ラジオ書き起こし「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」『なぜ人は幽霊が見えるのか』その7 | だからオイラはダメなんだ。
武田鉄矢のラジオ番組「今朝の三枚おろし」にて、興味深い本を紹介していたので、書き起こしてみる。

その本は、リチャード・ワイズマンの『なぜ人は幽霊が見えるのか』


4163749209超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか
リチャード・ワイズマン 木村 博江
文藝春秋 2012-02-11

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【7日目】

アメリカを震撼させた「人民寺院事件」を取り上げております。シアン化合物で自殺を強要された、ということでありますが、ビデオを見ておりますと大半の人が笑顔で毒物を呷るというですね、なんと270名の子供と900名以上の人達が「ジム・ジョーンズ」と歓喜の声を上げ、突然喉を掻き毟る様に倒れて死んでいったという、ジャングル中にブワーッと死体がね。カルトの恐ろしさであります。

後で調べた所、生き残った人達が全員が声を揃えて、「自分達はカルト教団に入っているとは思わなかった」「みんな正直でいい人で大好きな仲間だった」というね。
もう、完璧なマインドコントロールが効いている。何でそんなマインドコントロールが効くんだ?やっぱ、技術としてマインドコントロールがあるんじゃないかと。

その一端でありますけども、スタンフォード大学、ジョナサン・フリードマン、スコット・フレーザーという両教授が、この人民寺院の信者達を徹底して調べて、マインドコントロールがどんな風に成されたか、その方法を実験で、こんなのがあるんですね。

ある町の家に「『運転は慎重に』という看板を貼らせてください」と、公共性の高い看板を貼らせてくれ、と依頼をするんです。
というと、大半が「景観を壊すんで」と拒否。
そこで「わかりました。じゃこれでどうでしょう」と言って、グッと小さな10センチ四方のステッカーで頼むと「これだったらいいや」って言う。
前の看板よりも遥かに小さくなってる訳ですな。ま、悪い事は書いてないですしね。で、貼っとく。
また、別の日に行って、「いやあ!嬉しいなあ、貼ってくださってるんですか。ちょっと小さすぎるんで、もうちょっと大きいのいいですか?」って言いながら、ちょっと大きめのステッカーをお願いすると「それぐらいの大きさだったらいいや」ってんで、3、4回繰り返して一番最初に拒否された大きさの看板を持ってくと、OKが出るんですって。

つまり、ここです。
小さな欲求から、段々と大きくしていけば、多少の理不尽を感じても人は耐える。そして、大前提で「それは"善行"に通じる」という説得力があると、人間は思わず引き込まれてしまう。

このステッカーや看板を寄付に見立てるといいんですよ。
「1人最低で1万円からお願いします」「いやいや、うちはそんな」「でも、アフリカの子供達が困ってるんですよね…じゃ、いらない毛布でもありましたら」から始まって「いらない毛布ならあるから」とか言って、そこから入っていって、かなりの額を集める事が出来る。
こういう『段階的要請法』という心理をカルトは使う、と。

この『段階的要請法』から、この心理を応用した簡単なテスト。
線の引かれたカードがあって、長い・短いがハッキリしてる4枚のカードがある。次々とそのどちらが長いかをジャッジするだけ。「どっちが長い?どっちが長い?」それだけのテスト。
ところが、これを集団でやって、サクラがいて、誤った答え…短い方を「長い」ってサクラが言い始めると、スーッとそっちに。

人間って、集団に巻き込まれてしまうと人数の多い方に自分を投げ出してしまうと言うか、だから「人民寺院事件」の残ってるビデオを見ると、ジョーンズが、毒を飲む時に物凄く煽ってるんだって。「さあ、みなさんご一緒に!さあ、みなさんご一緒に!さあ、みなさんご一緒に!」って。そうすると、もう1人の手が上がり始めると、みんな雪崩れを打ってシアン化合物の入ったグレープジュースを呷ってる、という。
これがマインドコントロールだって。

【明日へ続く】