雨風ARASHI雲のち晴 -3ページ目

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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時は平成の世。

 

『本物の忍者は今はいない。テレビの中か、そういった歴史的建物などあるところで忍者として働く人たちがいるだけ』

 

としか一般の人たちは思っている世の中で、オイラは伊賀忍者の末裔として一部の人間にだけ知られている。

 

さかのぼると伊賀が織田軍に滅ぼされた時の生き残り「無門」って人に育てられた「ねずみ」っていうのが、オイラの先祖らしい。

 

戦国から江戸、明治、大正、昭和、平成と代々忍者の技を引き継いで、その時々のお偉いさんの陰で働いて、それなりに一部の人の中で名を残してきたらしい。

 

もちろん小さい頃から忍者の修行をさせられ、それなりに大変な幼少期だった。

近所からめだたないように生活したりするのは少し面倒だけど、家がお金に困るとかはなくて、それなりの生活ができていた。

 

おやじやじいちゃんが頑張っていたってことになる。

 

そして、じいちゃんが引退してしばらくおやじが一人で仕事していたが、オイラが高校生になったくらいから、軽い仕事には連れていかれるようになった。

 

大学生になってからは少し難しい仕事もするようになり、少しずつ一人でも仕事をし、大学を卒業と同時に依頼人とも交渉したりして、オイラのほうが仕事量が増えてきている。

 

代々受継がれた恵まれた身体能力があったおかげで、それなりの仕事ができている。

 

一人前になると「無門」って名を引継ぐ。

 

オイラは今何代目かの「無門」として働いている。

オヤジも無門だからややこしいが、「無門」が会社名みたいなもんだ。

 

最近、オヤジやお袋からしきりに「結婚」しろと言われている。

 

後継者を残さなければいけない使命があるからだ。

戦国時代から続いている家だからだもんな。

 

でも俺の心を震わす娘は未だ現れない。

 

それなりに経験はあるが、後腐れない女しか手をださないし、相手も結婚とか言いださない。自分でも子孫残さなきゃな..

 なんて思い始めているが、なんせ出会いがない。

 

じいちゃんも、オヤジも恋愛結婚している。

 

二人とも一目惚れして結婚したらしい。

 

「無門」一族は代々、一目惚れして結婚するらしい。

 

へんなとこも引継がれているようだ。

だからオイラも運命の娘がいつか現れるって思っているところがある。

だから、なんとなく期待して待ってる。

 

 

 

 

依頼がきた。

 

ある金持ちの奥さんが、旦那にもう一人息子がいることがわかったことからの依頼だった。

 

奥さんと結婚する前につきあっていた女性が、別れたあと妊娠していることがわかって、何も言わずに一人で男の子を生んで育てたらしい。

 

その女性が病気で亡くなったらしい。

息を引き取る前に、困ったときはここに連絡しろと言われたのが、旦那の名前と連絡先だった。

 

その女性の息子が、連絡をしてきてわかったことらしい。

 

旦那がその息子をひきとって、優秀なら跡継ぎにしたいと言い出した。

 

奥さんと旦那の間には息子と娘の二人がいるらしいが、二人とも父親の言うことを聞かず、勉強しないで遊びほうけているらしい。

父親はそんな二人に、今の会社の後継者にすることをためらっているようだ。

 

でも二人とも本気になって勉強すれば、優秀なはずだから、後継者になれると信じている。 

 

よその女の生んだが、旦那の話を断るようにしてほしいってのが依頼だった。

 

 

そのよその女が生んだ息子は今、某有名医科大学に通っており授業料が必要らしい。

奥さんもその授業料くらいは払ってあげるのはいいが、会社の跡継ぎにはしたくない。

 医者になればいいと思っているとのことだった。

 

難しい依頼ではない。

 

ちょっと術をかければいい。俺は引き受けることにした。

もう一度、奥さんの依頼と俺の術をかける内容をすりあわせ、対象である息子の住所を教えてもらい、依頼が成功したらお金を振りこんでもらうことにして、話は終了だ。

 

これは楽勝だと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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大野智様

おめでとうございます