前回、教師の持つ力の重要性について書きましたが、関連で思い出した話があります。「教師の力」といういうよりは、教師の勝手な思い込みで生徒・学生の成長を妨げそうになったという話です。これは、私自身の話です。

あるとき、「現代英語」という大学1年生がメインの授業を担当することになりました。担当が決まった時から、どんな内容の授業にしようとかと少しずつ考え始めていたました。

いろいろ考える中で、「これはできる」「これはうちの学生には難しい」などと、自分の中で「仕分け」が始まりました。


「これはうちの学生には難しい」と思った活動の中に、「英語でのプレゼン」がありました。学生が自分の好きなテーマについて英語で10分くらいのプレゼンをしてもらおう、というものです。英語専攻の学生とはいえ、1年生では無理だろうと心のどこかで勝手に決めていました。

ところが、あるとき、英語教育の研究会で、高校生が英語でプレゼンをしている実践の動画を拝見しましました。その映像を見たときに、「高校生でここまでできるのか」と驚きました。

 

それまで、自分の中でなんとなく大学1年生に英語でプレゼンをするのは難しいだろうと思い、「現代英語」の活動の候補にしていなかったのですが、高校生がここまで頑張れるなら、英語専攻の大学1年生にできないはずはないと気づき、入れることにしました。

実際にやってみると、学生たちは英語で素晴らしい発表をしてくれました。いまでも毎年この活動は続けています。やってよかったと思っています。

教師が勝手に生徒の限界を決めてはいけないということに気づいたエピソードでした。