私たち英語教師は文法などを説明する時に「ふつうの文」という表現をときどき使います。しかし、この「ふつうの文」は曖昧である、という指摘があります。


語学教育研究所(語研)の何かの冊子で小菅和也先生(武蔵野大学)が書いておられましたが、私たち英語教員は「ふつうの文」をいろいろな意味で使っています。いくつか例を挙げます。なお、いま先生の論文が手元にないので、ここで挙げている例は私が記憶に頼って挙げているものです。


○疑問文の説明をしているときの「ふつうの文」は平叙文
○否定文の説明をしているときの「ふつうの文」は肯定文
○現在進行形を説明しているときの「ふつうの文」は現在形の文
○受動態の説明をしているときの「ふつうの文」は能動態の文


と言う具合に、「ふつうの文」が時と場合によっていろいろと変化します。「変化」と言えば聞こえがいいかもしれませんが、悪く言えば「適当」です。生徒の混乱を招くかもしれませんね。


だからと言って、「平叙文」「能動態」を使えとは言いません。かえって難しいかもしれません。ただ、不用意に「ふつうの文」を使わないこと、そのときの「ふつうの文」が何を指しているかが生徒にちゃんと伝わっているかどうかを確認しながら進めることが大切だと思います。