いつもは30分以上前に着くようにしていた。
しかし、今日は15分前に着いた。
「あぶねぇ~セーフセーフ」
と心の中でつぶやいた。今日は筆記試験。
無事に着席をし、かばんの中身をあさる。
あさる
あさった
なかった。
筆記試験で1番大事な、シャープペンシルがなかった。
「まずいまずいまずいまずいまずい」
人はこういう状況に陥ると、わけのわからないことを考え出す。
「どうしよう、ボールペンで書くか?いやでもHB推奨だぞ?ボールペンで7Bくらいありそうじゃね?」
「もうこうなったら、御社に入りたいゆえの血と涙の努力をみせつけるしかねぇ!血で描こう」
その時、隣の子が咳をした。
「そうだ!隣の子に借りればいいんだ!なんだ簡単なことじゃないか!」
ホッと胸をなでおろし、おめでとう君が人生のBE MY ENGELだよと思いながら、
うつむく女性に声をかけた。
「すみません、シャーペン貸してくれませんか?」
すると彼女はこういった
「ごめんなさい、一本しかもってきてないんです・・・」
「OH!MY GOD!」
てめぇ普通は隣の人が忘れてもいいように5本くらいもってくるもんだぞ。
ワイは、常に3本+鉛筆2本を持ってくる筆記用具界のエリートだぞ(今日は忘れた)
どうしようどうしようどうしようどうしよう。
その時はパニックのあまり、他の受験生に話しかける手段や、
試験官に借りるという考えは皆無だった。
まるでアダムとイブのように、この会場にはシャーペン1本女と私しかいないと思い込んでいた。
試験開始と同時に隣の女の命の1本を奪い取ってやりたい気分だったが、私は賭けに出た。
「購入しよう」
のこりは13分。いける。
財布をバッグからかっさらい、試験会場の外へ出た。
しかし、コンビニがない!
おい!どうしたファミリーマート!あなたとコンビニじゃねぇのかよ!
おいていくなよ!とか思いながら必死にあたりを見渡した。
道行く人に「私を助けると思ってどうかシャーペンを」と声をかけようと思ったが、
路上で女子小学生につばをくれといっているようなもんだ。明らかに不審者である。
そしてコンビニの看板の看板をみつけた。
「セブンイレブンこの先250m」
「遠いわあああああああああああああぁああああ」
と、心の中で叫びながら、ダッシュ。
本気のダッシュだ。
しかも履きなれないヒール。スパイクのピンだと思い、ダッシュダッシュ。
そしてなんとか店舗について、ものすごい勢いでシャーペンをぶんどった。
しかーーーーーーーーーーし、私の前に立ちはだかるサラリーマン。
「すみません、急いでますか?」
と声をかけ、なんと先にレジに通していただいた。お前が本当のエンジェルだよ。
セブンイレブンいい気分だよ。
ありがとうございます!!!!!
とコンビニの定員より元気な声でお礼をいい、レジに進む。
「540円でぇす」
「タケェ!!!!!!!!高いよシャーペン!品質こだわってんじゃねぇよ!!!!!!!!」
と心の中で叫びながら、会計をすまし、再びサラリーマン(エンジェル)にお礼をいって
戦いが始まった。
息がきれそうになりながらも、足はとめなかった。
そして、高校の部活動を思い出した。
シャーペンという名のバトンを握りしめ、未来への自分へ受け渡すのだ!
とわけのわからないことを考えながらなんとか試験会場に到着した。
なんと試験開始5分前。
おそらく会場で一番汗をかき、一番すがすがしそうな顔をしていただろう。
まだ始まってもいないのに、私の中では試験会場でシャープペンシルをもっていることが
ゴールになってしまっていた。
隣をみると1本女が申し訳なさそうな顔していた。
試験中ものすごい勢いで消しゴムつかって机がたがたさせてやろうか!とか思ったが、
よく考えれば彼女は悪くない。
そして試験が始まった。
マークシートだった。よかったシャーペンで。
しかし、全然できなかったのである。
私は地理がだいの苦手だったのに、旅行関連会社なので地理がでるのは当たり前だ。
ミシシッピ川とかでてきてもう完全に頭が逝っているので
「わ~~~久しぶりに聞いた♡」しか浮かんでこない。
地理で散りましたわ【完】

