気が付いたら、10日も更新していませんでした。失礼しました!


先週の土曜日、語学教育研究所の研究大会で、ビデオによる授業研究の学生用会場で解説を務めさせていただきました。


今回のビデオは東京学芸大学附属世田谷中学校の淡路佳昌先生の中3の授業(撮影は6月)。


とてもいい授業を拝見しました。前半はOral Introduction with interactionを中心とした「理解」のための活動。生徒とのやり取りを頻繁に行い、また、個別指名も数多く行っていました。


後半は音読を中心とした「訓練」の時間。Read and look upや本文の穴埋め音読などを通じ、授業の最後にはほとんどの生徒が、穴のあいた本文をすらすら読めるようになっていました。


始まる前、淡路先生はご自身の授業を「普通の授業」と謙遜されていましたが、生徒の頭の中に英語がしっかりと残る非常に中身の濃い授業だったと思います。


淡路先生の授業が素晴らしいのは、授業を教科書本文の理解にとどめるのではなく、その先に音読を取り入れ、生徒の頭に英語を貯めていく作業を数多く取り入れていた点だと思います。


解説でも申し上げましたが、英語の学習では良質の英語を頭の中に残すこと、貯めていくことが大切です。近年、「覚える」「暗唱」ということばが「コミュニケーション」の陰に隠れがちです。中にはこれらを「時代遅れ」と捉える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、他教科のよくわかりませんが、少なくとも英語では「覚える」活動を抜きにすることはできませんし、むしろ、もっと「覚える」ために時間を割いてもいいのではないでしょうか。そして、そのための有効な活動が「音読」だと思います。


中学校の先生方にお話しさせていただくときは音読のバリエーションとして様々な方法をご紹介しますが、それほど、音読は重要だと思っています。私たち英語教師は「コミュニケーション」ということばに振り回されてはいけないし、同時に、「覚える」「暗唱」「暗記」を口にすることを恐れてもいけないと思います。そういう意味で、淡路先生の授業は素晴らしいと思いました。


終了後、埼玉県立高校の元校長先生であるF先生が「さっき学生が来て、『淡路先生の授業はとても良かったし、及川さんの解説も素晴らしかった』って報告に来てくれたわよ!」とお声をかけてくださいました。先生は現在大学で講師もなさっています。「素晴らしい」には程遠いと思いますが、そう言っていただけると励みになります。時間帯が午後で、しかも外は大雨。湿気も高く、ただ話をしているだけでは学生も眠くなってしまうだろうと思い、なるべく学生のみなさんにも参加してもらう形式で進めたことがよかったのかもしれません。ただ、それ以上に学生さんたちの目が真剣だったので、私も刺激を受け、ちょっと熱くなってしまいました。声の大きさもだいぶ大きくなっていたと思います。かなり疲れましたが、充実感がありました。


ちなみに、淡路先生の授業やご指導の様子が『内外教育』(時事通信社)の2011年8月9日号に掲載されていますので、入手可能な方はご一読ください。