前方に先行者

道路がある左岸は断崖絶壁

入渓地点に戻って入り直すにも、かなり上流になってしまい、また別の先行者がいないとも限らない。

Nにとっては最終戦になるかもしれないので、それはあまり宜しくない。

取り敢えず先行者に何処まで行くのかを聞いて見ると

ずっと上まで

と答えるけど、詳しく聞いてみれば、そんなに上でもない。

かと言って、ゴルジュの連なる小渓流で、先を歩かせてくれとも言いづらい。

ふと、右岸を見れば、なんだか登り甲斐のありそうな尾根が見える。

地形図の見れるGPSで確認すれば、その尾根の先端は、また別の尾根につながり、それを下って適当なところで緩やかな谷筋に降りればどうやら目標地点の近くまで行けそうだ。





もちろん、ピークまで登るなんてのは最悪の場合で、途中でなんとかトラバース.....

という目論見は、竿をたたみ、いざ釣りやめて登山態勢のNには話さないでおくけど、

こんな都合の良いことがあるのだろうか、

取り付いた尾根はシッカリと踏まれており、それもそのはず、その道を辿ると植林地帯の仕事道に繋がっていた。

そうして、難なく数百メートルのトラバースはむしろ川筋を歩くより早かっであろうし、ちょっと不安だった下降も念の為の安全確保でロープを一度出しただけで完了。


ちょっと出来過ぎ感があったけど、その分は釣りの方で相殺されたみたいで、これと言った良い型は釣れなかった。

それでも、一匹先行交代で仲良く釣り上がり

去年はこの沢ではボウズだったNも、イワナとヤマメを釣った。

小さなヤマメに僅かだけど、婚姻色の兆し。





暗いゴルジュが多い谷にも、正午頃には少し弱々しいけれど、秋の陽が差し込む。




昨年は月に一度は来たこの沢も、今年はこの2回目でオシマイ。

途中の山に付けられた名前がNの名字と同じ事が判り、



それじゃ、今度は釣りナシで登ってみるかと誘うけど、

今日の登りが懲り懲りだったらしく、Nにその気は無い様だ。




それでもきっと、来年もちょくちょくと来るだろう。





とても好きな沢だ。