんの大切な税金が支えてくれたことを。
口先だけでなく、心から理解している。
今回の短時間の視察で100%の理解は難しかったとしても、感じてもらえていると良いなあ。
タイねこの下手な説明でも。
私のコミュニケーション能力はさておき、お忙しい中をお越しくださったこと、本当にありがたいことである。訪問自体は和やかに、良い雰囲気で進められた。
最後にみんなからの大きな大きな感謝と、最初に頂いた疑問に対するタイねこの信念を伝えさせていただいた。
これで3年間のN連のおおかたの現場仕事が終わりました。
大使館の皆さん、ありがとうございました!
そして誰よりも現場で頑張ってくれてきたスタッフたちに感謝である。
残り2週間、最後の事務処理もしっかりと終わらせていきます。
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