(イナカでは、家の中にもいろんな虫が入り込んで来るけど、これ(ザトウムシ?)は初めて見たかも)
東京に帰る予定の日も朝から雨で、釣りはもう諦めた言うより、もう充分だった。
だけどせっかく来たのだから、
お土産のミョウガを摘んで、
この家のかつての主に線香をあげた後は、
同窓会の為にもう一泊する爺にお別れをして、
それからとうとうタバコすら買えなくなった集落を離れ
崩壊で何年も通れないでいるルートよりは随分と遠回りだけれども、
集落から見るのとは反対側に廻ってこの山を拝む。
この山は、この辺では最も有名な川の源流域の付け根にあり、その源流は自分もいつかは行ってみたいと思っている憧れの源流でもある。
でも、やはりこの山は至近距離でみるよりも、自分の集落側から、それもまだ5月頃、雪がスッポリ被った姿が一番美しい.....と、自分は思う。
この辺の沢の下見をしたり、
大雨の中開かれていた地元の釣り大会を見学したり、
〆はやっぱり温泉なので、
Nに川原の温泉と、ちょっと珍しい赤い温泉のどちらが良いかと聞くと、迷わず赤い温泉を選んだので、
のんびり赤いお湯につかり、
そこでこの旅初めての外食となるイワナ丼(甘露煮、オススメ)と蕎麦を喰い、
帰りたくないと言うNを車に押し込み帰路に着いた。
Nも、本当にイナカの事を気に入ってくれて良かった。
家に着き、爺にお礼のメールをした。
これまでも、ちょっとした用事で爺にメールを打つ事はあったが、返事が来た事はない。
その爺からこんな返事が来た。
携帯メールだって立派な手紙だ。
爺からもらった二番目の手紙だ。
たったこれだけのやりとりだけど、爺がますます好きになった。
でも、自分が爺を好きなのは、単に良い人であると言う事だけではなくて、
この村、集落、山、川、森、全てが大好きな事と
全く無関係なことではないのだと、
思うんだ。
爺からの手紙(終)