雨風ARASHI雲のち晴 -4ページ目











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大きな町から、モンスターたちをいくつか倒しながら引き返した橋に戻ってきた。


見張りの人たちは俺たちを覚えていて


「戻ってきたのか」


とあきれている。


「前よりは装備が良くなってるけど、それでもショウよりはかなり劣るな」


金持ちの息子に俺たちはかなわない。


「まっ、それなら城までどうにか辿りつけるかな。

お前ら、前の装備でここまで来れたなら、大丈夫だろう」


この間はそんなにひどかったのか。


しかし少し自分たちの腕に自信はついた。


「俺たちいいコンビだから」


なんかアイバさんが自慢気に言ってる。


確かに戦闘中に言葉を発しなくても、通じあってきてる。


薬草の補給もタイミングのいい呪文も、俺の会心の一撃も阿吽の呼吸になってきている。


居心地がいい。


「兄弟みたいなんだよね」


アイバさんが見張りの人たちに言ってる。

俺は素直に頷けなくて


「こんな手のかかる兄ちゃんはいりません」


って言ったら


「俺が兄ちゃんでいいんだ。

俺は憎まれ口たたく弟が可愛いすぎる」


ほっぺた両手でグニグニされた。


「アイバさん痛いよ。離して」


人前で恥ずかしくて、冷たく言ってしまった。


「仲がいいのはわかったから、怪我しないよう慎重に城に行けよ」


「了解!」


アイバさんが明るく返事してる。


「置いていくぞ」


声をかければ


「置いていけないくせに」


とあしらわれた。


「さっさと行け」


追い出されるかのように、気づけば橋の反対側にでていた。


北に向かって進路をとる。


モンスターたちは、さらに強くなった。

倒すのに時間がかかるようになった。


でもそのぶん、経験値もお金も貯まるようになった。


そしていつの間にかMPももらうようになり、アイバさんに教えてもらって、ホイミ程度はできるようになった。


もちろんアイバさんもにできる呪文の数が少しずつ増えていく。

アイバさんは教えてもらう人などいないのに不思議だ。


俺はますます張り切った。

城に到着したらその城下町で、いい装備を揃えられる。


楽しみでしかない。

どっからでもかかってこい。


装備はイマイチでも、アイバさんと二人で戦えば、なんとかなる。


実際なんとかなって、無事城にたどりついた。





まずは城下町で情報を集める。


ここの城の東の塔にいる魔物がでて、家来が何人か退治をしにでかけたが、誰も歯がたたなかったようだ。

で、王子が行くといって何人かの家来とでかけたが誰も帰ってこない。


王は心配で夜も眠れない。


そしてここでも毎日カレーを食べているらしい。


壺や樽を割るのや、タンスを開けるのももちろん挨拶も忘れない。

怒られることなくお金や薬草やら、やら今までの村や町で出なかったものも出てくる。


さすが城下町。


これで城に行けば何が出るんだろうと、俺はにやけがとまらない。


「ニノ、そのだらしない顔をどうにかしろ」


アイバさんに注意された。


「だってお城に何があるか考えただけで..」


「やめろ、がめつい顔」


「アイバさんは期待しないの?」


「俺はすごい装備品とかに期待してる。

今よりいいもの持てるといいな」


「なんだ、お前も期待してるじゃない。

俺ばっかり責めないでよ。

じゃ、買い物はお城に行ってからでいいな」


「あたりまえだ」


「何がでてくるかな」


結局二人でしまりのない顔して城門をくぐろうとすれば、衛兵に止められた。


「あやしい奴。何者だ」


「王の困りごとをお手伝いしようかと思いまして」


二人の衛兵は俺らの全身をジロジロ見て


「そんな軽装のやつらが、よく言うな」


と鼻で笑われ、追い払われた。


えっー、入れないの。


俺たち主人公だぜ、救世主だぜとは思ったものの、それ以上の交渉がしようがない。


同じセリフを言われるだけだ。

町に引き返しながらどうやって城に入るか考える。


「ニノ、先に装備を整える?」


「できればお金使いたくないけど・・・ここは仕方ないか」


と武器屋、防具屋をめざそうかとトボトボ歩いていた。


するとアイバさんが


「あっ!!」


って大声だした。


「アイバさんいちいちうるさいよ。

大声ださないでよ」


と言うとアイバさんが


「俺たちお城に行ってもらえるもののことばかり考えていて、すっかり忘れていたけどサクライショウはどこにいるんだ?」


あっ、最初の目的忘れてた。












つづく













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