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そうだ、サクライショウを探さないと。
でも城下町はほとんど情報収集したけど、誰も何も言ってなかったから、すっかり俺たちも忘れていたわけで。
「ねえ、ニノどうするの?」
アイバさんが聞いてくる。
せっかちだから、何もしないでボッーっとしてる時間が嫌いなのは、付き合いでわかってきた。
「今考えているんだからちょっと待って」
考えている間に日が暮れてきた。
そうだ!!
日が暮れてから酒場とか行けば違う話しが聞けることがあるはずだ。
「アイバさん、酒場に行こう」
「えっ、お酒飲みに行くの?」
「バカ、違うよ。話を聞きにいくの」
「昼間、聞いたときはたいしたこと言ってなかったじゃん」
「だから、夜行くんだよ。たぶん昼間より大勢人がいて、違う話が聞けるかもしれないだろ?」
「そっか、夜だけ集まってくる人がいるかもしれないんだもんな、すぐ行こう」
アイバさんは駆け出しそうだ。
「アイバさん、酒場はコッチ」
全然反対の方向に走って行こうとしている。
だからあわてすぎだって。
「わかってるよ、ちょっとニノを試しただけ」
嘘だ。
完全に間違えていた。
けど、今は突っ込む時間も惜しい。
「行くよ」
そう言わなくてもアイバさんがついてくることはわかっているけど、言いたいんだな。
酒場に到着すると、昼間の倍は人がいる。
さっそく話を聞いてまわる。
「王子が帰ってこなくなって、王様は毎日嘆いてるらしい。だから人とも会わないらしいよ」
「衛兵の交代時間に一瞬だけ門を通るチャンスがあるようだ。みなすぐ見つかってしまうけどな」
「東の塔にいる魔物は相当手ごわいらしい」
「でも魔物にも弱点があるらしい」
「しかしその弱点が何か誰も知らないらしい」
次々に新しい情報が入ってくる。
けど一番知りたいサクライショウのことは誰もふれない。
おかしいなーと思いながら、一番奥のテーブルに一人静かに座って酒を飲む、この場所にはふさわしくない少し上品そうで賢そうな顔立ちをした青年に声をかけた。
「王子の家庭教師でもしようかとここまで来たのに、王子はいないし、ましてや王様に会うこともできずに困っています。
夜はなんだかここにこないと落ち着かないし、そのせいで昼間に寝ている逆転の生活になるし、いったいこれからどうしたらいいのか」
一気にそう言った。
するとアイバさんが
「サクライショウ」
と声にだした。
人と話すときはいつも黙っていて、話さないのにどうして声を発した?
それに驚いていると
「ハイ、どうして俺の名前を知っているのですか?」
ひゃー、ミラクル起こった!!さすがアイバさん。
つづく
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